藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

スキルは共有される。

airbnbとかUberとかいう「もの」のシェアは進み。
メルカリのような「売り買いのシェア」も進む。

いよいよ「ノウハウのシェア」をしませんか、ということらしい。
その前に「手間仕事のシェア」はもう簡単に実現しそうである。
「今デパ地下にいますけど、何か買って帰りましょうか?」というのは簡単なことになるだろう。
まあそこは手数料の世界だ。

手間仕事のシェアはCtoCでどんどん進むけれど「スキル」はどうだろうか。

スキルの伝授や、仕事や家族や医療や技術や宗教や悩みにについて。
その相談が、技術の問題なのか、イデオロギーの問題なのか、相性の問題なのか、適性の問題なのか。
そんなことを「性質判断するシステム」ができれば劇的に相談ビジネスが発展するに違いない。

顧客対応や士業がもうコンピューターに置き換わる時代はそこに来ている。
コンテンツの激増に加えて、「人対人」の無限の交流の世界がすぐそこに来ているのではないだろうか。

メルカリも撤退、スキルシェア 草分け3社の強みは

2018年9月17日 6:30

特技や知識を生かした個人のサービスをマッチングするスキルシェアの勝ち組が見えてきた。ここ数年、潜在需要の大きさから新規参入が相次いだが、2012年から13年に始めた草分け的なスタートアップの牙城を崩せず、メルカリのように撤退する企業も出てきた。勝ち組の共通項を探ると、的を絞った「こだわりの姿勢」が浮かび上がる。

ストアカ、「顔が見える」にこだわる

「撤退早すぎ」「不戦敗?」「見切りの早さがすごいところ」。7月19日、SNS(交流サイト)のツイッターでは、こんなつぶやきがいくつも投稿された。フリマアプリの王者、メルカリが4月に始めたばかりのスキル仲介サービス「ティーチャ」を8月で終了すると発表したのだ。

ストアカのアプリ画面


料理や語学などスキルを持った講師と学ぶ者をネットやアプリでつなぐという仕組みは、ストリートアカデミー(ストアカ、東京・渋谷)が12年から手がけているビジネスモデルだ。藤本崇・最高経営責任者(CEO)は「実名による対面レッスンに、とにかくこだわってきた」と利用者に支持される秘訣を語る。

ストアカの利用方法はこうだ。まず名前などの個人情報を登録。アプリ内では、メークの仕方から、包丁の研ぎ方、バク転の仕方まで、様々なノウハウを持つ個人が講師役となりレッスン・講座の開催案内を掲げている。学びたい者は、その中から予約を取り、当日開催場所へ行き、対面で受講する。

都内在住の会社員、山岡絵奈さん(34)は3年前からストアカを利用。仕事帰りや休日に、写真の撮り方や財務諸表の読み方など、これまで約40の講座を受けた。「自分の学びたい内容を納得して選べる」とリピート利用する理由を話す。

比較的新しいサービスだからこそ、利用者の安定志向は強い。消費者庁などの調査では、スキルシェアの不安要素として「相手とトラブルになった際の対処」や「安全性」「お金のやり取り」といった課題が並ぶ。

相手の顔が見えるという安心感。一度体験して満足すると、わざわざ新規参入組の類似サービスに移行しようという気は起きない。評判はSNSで拡散し、新たな利用者を引きつける。ストアカは安定志向を上手にすくい取っている。

課題もある。対面型のサービスは展開に時間がかかるため、ストアカは12年のサービス開始から赤字続きだ。それでも「あえて変えない」(藤本CEO)のは、我慢の長さに比例して利用者が増えるから。ライバルが入ってこないストアカ経済圏が完成すれば、高収益体質に変わるとみる。

ココナラは手軽さ最重視

別な方向性で利用者の囲い込みに成功しているのがココナラ(東京・品川)だ。「人に会うのは煩わしい」「身構えずに安く取引したい」という利用者のカジュアル志向に合わせ、徹底的に手軽さにこだわる。

ココナラのアプリ画面


「思い切って時間と場所を削った」と語る南章行社長。12年のサービス開始の際、「利用者が求めるニーズ、場所、時間を全て一致させるのは変数が多すぎてマッチングが難しい」と考え、スキルの提供方法をオンラインに絞った。オールジャンルのスキルのフリーマーケットとして税別500円から売買できる。

「似顔絵を描きます」「作曲します」。ココナラのサイトには出品者の特技を生かした様々なサービスが並ぶ。10万円を超すような高額出品もあるが、取引レビューの件数が多いのは1万円以下のサービスだ。

山本昂二さん(32)はこの数年でロゴマークやユーチューブ動画の一部の作成など約400件の仕事を手掛けた。企業内デザイナーとして働いていたが「ココナラでの実績が自信となった」として独立し、昨年デザイン事務所を立ち上げた。

ここでも、使いやすさを体験した利用者は離れない。ココナラの登録者は80万人を超えた。

一方、クラウドソーシング大手のクラウドワークスは9月5日、スキルシェアサービスの「WoW!me」(ワオミー)を12月に終了すると発表した。ココナラと似たタイプの仕組みで16年11月に始めたが「経営資源フィンテックなどに集中する」ために撤退する。

ビザスクはビジネス用途に特化

ビジネス色にこだわることで勝ち組としての地位を固めているのがビザスク(東京・目黒)だ。端羽英子社長は「無名の個人の暗黙知を発掘したい」と語る。

ビジネスのサイト画面


マッチングする案件はビジネスど真ん中。「シリコーン材料に知見を持つ人にヒアリングしたい」「新規事業の仮説検証の際に意見を聞きたい」といった相談に対し、個人がビジネスの経験や知見を生かし対面、電話などでアドバイスする。依頼者は実は企業が多く、約500社が利用するインフラに育ちつつある。

ビザスクには東証1部上場の大手企業も関心を向ける。IT(情報技術)関連のセラクは約1年前からビザスクを利用。新規事業を始める際の他社の事例収集や専門家への相談などが目的で、月に4〜5人のアドバイザーに相談している。「ビザスクのサービスはいわば人脈のショートカット。すぐに会いたい人に会え、スピードを持って事業に取り組める」(経営戦略室)。

こうした大手企業の利用の多さがビザスクの収益基盤を安定させ、事業拡大に寄与している。マッチング(案件成立)数は18年7月までの1年間で1万728件と前年同期比2.5倍に増加。手ごわいライバルは今のところ見当たらない。

草分け3社のような実績のある企業が存在感を増しているスキルシェア市場は、後発組にとっては厳しい環境だ。メルカリやクラウドワークスのほか、DMM.com(東京・港)も家事スキル提供サービス「DMM Okan(おかん)」を9月末に終了する。

市場のパイが小さいわけではない。PwCコンサルティングの野口功一パートナーは「スキルシェアはライドシェアや民泊と異なり、規制の影響を受けにくい。シェアリングエコノミーの中でも拡大が期待できる分野」と分析する。

では、後発組が足場を築くには、どうしたらいいのか。個人をつなぐサービスは提供されるまで品質がわかりにくいため、参加者の数やレビューなどによる評価を積み上げて信頼を築いていくことが重要だ。利用者が自社のサービスに「住み着く」まで、時間がかかる。参入障壁は比較的低いが、先行企業に挑むには、彼ら以上のこだわりを持ち知恵を絞る必要がある。育児、ペット、語学、旅行ガイドなど分野を絞った特化型のスキルシェアサービスが登場しているのは、一部の後発組がこのロジックに気付いているからだろう。(佐藤史佳)