藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ITが投げかける問い。

自分が小学校の頃には、駅の改札にはズラッと「切符を切る人」がいた。
リアルな人間が一枚一枚、パチッと厚紙の切符に切れ目を入れていたのだ。
それが自動改札になり、やがてスイカのような電子切符になった。

深刻な人手不足やネット通販との激しい競合にさらされている日本の小売業。
効率性を追求しながら来店客の利便性も高める「無人店舗」は、来年以降も大きなキーワードとなるのは間違いない。

「人」をいかになくすか。
つまり「人」がどれだけ必須なのか、が問われている。

レジ業務などの負担がなくなるため、「店舗の大きさにもよるが、人件費を3〜5割程度減らす効果が見込める」

コンビニのレジに今は外国人がいる。
けれど、それももったいない。
つまり「人がやらねばならない仕事」はどんどん追及され、置換されている。
人とは高コストなのだ。

街中の販売員とか、御用聞きの営業とか、機械化できる農業や工場の作業とか。

それだけ自動化して、「解放された人間は一体何をするのか」ということはともかく。
まず「どれだけ人はいなくていいのか」がここ数年のテーマになるようだ。
ホワイトワーカーもターゲットになる。

そう思えば、自分の仕事が「どれだけ人間性が必要か」と考える契機にもなるだろう。
絶対私でないとできない仕事、ってなんだろうか。

アマゾン・ゴーに負けない、日本でも無人店続々 今年1月、米アマゾン・ドット・コムがシアトルに開いたレジの無いコンビニエンスストア「アマゾン・ゴー」。人工知能(AI)など最新技術を駆使し、レジ待ち時間を無くすなど来店客の利便性を高める。世界有数のIT(情報技術)企業の新戦略に多くの関係者が衝撃を受けたが、日本でも「アマゾンには負けない」とばかりに、新たな挑戦が相次いでいる。
東京都北区のJR赤羽駅。朝夕のラッシュで混み合うホームに10月中旬、見慣れない外観の建物が登場した。JR東日本とIT企業のサインポストが2カ月の期間限定で開いた実験店舗だ。

広さは通常のコンビニの10分1程度の約21平方メートル。取り扱う商品も飲料や菓子など約140種類に絞り込んだ。店内には店員がいない「無人店舗」で、見学を含めた来店客でにぎわう。
この店には入り口で交通系ICカードをかざして入場する。店内にはカメラが計約100台設置されており、天井からは客の行動を撮影。陳列棚に設けたカメラは商品の動きを追う。客が商品を手に取ると画像から商品を認識。最終的に客が退場ゲートに進むと、購入した商品と合計金額が画面に表示される。確認したうえで、ICカードをかざすと決済が終了し、ゲートが開く仕組みだ。
決済手段も様々

店舗にある商品はすべて事前に画像情報として登録されている。一般的なPOSレジで読み取るバーコードや、無線通信機能を持つICタグなどをつける必要は無い。技術的にはICカードだけでなく、クレジットカードなど様々なタイプでの決済が可能だ。
昨年11月にも埼玉県のJR大宮駅で同様の実験を行った。その際には店舗に一度に入れる客は1人だけだったが、購入する商品の画像認識の精度などを高め、赤羽駅では同時に3人まで入店できるようにした。サインポストの蒲原寧社長は「3人に限定しているのは店舗の大きさから。技術的には何人でも対応できる」と話す。
蒲原氏は今春、米国でアマゾン・ゴーを視察した。「技術の詳細はわからなかったが、我々のほうが簡便なシステムだという手応えを感じた」と自信を示す。特殊なセンサーなどは使わず、カメラを後付けするだけなので、既存店にも組み合わせやすいという。
無人店舗は開発・導入に関するコスト的な課題はあるが、人件費が高騰するなかでは省人化のメリットが大きくなる可能性もある。代金を支払うためにレジに並ぶといったこともなくなり、来店客の利便性も高まる。

日本の小売業がアマゾン・ゴーに高い関心を寄せる背景にも、世界のネット通販の雄であるアマゾンが取り組むという注目度に加え、国内の深刻な人手不足がある。赤羽駅の店も商品の補充などで人手はいる。しかし、レジ業務などの負担がなくなるため、「店舗の大きさにもよるが、人件費を3〜5割程度減らす効果が見込める」(蒲原氏)という。共同で実験するJR東日本も人手不足などを背景に、今回のような「無人店」の多店舗展開を目指したい考えだ。
一方、西日本にあるテーマパークには11月、無人の土産物店が登場した。来店客は顔認証で入店し、セルフレジで現金決済する。システムを開発したテクムズ(名古屋市)は、1秒間に最大20人の客の顔を識別できる技術を持つ。同時に複数の客が来店しても対応が可能だ。テクムズは製造工場の品質検査向けに開発してきた画像処理技術を小売り向けに応用する。赤外線カメラと距離を測るカメラで、客が棚のどの位置から商品を取ったかを把握。AIを使って画像情報の中で客が手に持った一定の範囲だけを商品として認識する。このため、処理速度が速くなるうえ、大型のサーバーなどが必要ない。
初期費用安く

設置するカメラの台数も少なく、既存の設備をそのまま活用できる。約30平方メートルの店舗の初期導入費用は500万〜1千万円程度。1億円以上の導入コストがかかると見られているアマゾン・ゴーなどに比べて割安だ。鈴木孝昌代表取締役は「さまざまな小売事業者から引き合いが来ている」と話す。19年中に1千店での採用を目指す。
同様に既存店でも導入しやすい仕組みを構築するのがシステム開発のオプティムだ。4月には佐賀市佐賀大学構内に無人店舗の1号店を設けた。工具などのネット通販サイトを運営するモノタロウとの共同店舗だ。
約100平方メートルの店内には、文具や実験用品、パソコン関連用品など2000品目をそろえる。客は専用のスマートフォンスマホ)アプリに表示されたQRコードをゲートにかざして入店。購入する商品のバーコードをアプリで読み取り、登録してあるクレジットカードで決済する。
店内にはセキュリティー用にカメラが数台設置されているが、オプティムの鈴木浩嗣プラットフォーム事業本部マネジャーは「商品認識にカメラを使用していないので、設置台数を抑えられる」と話す。入退場ゲートや画像解析のための専用サーバーなどは必要なものの、アプリ開発などの費用を除けば初期費用は300万〜400万円で済むという。人手確保に苦しむ地方店などで、初期費用をかけずに店舗作業を省力化したいニーズは大きいと見る。12月中には岐阜県内の商業施設で開発したシステムが採用される予定だ。
アマゾンはアマゾン・ゴーを21年までに約3千店に増やす計画を掲げる。中国では現地企業などが運営する無人店がすでに1千店に達しているともされる。「現時点では米国や中国に対して出遅れ感はあるが、技術を持つ各社が連携すれば開発は加速する」(テクムズの鈴木氏)。
国内最大のコンビニチェーンであるセブン―イレブン・ジャパンも12月、NECの顔認証技術を活用した店舗を開く。深刻な人手不足やネット通販との激しい競合にさらされている日本の小売業。効率性を追求しながら来店客の利便性も高める「無人店舗」は、来年以降も大きなキーワードとなるのは間違いない。
(企業報道部 岩野孝祐)
日経産業新聞 2018年12月13日付]
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