藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

世界が一つになる前に。

日経より。
世界的に、自動車業界の成長が鈍化しているという。
感じるのは「所有の終焉」だ。
自動車はその象徴なのだと思う。

保護主義がどう、と19世紀に逆戻りしたような論調があるが多分違う。
時代が進んでこれからは先進国から「所有という気持ち」がなくなっていくのだと思う。
トランプさんはまさに象徴的で、後世には「脱所有」への舵を切った大統領ということになるのではないだろうか。

大衆から富裕層までが「最も広く所有の対象とした」自動車が、いよいよその役務を終えつつある。
自動車市場が転機を迎えるのではなく、20世紀の価値観が終わりを迎えるのではないか。

一見暗くて激しい「貿易戦争の時代」がこれから続くような報道が多いが、
実は諍いはそれほどは続かず、全く新しい共生の時代が来る、というのは楽観的過ぎるだろうか。
その新しい時代のために中国がムクムクと頭角を現してきたのなら、まるで「世界三国志」とも言える時代が来るのに違いない。

ヒールがヒールでなかった、というのは物語の王道である。

縮む新車市場 保護主義を誘発 25年までの成長率、世界で半減

世界の自動車市場が転機を迎える。2018〜25年までの新車販売の年平均成長率は約2%と、約4%を維持した11年以降から半減する。主な原因は2つ。カーシェアなどデジタル化の流れと、二大市場である米中の急減速だ。雇用面など経済への打撃は大きく、周辺国から生産を奪い合う保護主義を誘発する。成長を前提としてきた自動車産業は不透明な時代に入る。


ウーバーが試験走行に使う自動運転車(3月、米ピッツバーグ)=共同
「むやみな投資は厳しく管理する」。中国・天津市で先月に開かれた自動車産業の国際会議。国家発展改革委員会(発改委)の年勇・産業協調局長は、自動車メーカーの生産増強を抑制する方針を強い口調で訴えた。

発改委は中国で許認可権を一手に握る。発言の裏にあるのは、「中国の新車販売は右肩上がりで増える」というここ十数年の流れが揺らいでいることへの危機感だ。
英調査会社IHSマークイットによると、中国の新車市場は18〜25年の年平均成長率が2.6%と、11〜17年の8%から急減。米国を抜き世界最大市場に躍り出たが、都市部の市場飽和や地方経済の停滞でブレーキがかかる。投資を抑えなければ、鉄や造船のように生産過剰を招きかねない。
中国だけではない。25年の世界販売は1億1000万台程度と、17年比で約1600万台増える見通し。18〜25年の年平均成長率は2.0%。11〜17年の3.7%からほぼ半減することになる。
変節の一因はデジタル化による構造変化だ。米グーグルやアップルなど世界のIT(情報技術)大手が自動運転技術で攻勢をかける。その先には、車を所有せずに共有するカーシェアの普及が現実味を帯びる。
PwCコンサルティングによると30年までに人々の移動距離の最大37%がカーシェアや自動運転車が占めるようになる。IHSはカーシェアの普及で23年以降、年間200万台程度の新車需要が減り、世界市場を2%ほど押し下げると見る。
特に先進国で影響が大きい。日本の年率は11〜17年の3.7%増から18〜25年には1.5%減になると予想。北米も5.3%増から0%に減速する見通しだ。
北米自由貿易協定NAFTA)は米国から雇用を奪ってきた」。トランプ米大統領NAFTAの見直しでカナダ、メキシコと新協定を結ぶなど生産の米国回帰の果実をもぎ取りつつある。
自動車産業のすそ野は広く、米国では700万人以上の雇用を創出している。何も手を打たなければ自動車産業が空洞化し、雇用減や消費の減退に陥る危機感が保護主義を誘発している。
トランプ政権は中国との貿易戦争でも矛を収める気配を見せない。米中などの関税引き上げで貿易コストが上がり、世界の国内総生産GDP)が1.4%下がるとの試算もある。自動車の成長力の落ち込みで、保護主義がほかの国に広がる恐れも否定できない。
「この状況で投資判断など下せない」。日系のある幹部は頭を抱える。
自動車各社は長年、世界市場拡大を前提に工場を新設してきた。成長率の減速で生産体制の見直しが急務だが、保護主義の台頭で生産拠点に投資するリスクが膨らむ。
世界の自動車大手はサービス分野に投資をシフトしている。米ゼネラル・モーターズGM)は独オペルなど欧州事業を売却する一方、自動運転子会社への投資を拡大。トヨタ自動車ソフトバンクグループと共同出資会社の設立を決めた。
成長率の減速は、限られたパイの奪い合いを通じ優勝劣敗をより明確にする。自動車各社は5〜10年後の競争力を分ける転換点に立っている。
(田中暁人)