藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

農業ソフト化。

スパコンの発達で天気予報は正確になったけれど、自然の脅威は増している。
IoTで解明されていく世の中で、天変地異はどこまで解き明かされるだろうか。

農業も、種子とか土壌改良とかのミクロ要素と、天候とか温度とかの要素が網羅されれば相当安定した品質の成果が期待できる。
それが実現してきたら、畜産全体にもその恩恵は広がるだろう。
そしてそれは海の中にも及ぶに違いない。

つまり、世界中の「食糧」については間も無く一定の予測が可能になるかもしれない。
食糧について計画ができるのなら、「飢餓」が無くせるかもしれない。
今の世の中は"貧困"が一つのテーマだけれど、国とかイデオロギーといった側面とは別に「科学農業」という切り口から食糧供給ができるとしたら、人類にとっては一つの大きな慈雨になると思う。

人は科学で自らを救えるだろうか。

独バイエル、デジタル農業を深掘りへ 米モンサント買収で
 今年最大となる660億ドル(約6兆7300億円)の買収で先週合意した独バイエルと米モンサント。農薬・種子の世界首位に立つ圧倒的な規模に注目が集まるが、バイエルには別の狙いがある。実は両社はIT(情報技術)で農業の生産性を高める「デジタル農業」で先頭を走る。衛星写真を使った土壌環境分析に基づき、農薬散布の時期や量などの情報を提供、収穫量に応じて手数料を受け取る「農業サービス企業」への変貌を視野に入れる。

 独西部ロンマースキルヒェン。地平線のかなたまでベルント・オリグス氏所有の100ヘクタールを超える農地が広がる。バイエルのデジタル農業の実証実験の最前線の一つだ。

 「これを見ながら農薬の使い方を決めるんだ」。オリグス氏はトラクターのキャビン内のモニターで土壌などのデータを確認。バイエルが提供する衛星写真と気象、土壌の状況などをみて農薬の散布量などを決める。

 活用するのはバイエルが買収で手に入れた、衛星画像解析と、農作物の生育診断の技術だ。過去の農薬の散布状況、地中にあるセンサーが測った温度などを集め、区画ごとに最適な農薬の量や時期を指示する。

 バイエルの農薬子会社バイエルクロップサイエンスで、デジタル農業部門を率いるトビアス・メンネ氏は「あらゆるデータを活用したディープラーニング(深層学習)を駆使し、少ない農薬で収量を増やす。作業の効率化で農業の人手不足対策にもなる」と語る。実証は欧米中心で、日本でも北海道が対象になった。

 世界の人口が今後、30億人増える半面、都市化で農地は減り続ける。気候変動も農業生産の不安定要因だ。農業生産の確保に向けクロップサイエンスのリアム・コンドン社長は2年前、デジタルシフトにかじを切った。153年の歴史を誇るバイエルでは珍しく、メンネ氏の新組織を社長直轄にした。「投資案件は彼が直接私に伝える。デジタル時代は速度が何より重要だからだ」

 昨年以降のカナダとドイツでの企業買収はこの成果。6月には宇宙関連ベンチャー、米プラネタリー・リソーシズにも出資し、同社のセンサーが集めるデータを農地の水の使用量を減らす提案に生かす。

 バイエルが最終的に描くのは、農薬・種子販売の対価ではなく、トウモロコシや大豆などの収量によりバイエルが一定分を手数料で受け取る「成果報酬型」モデルだ。

 「農家に最適な情報を提供し、農薬使用量を含めたコスト削減と収量向上を実現する」とコンドン氏。情報提供で農薬の販売量が減る恐れはあるが、業界は現在、転換点にあるとみる。他社より前に「バイエル版農業経済圏」を築く狙いだ。

 バイエルは2020年までにデジタル農業に2億ユーロ(約230億円)を投じる計画を持つ。買収を受け入れたモンサントもこの分野に積極的だ。

 モンサントは13年に気象データ分析の米クライメート・コーポレーションを買収。肥料の最適な投入量、害虫の収穫量への影響予測などを区画単位で解析、提供する。過去に使った農薬・肥料の情報も集めた「ビッグデータ」で精度が増す。一定の収量に満たない場合に補償する作物保険まで販売し、デジタル農業の利点を訴えてきた。バイエルは買収をてこにデジタル農業の展開を加速する。

 デジタル農業には他の世界大手の参入も相次ぐ。中国化工集団が買収を決めた農薬首位シンジェンタ(スイス)は昨年、農業ソフトの米企業を買収し、独BASFも新サービスを始めた。この分野で尻込みする日本の農薬大手とは対照的だ。

 種子・農薬分野では開発に伴う費用高騰や期間長期化で企業負担が増す。農家側にも人手不足対応の自動化や、過剰な農薬散布を抑えたいニーズはある。大型買収劇は農業資材のハードが注目されるが、業界がソフトに重きを置くサービス業への転換が加速する象徴にもなりそうだ。