藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

著作より学びしこと。


やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論


その「オリジナリティ」こそが唯一最大の必要な要素である研究者。
そして、その成果で「グラント(研究費)」を取り続けなければならないという環境。
その峻厳さにおいては、ビジネスを凌駕するだろう。


ビジネスも「モノマネ」では続かないが、まあしかしそうそうクリエイティヴでなくても、なんとかなる部分は多い。
自分の手がけるプロジェクトだけは、「ある条件つき」で世界のどこにもないものだ、と言えるビジネスマンは少なかろうと思う。
「その意味」で、研究者のおかれる環境を理解し、また同様に厳しく「自らのオリジナリティを問う」というロールモデルは非常に、ビジネスマンを鍛えるだろう。

起業する人に


自分など、若いうちにまあ勢い余って独立してしまった叩き上げ、だが。
これから起業する、とか新しいことを着想し、事業化(実行)するのなら、ぜひこの「著者目線の問いかけ」について考えてみてはどうか、と思う。

・自分の「好き」よりも「強み」を優先すること
・だから、まず自分の強みの把握からせねばならないこと
・あまり偏狭過ぎず、「納得性のあるカテゴリー」でナンバーワンになること
・時間管理は「人生の管理」といつも認識できていること
・最初は自分で学び、良き師を持つこと
・失敗を恐れず現場に入り、フィードバックこそを狙うこと
・自分を語るストーリーを持つこと
・自分が「何を知らないのかの」を知ること、また、どこに「当該分野のプロ」がいるのかを知っていること
・英語は目的ありき、のアウトプットに注力すること


起業するときにこんなメルクマールがあったらどうだったろうか。
ひょっとしたら考え込んで起業していなかったかもしれない。
なんとなく、体感的に「強み」とか「オンリーワン」を意識するようになったのは、実に独立してから15年ほども経過してからのここ数年のことである。(嘆)


が、それはそれで良いではないか。(進)
著者も中年からの大挑戦、の真っ最中である。
(こう言ってる間にも「オバマ政権の臨時グラントを獲得」、とまったくアグレッシブなこと。)

体質改善のバイブルに


おそらく、ほとんどの経営者が、事業を日々運営してゆく中で「必ず行き当たる悩み」とか「疑問」。
往々にして起きる、トラブル、スランプ。
そんな時に自分を診断する、とてもよいツールである。

例えば、実はそれほど好きでもなく、ましてや強みも見られない分野に身を置いていたら。

「道そのもの」を考え直すいい機会かもしれない。

ある程度がんばっているのだけれど、今一つパッとしない、と感じていたら。

「ある分野」での一番を考えてみるとよいだろう。


研究者が、まるで「獣が獲物を狙うような鋭い感覚」で研究テーマをサーチし、ターゲットを絞る。
ハンティング。
その厳しさをぜひ自分たち「研究者以外」へと応用したいと思う。
著者の描く研究者としての姿勢は、そんな「プロ臭」がとても強くて、刺激的である。


この10ヶ条になぞらえて、「事業家の10ヶ条」を作りたいくらいである。
経営者が説く、「事業成功のための逐条解説」でなく、研究者という「テーマハンティングのプロ」のエッセンスが本書の最大の持ち味である。


ああ自分は研究者を志さなくてよかった、と思う一方、事業では何か一本筋を通すのだ、と一念発起。