藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

Dani, M., Brooks, D. J., & Edison, P. (2016). Tau imaging in neurodegenerative diseases. European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging

, 43(6), 1139-1150. 
ここまで一気に話したところで、彼は手元の緑茶をすすった。つられて私も一緒にお茶を口にする。
「……脳の老化メカニズムが、ここまでわかっているなんて……正直、驚いたわ」
「脳の老いを引き起こす老廃物の存在は、それを測定できる技術が出てきて初めて注目されるようになった。その代表格がPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)という画像検査じゃ。どれ、一つ面白いものを見せるとしよう」

スコットは手元のタブレット端末を操作して、動画を立ち上げた。
最初は紫色だった脳の断面画像だったが、いくつかの部分の色が次第に変わっていき、黄や赤の部分が増えていく(**)。

Bateman, R. J., Xiong, C., Benzinger, T. L., Fagan, A. M., Goate, A., Fox, N. C., ... & Holtzman, D. M. (2012). Clinical and biomarker changes in dominantly inherited Alzheimer's disease. New England Journal of Medicine

, 367(9), 795-804.
「世界には、遺伝的に若くしてアルツハイマー病を発症する家系というものがある。発症率が100%の遺伝子型(APOEε4)を持っている人たちがこの世には存在するんじゃ。この動画は、彼ら遺伝性アルツハイマー病患者の脳画像を、発症25年前から発症後10年までの35年間分、ずらっとつなげたものじゃ。色が変わっているところがアミロイドβの蓄積が見られる部位じゃな」

久賀谷 亮(くがや・あきら M.D. / Ph.D.) 医師(日・米医師免許)/医学博士
イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチメンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。
2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。
脳科学薬物療法の研究分野では、2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン
著書に『脳が老いない世界一シンプルな方法』『世界のエリートがやっている 最高の休息法』『脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]』、監訳・解説書にジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』(以上、ダイヤモンド社)がある。