藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

軽薄上等。

*[次の世代に]時代の流れとはいえ。
ついにひげ剃りシェーバーにもAIが搭載されたという。
流行とはいえちょっとひどい。
出自がIT屋である立場から言わせてもらうと。
この(AIという)用語があまりにも広く使われているため、VCの投資家は本物のAI事業と「いわゆるAI」事業の見極めが困難になっている。
「お金を扱う側」が混乱していてはちょっとしたパニックだ。
ITの専門家は皆知っていると思うけれど、今使われている「AI」はどれもAIではない。
どれも「プログラムの塊」でしかない。
それがパフォーマンスを上げたり、ネットワークでデータを共有しているものがAIを騙っている。
 
では本物ののAIは何か、というと自分はこれも「巨大なプログラムの塊」ではないかと思っている。
ただし、自分自身のプログラムを書き換えたり、まったく新しいロジックを組み立てたりするところまで「自動化」されてしまうと、
そこから先は元の開発者の制御がきかない。
プログラムロジックが無数に実行され、互いの実行結果が「人の判断なしに相関し合い」まったく元の開発者の知らないロジックを作り出すのがAIの正体なのだろう。
そしてそうしたデータが無数に集まれば、今の人間には感知できない社会の傾向や新しい可能性も察知できる可能性がある。
業界の人は知っているだろう。今の「AI搭載」という製品の多くは、それを騙る単なるプログラム製品であることを。
 
けれど、多分いつか家電や自動車も完全に機械任せの時代が来る。
"AI搭載"というキャッチにはそんな将来への期待と、「今の競争に勝ちたい」というあざとさが入り混じっているのだ。
だからこそ、軽々しくは口にしないのが専門家の矜持ではないだろうか。
 
 
 
  
誇大広告? 「AI使ってない」AI企業が続々
2019年3月6日 6:10
欧州の人工知能(AI)スタートアップ企業のうち4割は、製品にAIプログラムを全く使っていないことが、調査で明らかになった。AIを巡る誇大な売り込みの実態を浮き彫りにしている。
AIビジネスは世界的な関心の的となっている(1月、米ラスベガスで開かれた家電・技術見本市CESで講演する主催団体CTAのゲイリー・シャピロ会長)=ロイター
ロンドンのベンチャーキャピタル(VC)、MMCベンチャーズが公開情報や企業経営者からの聞き取りを元に調査したところ、欧州のAIスタートアップ企業2830社中40%でAI技術を応用している証拠が見つからなかった。
にもかかわらず、こうした企業はAIが事業の中心だと称される場合が多い、と調査の責任者であるデイビッド・ケルナー氏はいう。ただスタートアップ企業の多くは将来的には機械学習のプログラム開発計画を持っているとも指摘する。機械学習とはコンピューターが自動的に経験から学習しプログラムの性能を向上させるAI技術だ。
例えばロンドンを拠点とするスカイスケープは、未使用の屋上スペースがドローンの着陸や都市農業などのプロジェクトに使えるか分析している。現時点では機械学習やAIを用いていないにもかかわらず、AIスタートアップ企業として扱われている。
「現在、AIの実用化を目指してデータと知識の収集に取り組んでいる」と同社の最高経営責任者(CEO)で創業者のブランドン・ベル氏は話す。「AIはスイッチを入れれば使えるような簡単なものではなく、多くの準備が必要だ」
同社のウェブサイトにはこう書かれている。「スカイスケープはAIを使って屋上スペースを分析し、最適な活用法や都市の課題解決に役立つ利用法を突き止めます」

資金調達で有利に

これまでAI事業を標榜する企業は、他のソフトウエア企業に比べて大型の資金調達や高い企業評価額を獲得してきた。MMCの調査によると2018年、資金調達1回あたりの平均額はAIスタートアップ企業がソフトウエア・スタートアップ企業より15%高かった。
「(AIを持ち出して)資金を調達したいと考える企業にすぐに飛びつくVCが欧州には多い」とケルナー氏はいう。
人工知能」という用語が指す中身はさまざまだ。タスクを自動化する単純なプログラムから、データ処理を行う複雑なニューラルネットワーク機械学習アルゴリズムまで、レベルの異なる技術がひとくくりにAIと呼ばれてきた。この用語があまりにも広く使われているため、VCの投資家は本物のAI事業と「いわゆるAI」事業の見極めが困難になっている。
アルゴリズムの構築にしてもさまざまな複雑さのレベルがありうるが、実際よりも過大なレベルのものを構築しているように言い張る企業が多い」と英VC、ブロッサム・キャピタルのパートナーであるオフェリア・ブラウン氏は話す。「事前に精査を行うのは投資家の責任だが(中略)多くのVCにはその能力がない」
政治家は人工知能の成功例を宣伝したり、同分野に使途を限定した資金を提供したりすることで「AI」企業への投資熱に加担してきた。欧州各国はとりわけAI事業の助成が盛んなことで知られるようになり、医療、金融、メディアの各分野をターゲットにした企業が爆発的に誕生した。
MMCの調査によると、欧州で1年間に設立されたスタートアップのうちAI企業の占める割合は、15年の約3%から18年は8%近くにまで上昇し、国別では英国企業が最も多かった。英国からは、のちに海外企業に買収された世界有数のAI企業が生まれている。米グーグルのディープマインド、米マイクロソフトスイフトキー、米ツイッターのマジックポニーがその例だ。
しかし、VC業界はAI周辺で高まる狂乱に惑わされてはいけないと投資家は口をそろえる。「バズワード(流行語)にとらわれるのは決して得策ではない」と英VC、ドレイパー・エスプリのサイモン・クックCEOはいう。「AIはもはや軽々しく使われることの多い何でもありの言葉になってしまった」
By Aliya Ram
(2019年3月5日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
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