藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

個別市場の始まり。

ネットが先鋭化し、既存企業の権益をどんどん取り込んでいる。
金融界などは「やられまくっている」し、これからはもっと激しいことになりそうだ。

投資の世界も個人やサイトで事業資金を調達したり、投資を呼び込む動きはが活発だ。

リーマンショック後、思えばここ数年までが「市場金融・IPO」の最後の波だったという気がする。
株式や債券市場はすぐには無くならないにしても、かなりの勢いで衰えていくような気がする。

「取引所」は情報開示とか規制とかの勃興期には「必要不可欠な存在」だったが、ちょっとうるさくなり過ぎた。
言われなくとも情報開示とか投資家への説明とかがやれる会社は、早晩「自己市場」を形成してゆくだろう。
システムだけ東証のものを借りてもいい。

ベンチャー企業が、独自の通貨で調達を開始しても、その企業に魅力があると思えば投資家は動くだろう。
玉石の見分け方こそが投資家の"眼の効きどころ"というわけだ。

お互いが互いに評価し、投資する時代は近いと思う。

危ういICOの錬金術 VC超え既に1900億円 投機マネー流入 ルール未整備、悩む当局

 世界のベンチャー企業の間でICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ぶ独自通貨を使った新たな資金調達が爆発的に広がっている。2014年からの調達総額は17.8億ドル(1900億円)に達し、足元の17年4〜7月はベンチャーキャピタル(VC)からの調達額を抜いた。低コストかつ短時間で調達できるのが特徴で、投機マネーがブームを支える。だが投資家保護のルールが未整備で、事業内容に疑問符がつく企業も紛れ込む。「現代の錬金術」の急拡大に規制当局も神経をとがらせはじめた。

 「ICOに参加するのが楽しみだわ」。米女性タレントのパリス・ヒルトンさんは3日、ツイッターでこうつぶやいた。言及したのは、ネット広告の効率向上を模索するリディアンというベンチャー企業のICOだ。

 ICOのトークンは、株や社債と違って投資家に配当や金利を払う必要はない。有価証券発行に課せられる投資家保護を目的とした規制が存在せず、情報開示は簡便で済む。「ホワイトペーパー」と呼ぶ事業計画書をネット上で公開するだけで資金を募集し、決算書の開示や会計監査も必要ない。証券会社や監査法人を雇って1〜2年の準備が必要な新規株式公開(IPO)に比べた負担の軽さから、設立間もない企業の利用が相次ぐ。

 ICOを使うと企業は証券会社や銀行に頼らなくても、ネットを介して世界中の投資家から直接お金を集めることができる。6月にはケインズが提唱した国際決済通貨バンコールを実現しようとする「ザ・バンコール・プロトコル」が3時間で1.5億ドルを調達し、米ブラウザー開発企業であるブレイブは約30秒で3500万ドルを集めた。

 米ゴールドマン・サックスによると4〜7月のICOの調達額は1200億円強に達し、「シードステージ」と呼ぶ創業直後の企業に対する世界のVC投資額を超えた。

 日本企業にも波及しはじめた。起業家の長谷川潤氏がタイで立ち上げた東南アジアの決済サービス会社OmiseGoは6月に2500万ドルを調達した。ビッグデータ解析のメタップスは韓国子会社が約12億円のICOを実施すると発表した。

 ICOの人気を支えるのは仮想通貨の価格上昇で利益を膨らませた投資家だ。年初からビットコインは約4倍、イーサリアムは約40倍になった。「仮想通貨長者」が続出し、「ICOを通じ含み益が別の仮想通貨に流れる循環が生まれている」(仮想通貨取引所QUOINEの栢森加里矢最高経営責任者)という。

 ブームの陰で問題も生じている。ビットコイン研究者の東晃慈氏が主要なICO48件の事業進捗を調べたところ、約束したはずの製品やサービスが存在しない案件が全体の56%に達していた。東氏は「ICOプロジェクトの多くは過大に評価されている」と指摘する。

 事業に実態がなくてもトークンが値上がりすると投資家が信じれば資金調達は可能。「このトークンに価値はない」。仮想通貨の技術開発をうたうEOS(英領ケイマン諸島)はホワイトペーパーでこう説明するが、2億ドルの調達に成功した。

 早稲田大学ファイナンス総合研究所の野口悠紀雄顧問は「ICOは資金調達の民主化を進めたが、ルールが未整備で実態のない会社が紛れ込みやすい」と話す。実施企業からも「上限を設けるなど節度あるルールが必要だ」(Omiseグループ)との声が漏れる。

 世界各国の規制当局も対応に乗り出し始めた。米国やシンガポールは、有価証券との線引きを明確にするルールづくりを急ぐ方針を明らかにした。中国では中国人民銀行中央銀行)が4日にICOの全面禁止を発表した。「金融詐欺であり、ネズミ講だ」と断定する声明には仮想通貨を通じた人民元からの資本流出への警戒がのぞく。

 日本の金融庁は4月、世界で初めて仮想通貨を法律で規定した改正資金決済法を施行し、取引所には登録制を導入した。8月には約30人の全庁横断的なチームを発足し、ICOを含めた監視体制の強化に乗り出した。

 だがICOへの金融庁の立ち位置はまだ定まっていないのも事実だ。「規制の網の外」(幹部)で投資家をないがしろにする脱法的行為を野放しにはできない一方、金融分野で急発展する新技術の芽を摘みたくないという本音も見え隠れする。ICOは規制当局に投資家保護と技術革新の後押しの両立という新たな課題を突きつけている。(関口慶太、亀井勝司)

 ▼ICO(イニシャル・コイン・オファリング) 企業や団体が独自通貨である「トークン」を発行し、新事業に必要な資金を集めること。事業に賛同する投資家はビットコインイーサリアムなど流動性の高い既存の仮想通貨で代金を払い込み、企業側は受け取った仮想通貨を換金して使う。投資家は実現するサービスや製品をトークンで購入できるほか、トークンは市場で流通した段階で新たな仮想通貨になり、上場先の仮想通貨取引所などで換金できる。
 株と違ってトークンには配当金が払われないため、事業から上がる利益は投資家には分配されない。株主総会の議決権もないうえ、企業が倒産した場合は残余財産を受け取れない。このため、投資家は上場後のトークンの価格上昇を期待して投資する場合が多い。