藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

マイノリティの側で。

日経、バチカンの児童性的虐待の記事。
*[次の世代に]常識は永遠ではない。
LGBTと聞いて「ああ、それね」という空気になったのはここ一、二年のことだ。
これまではマイノリティと扱われてきた人たちの声が、当たり前に表に出てくるようになった。
そうして多くの人たちの発言を聞けば「ああなるほど」とその「多様性」に自然に納得がいく。

当事者の気持ちを考えずに、世のステレオタイプで他人を「白い目で見る」ことに自分たちはよほど注意しなければならない。

 国籍がどう、出身がどう、学歴がどう、職業がどう(これはちょっとあるかな)、信仰がどう、ということで他人を「型にはめる」ことを自分たちはしやすい。

そうした「思考のパターン化」は便利なこともあるが、とんでもない考え違いを見過ごすことも多い。
常識は疑え、だ。
マナーでも常識でも、規制でも、法律でも、習わしでも「疑ること」がなくなると硬直化する。
自分の日常や、ルーティンの習慣なども見直す目があるべきだ。
素に戻って考えてみれば「おかしなことが習慣化している」というのは病気の原因ではよくある話だ。
 
それはともかく。
聖職者の地位の高い人ほどに、(あるいは世の中の一定割合で)幼児性愛者がいるらしい。
それらの人を押し込め、時には暴いて糾弾するだけでなく、人の英知を集めて研究をするべきではないだろうか。
なぜ幼児性愛が存在し、人類にとってこれは許されず撲滅されるべき存在なのか。
そうした欲求を鎮める手立てはないのだろうか。

 LGBTの人たちの社会化を見るにつけ「今の常識は果たして永遠か」と思わざるをえない。

児童虐待は許されないと思うが、ただそうした所業を見つけて叩くだけでは原因の追求には程遠いだろう。
 
マイノリティの心情にもっと寄り添う必要があるのではないだろうか。
 
 
 
