藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

介護の目的。(2)

*[大人の責任]
介護の相談に接していると、つくづく「老いる側の覚悟」に考えが行く。
認知症や入院など、介護が始まる当人に「どうしたいか」という意思が欠けているのだ。
さらに認知症が重くなると、もう考えることそのものが難しい。
残された家族は「どこまで治療するか」「どんな施設を使うか」「どこまで家族で頑張るか」をめぐって右往左往する。
老いる側としては「ここまでは世話をしてほしい」とか「一切の介護は施設で」とか「延命治療はしないで」ということを細かく示しておく必要があると思う。
これから老いる側のマナーである。
これは医療の問題でもあって、医者や病院の導くままに大量の治療や投薬や手術をして「本当にそうしたかったのか?」という患者さんも多い。
抗がん剤など本当に望んで使っている人がどれほどいるのか、と思う。
(なぜならご本人に薬の名前や効能を聞いてもほとんどご存じない)
 
医師や行政が「各々の理屈」で恣意的に動くのは今に始まったことではなく、嘆いても始まらない。
だからせめて"自分の老い方"についてはあらかじめ意思表示しておくのが大人の責任だと思う。
医師や施設のいうままに、高額な費用をかけて長期間過ごすことを自分は望むのかどうか。
「これからの年寄り」の重要な心構えに違いない。

施設居住費が年間30万円減も 介護料金が戻ってくる裏ワザ

2/19(火) 9:26配信
 先週は「親が死んだらどうするか」を特集し、死亡届や年金受給の停止手続きなどについて説明した。そして今週は、自分が旅立つことを想定し老前整理を考えてみた。初回は老人ホーム選び。併せて、お金が戻ってくる裏ワザも紹介する。
 
子供に迷惑をかけたくないなどの理由から、将来的に特別養護老人ホーム(特養)などの老人福祉施設への入居を希望する人は多いだろう。
 
ただし、福祉法人や自治体が運営する特養は月額費用が8万~15万円と安い代わり、入居待ちが200人といったケースも。入居基準も要介護度3以上と厳しくなっている。
 
そうなると、有料老人ホームへの入居が現実的になるが、金銭的な負担はグッと重くなる。
 
一般社団法人「終活コンシェルジュ」の理事がこう言う。
 
「特養は部屋自体は余っていますが、介護職員不足で定員を増やせない状態です。月5万円程度からの負担で済む『軽費老人ホーム』(A型、B型、ケアハウス)もありますが、いかんせん数が少ない。そこで、民間の有料老人ホームを探すことになりますが、都市部はとくに料金が高く、80歳くらいで資金がショートしてしまう方もいます」
 
有料老人ホームといっても、「介護付き」「サービス付き」「自立(健康)型」があり、立地条件やサービス内容によって料金もまちまち。費用は入居一時金と居住費からなり、最近は「入居一時金0円」の施設も増えている。だが、入居一時金がない分、その費用は居住費に上乗せされ、月額で25万円以上になるのが相場だ。例えば、千葉県浦安市にある介護付き有料老人ホームは、入居一時金を払えば居住費は月額21万3800円に抑えられるが、完全月額払いだと15万円高い36万3800円になってしまう(別表①)。
 
斉藤理事が指摘する通り、資産を食いつぶしながら入居していると、80歳を過ぎてお金が払えなくなるケースも出てくる。全国有料老人ホーム協会によると、介護付き有料老人ホームの入所期間は3~5年が35%で、平均すると約4年だ。結局、子供らが資金援助する事態になりかねない。
 
介護保険料も戻ってくる
 
となると、少しでも月々の介護費用を減らしたいところだが、うってつけの裏ワザがある。「」という方法だ。
 
世帯分離とは、同居していながら住民票の世帯を分けること。介護サービス費は“世帯所得”によって負担が決まる「高額介護サービス費の上限」制度がある。
 
簡単に説明すると、サラリーマンの息子と同居している場合、自己負担の上限は4万4400円だが、世帯分離して年金暮らしの単独世帯(年金収入が年間80万円以下など)になれば、上限は1万5000円になる。上限を超えた分は、申請すると戻ってくるのだ(別表②)。
 
もちろん、世帯分離は合法な制度だ。
 
「高額介護サービス費の上限は、あくまで世帯所得で計算されます。世帯分離し、介護利用者の方の年収が少なければ負担上限は1万5000円になります。また、老人ホームなどに入所させ、その施設住所に住民票を移せば、自動的に世帯分離します」(江東区役所介護保険課担当者)
 
つまり、すでに子供と同居している人や、これから子供の家で預かってもらう人も、世帯分離をしておくということ。老人ホームに入所する際も、面倒でも住民票は移動させた方がいい。
 
さらに、老人福祉施設に入れば、「特定入所者介護サービス費」の負担軽減制度もある。特養や介護老人保健施設などでは、居住費や食費も世帯所得によって決まり、特養(従来型居室)の1日当たりの居住費は320~1150円。サラリーマンの息子と同一世帯であれば1150円×365日の年間41万9750円の負担だが、住民税非課税世帯であれば11万6800円と約30万円も安くなる。食費も世帯所得によって1日300~1380円と変わるから、その差は大きい。
 
子供らに迷惑をかけたくなければ、きちんと世帯分離をしておきたい。