藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

一周回って

一生懸命コツコツ整備したインフラが、ある時点を境に必要なくなる。
例えば電話線。
通してしまった道路や上下水道
郵便局。
そしてそれまで整備が出来なかった途上国が「一足飛び」にサイバー先進国になる。
そう考えると何やら「ただコツコツと」努力しているのは(努力はとっても大事だけれど)必ず報われるものではない、という怖い現実を考えてしまう。
あれだ。
負荷のゆるい筋トレで筋肉はつかない、てやつ。
ちょっと違うか。

だからコツコツ、は必要だけれどそういう「一足飛び」を考えておいたほうがいいということだろうと思う。

つまり、技術でも政治でも、官権力でも皆同じだ。
「自分が何かを既得した」と思う安心感は誰にでもある。
だって安心だもの。
「食えるかどうか」「住み家があるかどうか」が一番の関心事だ。

つまりともかく「衣食住」について自分たちが「脅かされないこと」というのは結構な優先事項だった。

それこそが安心だったのだと思う。
そんな安心の基準は、頑固ながら少しづつ変わりつつあるようだ。
(つづく)

プーケット島、島まるごとキャッシュレスに
世界有数のリゾート地、タイのプーケット島がIT(情報技術)を活用した「スマート島」に生まれ変わろうとしている。現地旅行会社がこのほど、決済、緊急通報、位置確認などが可能なQRコード付きのリストバンドを開発。タイ政府も普及を後押ししており、観光地を多数抱える同国の必需品として今後爆発的に広がる可能性もある。


「ここの読み取り機にリストバンドをかざしてください」。プーケットのアオ・ポー桟橋では海に向かう多くの観光客がQRコードが印刷された黄色いリストバンドを巻き、桟橋に設置された自動改札風の読み取り機に手首をかざして出入りしている。同島の旅行会社、プーケット・パトリツアーが開発したスマート・リストバンド「Flowlow(フローロー)」だ。
観光客は事前に自分のスマートフォンスマホ)でQRコードを読み込み、名前やメールアドレス、パスポート番号などを登録する。桟橋から出入りした人の情報は記録されるので、事故が起こったときにツアー会社が誰がいないかをすぐ特定できる。


7月末から緊急通報と医療保険のサービスを始めた(タイ・プーケット島)
プーケット・パトリツアーは2500万バーツ(約8500万円)を投じ、スマート・リストバンドを開発した。開発は韓国企業に委託した。タイ政府、プーケット県は観光地をITで活性化する「スマート観光都市」を進めており、プーケットはそのモデル地区に選ばれている。スマート島化に好意的な商店、旅行業者も多いもようで、官民挙げて普及を後押しする動きが広がりそうだ。
同社はまず、30万本のリストバンドを製造した。ツアー参加者向けに1本50バーツで販売している。現在は同社が管理するアオ・ポー桟橋から出航する観光客のみが装着するが、今後はサービス範囲を拡大する計画だ。同社のチャイヤ社長は「プーケットのすべての桟橋の管理者と話を進めている。将来的には空港でも提供できるようにしたい」と話す。
中国人観光客を呼び戻す狙いも

タイ政府がスマート観光都市に力を入れる理由の一つは中国人観光客だ。2017年にタイを訪れた3500万人の外国人のうち、29%が中国人で、キャッシュレス決済、安全対策などを求める声が多い。7月にプーケットで中国人が死亡する転覆事故があったことも、スマート化を早めるきっかけとなった。
転覆事故では中国人観光客を乗せたボートが悪天候のもと出航を強行し、転覆。救出が間に合わず、50人近くが死亡した。一時的に中国人観光客が激減した。地元のアンダマン海観光業協会は「中国人観光客の減少による経済損失は7〜8月だけで420億バーツ(約1428億円)」と推計する。スマート・リストバンドで遭難時の救出が容易になれば、中国人へのアピールになる。
プーケット県は19年末までに、3300台の監視カメラを繁華街に取り付ける計画を進めている。顔認証と組み合わせて指名手配犯らの発見に役立てる。
観光地のスマート化は日本でも進む。アリババ集団、騰訊控股(テンセント)は富士山近辺、九州など中国人が多く訪れる観光地で、スマホ決済の導入を進めつつある。キャッシュレス途上国の日本は中国人からすれば不便きわまりなく、対応が不可欠だからだ。
バンコク=岸本まりみ)