藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

身近に色んな答えがあること。

大阪大学の人たちがまとめた「ドーナツを穴だけ残して食べることができるのか」という本が話題になっている。
さっそく自分も購入待ちにした。
答えの一部。

「ドーナツを樹脂で固め、機械で削る(工学)」「ドーナツには穴があるという暗黙の前提を疑う(歴史学)」
「ドーナツとは家である。記憶が結びつき、物理的なドーナツがなくなっても穴はなくならない(美学)」
「4次元空間で食べる(数学)」……。それぞれの学問の知見を生かした答えが寄せられ、学生たちは「こんな考え方があったのか」とうなったという。

一見、食べたら「輪ごと」なくなってしまうドーナツだから悩ましい問題に思えるが、日常はこんな問題であふれている。
「遅刻をすると何かを失う」とか
「ある人といると、別の人と居る時間がなくなる」とか
「約束を守ることは自分の信用である」とか

自分たちの日常はそうした「ある面からみたこと」と「他の面から考えてみこと」の連続でできている。

遅刻せずに約束の場所に行くことにはそれほど躊躇はないが、アポイントを持つこと自体が良いことか否か、とかさらに自分の採っている方針とか方向性とか、そう言うレベルで考えると実に"色んなドーナツ"が自分たちの日常にはあるのである。

やりたいことと、できること。
できないことと、その理由。
やりたいことと、その理由。
やらねばならないと思えること。
そうした「根っこ」のことを立ち止まって考えてみることも、今の情報化社会では大事なことではないかと思った。
もう一度著作を読んで感想を書いてみたいと思っている。

ドーナツを穴だけ残し食べる方法…12の答え

大阪大学の学生と教員らがまとめた本が注目を集めている。「ドーナツを穴だけ残して食べることができるのか」という学生の疑問に、様々な分野の教授ら12人が真剣に向き合って答えを考えた。

総合大学のユニークな取り組みだけに、「考えることのおもしろさが味わえる」と好評だ。

 ◆難問への挑戦

 「ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義」(A5判、274ページ、1620円)。大阪大学出版会が2月14日に発売した。5月上旬、3回目の増刷があり、計1万3000部の発行となった。

 出版のきっかけは、2012年10月に同大学で始まった一般教養基礎セミナー「本をつくる」。中村征樹准教授(科学技術社会論)と松行輝昌准教授(ミクロ経済理論)らが開講し、学生約30人が編集者らから本の作り方を学んだ。

 テーマは学生らで出し合い、ネットで話題になったり、12年放送のNHK連続テレビ小説梅ちゃん先生」で取り上げられたりした「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」に決まった。セミナーの終了後も学生10人が本づくりを進めた。

 この中で、教授や准教授に原稿を依頼。「ドーナツを樹脂で固め、機械で削る(工学)」「ドーナツには穴があるという暗黙の前提を疑う(歴史学)」「ドーナツとは家である。記憶が結びつき、物理的なドーナツがなくなっても穴はなくならない(美学)」「4次元空間で食べる(数学)」……。それぞれの学問の知見を生かした答えが寄せられ、学生たちは「こんな考え方があったのか」とうなったという。

 ◆反響広がる

 「幅広い人に読んでほしい」とわかりやすさに苦心した。難解な文章は教授らに書き直しを求め、解説を添えた。本の表紙にドーナツを描き、ドーナツの包み紙をイメージした半透明の帯にするなど、装丁も工夫した。

 紀伊国屋書店グランフロント大阪店(大阪市北区)では、単行本売り上げランキングで一時、1位を記録。同店参事役の才田泰宏さん(58)は「こうした教養書のランキング入りは珍しい。雲をつかむようなテーマと、中身の真剣さとのギャップが読者に受けている」と分析する。

 本を購入した神戸市西区の会社員(25)は「教授らの論文を読んでいると、卒論と格闘した学生時代を思い出した。自分なりの答えを考えたい」と話した。

 別の大学のゼミ学習の資料として使われたり、中・高校が学校図書館用に購入したりする動きもある。

 学生代表で工学部4年の学生(21)は「解答を読んで穴の捉え方が広がった。本の中から興味を持った学問の分野を見つけてもらえれば」と語った。

 印税の一部は、学生の奨学金などに充てる「大阪大学未来基金」に寄付される。(桑田睦子)

2014年06月11日 10時11分 Copyright © The Yomiuri Shimbun