バチカン高位枢機卿、児童性的虐待で有罪
2019年2月27日 6:48
ローマ法王庁バチカン)のジョージ・ペル枢機卿(77)が、オーストラリアのメルボルン大司教だった1996年に聖歌隊の少年2人を性的に虐待したとして、有罪の評決を受けた。聖職者による子どもへの性的虐待の根絶に取り組むローマ法王フランシスコにとって、今回の有罪は大きな打撃となる。
27日、メルボルンの法廷に出廷するペル枢機卿=ロイター
ペル被告は昨年まで、法王が最も信頼を置く顧問の一人で、バチカンの財務担当のトップを務めていた。未成年者への性的虐待で有罪となったカトリック聖職者の中では最高位となる。
法王は21日からローマで開いた会議で、この問題への具体的な対応を約束したばかりだった。
メルボルン地方裁判所では2018年12月11日、陪審員が全員一致で有罪評決を下したが、裁判所の命令により今月26日まで報道が禁じられていた。同じ罪に対する昨年の裁判では、評決がまとまらなかった。
ペル被告は16歳未満の未成年者への性的行為1件と、子どもとの、ないし、子どものいる場所での、わいせつ行為計4件の罪で有罪となった。虐待は96年と97年、メルボルンの聖パトリック大聖堂で行われ、裁判ではペル被告が13歳の聖歌隊の少年の友人を虐待した後その少年に性的行為を強要したとする証言があった。
ペル被告は以前に警察の取り調べに対し、自分にかけられた嫌疑は「クズとうそばかりだ」と否認していた。評決を上訴し、身の潔白を引き続き主張する意向を声明で明らかにした。
一方、裁判で証言した被害者は声明で、虐待により恥辱感や孤独感、鬱状態にさいなまれ、自分の人生に与えた影響を理解するのに数年かかったと明かした。
この被害者は「恐れるべきだった人を信頼していたことにある時点で気付き、その後は信頼すべき真の関係を築くことに恐怖を感じるようになった」と語った。メディアには身元を公表しないよう要請した。
ペル被告は16年、裁判に臨むためバチカンの財務事務局長官の役職を無期休職した。量刑についての判決は来週言い渡される。
被告は14年、法王からバチカン財政問題を解決するよう命じられ、18年12月に外されるまではバチカンの非公式内閣「枢機卿顧問評議会(C9)」の一員も務めていた。
カトリック教会による性的虐待への対応を巡っては不祥事が相次いでいる。小児性愛者の神父に対して聖職者の地位を剥奪したり、警察に届け出たりするのではなく、教区を定期的に異動させていたことを示す証拠が明らかになっている。
2月初めには、法王はバチカンが児童に対する性的虐待で有罪と認めた88歳のセオドア・マカリック元ワシントンDC大司教から聖職を剥奪した。近代では、聖職を剥奪された最高位のカトリックの聖職者となった。
この虐待スキャンダルは、法王と保守派との亀裂を生む原因となった。
ローマでの会合の直前、保守派の枢機卿2人が法王に「同性愛問題の災禍がカトリック教会内に広がっている」とする公開書簡を送っている。
昨年、バチカンの駐米大使は、米国内での聖職者の性的虐待のもみ消しに法王自身が関与したとして糾弾する書簡を公開している。
ペル被告はカトリック教会が90年代半ばに設立し、管轄する性的虐待の被害者補償制度「メルボルン・レスポンス」の設立者の一人だった。この制度では虐待の疑惑について調査し、当初の補償金は最高5万豪ドルに設定されていた。一方、これは教会から独立しておらず、被害者にさらなる苦痛をもたらすとして被害者グループから批判されていた。 
ペル被告は子どもへの性的虐待に対する組織的対応についての政府諮問審議に数回出席。直近ではローマからテレビ会議システムを通じて参加した。審議では、70年代~80年代に幹部を務めていたビクトリア州バララットでの複数の神父による性的虐待について、知らなかったと発言。虐待の被害者を「黙らせようとした」との訴えも否定した。
2015年にペル枢機卿から受け取ったクリケットのバットにサインをする法王=ロイター
被告は幅広い人脈を持つことで知られ、豪州の政界やメディアに影響力を持つ友人のサークルを築いていた。カトリック教会の代表としてペル被告の性的虐待問題への対応に批判が高まるなか、こうした友人らは被告を擁護し続けた。
豪州のアボット元首相は13年の首相就任直後、メルボルンのラジオ局の取材に対し、ペル被告は性的虐待問題に真剣に取り組んだ初の幹部聖職者だと評価し、彼のためなら時間を惜しまないと述べた。17年にペル被告が刑事責任を問われても、アボット氏はメディア大手フェアファックスへの声明で「法的手続きによる決着をつけなくてはならないのは当然だが、私の知るジョージ・ペルは非常に立派な人物だ」と擁護した。
ニューカッスル大学の講師で、豪州宗教学会の副会長を務めるキャサリンマクフィリップス氏は、ペル被告は50年代型の保守的な神父で、豪州の司祭たちから特に好かれていたり、彼らと仲の良い同僚であったりしたわけではないと語った。
マクフィリップス氏は「ペル氏は虐待の被害者への対応が冷たく、計算高く、親身ではないとみられることも多かった。豪州王立委員会による組織的な未成年者への性的虐待調査に証拠を提出する際は、こうした態度が顕著だった」と振り返った。
今回の有罪評決を受け、法王への圧力は一段と高まる公算が大きい。法王は21日から4日間、聖職者による未成年者への性的虐待問題に対処するため、190人の司祭を招集してバチカンで最高幹部会議を開いた。被害者グループが要求していた神父による虐待の防止と処罰に向けた具体策の提案には至らなかったが、法王はこの問題への対応を変える姿勢を示し、子どもを虐待した聖職者を「悪魔の手先」と呼び、発覚した全ての問題に「厳粛に」対応することを約束した。
マクフィリップス氏によると、ペル被告は27日の審議後に禁錮刑を言い渡され、法王から聖職者の地位を剥奪される可能性が高いという。
By Jamie Smyth
(2019年2月26日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
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