藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

経営の極意。

*[次の世代に]選択のタイプ
多くのビジネスリーダーと会ってきましたが、彼らは楽天的か現実的かの2タイプに分かれます。
さてさて。
この短い一文がなかなか悩ましい。
"比較的"楽天的か、現実的か。
というだけで4タイプだ。
さらに"場合によっては"という接頭語を加えれば✖︎2で8タイプになる。
天の運・地の運・人の運などともいう。
じゃあさらに✖︎3で24通りだ。
 
何についても「選択」には迷いがつきまとう。
不安と期待。
確かなものと不確定なもの。
お金や人。
そして顧客。
考えれば正解などあろうはずもなく。
何千通りも道はある。
その。
「何千通り」からどれを選びつつ進んでいくか、が経営そのものだと思う。
そして経営は会社だけではなく。
自分の生き方もこれぞ経営だ。
知らずに流されていくのはもったいない。
楽天的か現実的か」から始まって、自分の生き方をよく分析して見るのは案外面白いものだ。
 
自分の場合は"楽天的✖︎人の運"、あとはたまたま"時の運"という感じがする。
世の中には「発想はよかったが早すぎた(遅すぎた)」という話はたくさんある。
難しいけれど「時流」を読むのも大事な選択だと思う。
 
 
ライブドア社長の経験で得た教訓
2019年3月20日 21:30
 29歳でライブドアの社長に就任し、多くの経験を得る。
経営には計算、経験、勘の「3K」が必要と言われますが、私には経営者としての経験が不足していました。英語のことわざには「Fake it till you make it.(できるまで、できるふりをしろ)」という表現があります。プロジェクトマネジメントをどう進めるか。チームマネジメントをどう構成するか。私は決断を迫られたときには、尊敬する経営者、本田宗一郎氏だったらどう判断するか、あこがれだった電通の元上司だったらどう決めるのかをよくイメージして参考にしていました。
ライブドア社長時代には経営者として新サービスを常に考え続けた(エンパイア・エンターテインメント・ジャパン提供)
多くのビジネスリーダーと会ってきましたが、彼らは楽天的か現実的かの2タイプに分かれます。客観的にみるととても困難な状況にあるのに楽天的に乗り越える経営者もいますが、私は現実的で慎重な「石橋をたたいて渡る」タイプなので、ギャンブラーのように大きなリスクに賭けることはしません。多くの楽観的経営者がビジネスチャンスとみるときも、私は常にリスクを計算して許容範囲内に抑え、問題点を早期発見する努力をしてきました。
しかし、ライブドア社長就任から1年たった2001年ごろからブロードバンド接続が急速に普及し始め、経営環境も急速に変化しました。ライブドアは赤字続きで黒字転換が難しく、完全に道を変えない限り繁栄も生き残りもなかったのです。しかし、変革を起こすにも十分な手元資金はなく前途は明るくありませんでした。私は危機を訴えましたが、楽天的経営陣との共通認識を築くのは難しいと痛感し、01年末に代表取締役から非常勤の取締役顧問に退きました。
 退任して約1年後にライブドアが破綻。自分が現実主義者であることを自覚した。
私の退任後ではありますが、ライブドアは新たな時代の波に乗りきれず02年に経営破綻しました。03年に民事再生法の適用を受け、その後に堀江貴文氏のオンザ・エッヂにのれんを売却。社名がライブドアに変更されて、世間にその名が知れ渡ることになります。
この経験で得た教訓について常々考えます。私が手にしたカードは最初から勝てないものだったのか。私が他にできることはなかったのか。この疑問に答えを出すことは簡単ではありませんが、その後に経営者として数々の決断を下す際に、自身が現実主義者であり慎重なやり方が強みであることを自覚するきっかけになったと思います。
29歳でライブドアの社長になってから2年たったころ、社会人生活も8年目ということでいったん自分の人生を見つめ直したいと考えました。休みなく走り続けてきたので、仕事から離れてこれまでやりたくてもできなかったこと、興味があることにチャレンジしてみたくなったのです。幸い日本ゲートウェイ時代に取得したストックオプションがあったので生活に余裕はありました。
(流合研士郎)
日経産業新聞2019年3月20日付]