藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

職業個性の時代。

*[次の世代に]若者とサシで話せるか
口コミサイトの台頭で、企業の職場環境の声が透明になるのは当たり前。
そんなところに「お化粧」して学生を呼び込もう、というのがそもそも時代錯誤だったと思う。
それはともかく。
 
今の就活生の人気企業は「日本企業は野村総合研究所三菱商事伊藤忠商事三井物産の4社だけ。残りはボストン・コンサルティング・グループなど米国系のコンサル会社が占める。という。
メガバンクや航空会社がないのはさておいて。
"コンサル企業""投資銀行"が人気トップの社会は果たして健全なのだろうか。
三菱商事は配属時に丁寧に学生と面談するという。
また「就職してからの学び」に関心のある学生も多いらしい。
さらに外資が人気なのは「評価の指標がわかりやすい」ことも大きいと思う。
若者は「ぼんやりと抽象化された組織の業績評価」に納得していないと見るべきだろう。
 
ギスギスと「個人業績至上」でもなく「チーム目標」だけでもなく。
「上昇志向」や「安定志向」の若者を柔軟に取り込めるかどうか。
つまりそんな個性に合わせた「職場のプログラム」を編み出せるかどうか、がこれからの課題になるのだと思う。
若者には、もう"十羽一絡げの時代は完全に終わった"という覚悟で接する必要があるだろう。
 
透明化する仕事選び 社員の意欲を高めるカギは 編集委員 西條都夫
2019年3月20日 21:30
2020年春入社の就職活動が1日に本格解禁された。「平成最後の就活」が幕開けしたわけだが、就活口コミサイトを運営するワンキャリアの北野唯我執行役員は、今年の特徴を「透明化される仕事選び」と定義する。言い換えれば、会社側が職場のお粗末な内実を隠して、うわべを化粧しても、嘘を就活生に見透かされる。そんな時代が到来したという。

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日本経済新聞編集委員が注目のニュースをピックアップ。経済、政治、経営など様々な出来事の読み方を分かりやすく解説します。随時掲載
これまで就職市場は情報の非対称性が顕著だった。採用する側の企業には過去のデータに基づいた学生や大学についての情報が豊富にあるが、学生側は会社の実情についてのリアルな情報に乏しい。
入社して初めて勤務実態や職場のカルチャーを目のあたりにして「こんなはずではなかった」と嘆く新入社員も少なくなかった。
ところが、口コミサイトの台頭が事態を変えた。「食べログ」などの口コミランキングが「ぼったくり」の居酒屋を淘汰したように、ワンキャリアや転職口コミサイトの「ヴォーカーズ」に寄せられた情報が会社の内実をさらけ出す。学生サイドも職場の実態について、かなり信ぴょう性の高い情報を入手できるようになった。
学生は企業の本当の情報を集めやすくなっている
こうしたサイトの特徴は「半実名」だ。「誰が口コミを書き込んだのかは明示されないが、裏ではサイト運営会社が学生証を確認するなどして、書き込む人の認証をしっかりしている。そのため根拠のないゴシップや、ためにする悪口、会社側の宣伝はかなりの程度排除できる。それが情報の質を支えている」と北野氏は言う。
こうして職場の情報が自由に流通するようになった結果、一段とはっきりしてきたのが外資系の優位だ。
ワンキャリア調べによる昨年12月末時点の東大生と京大生の就職人気ランキングのベスト10をみると、日本企業は野村総合研究所三菱商事伊藤忠商事三井物産の4社だけ。残りはボストン・コンサルティング・グループなど米国系のコンサル会社が占める。
上位20社をみても外資優位は変わらず、日本経済の屋台骨を支える国内メーカーやメガバンクは1社もランクインしていない。
ヴォーカーズの総合評価ランキングでも、トップのグーグル合同会社をはじめ上位10社中、米国系外資が6社を占める。日本勢で上位に食い込んだのはリクルートマネジメントソリューションズや三井不動産で、やはり自動車などの基幹製造業や金融機関は見当たらない。
なぜこんな結果になるのだろうか。ヴォーカーズの増井慎二郎社長は「総合職採用が日本の社員のやる気を低くする元凶ではないか」と指摘する。総合職で採用されると、どんな拠点のどんな部門に配属されるか、基本的に会社の一存で決まる。運良く希望の部門にいけた人はいいが、多くの人は組織から与えられた仕事をするしかない。だから「やらされ感」が募るのだ。
ヴォーカーズの口コミでは30代のメガバンク元社員が「キャリアを自分で設計できないことが大きなリスク。(自分の希望や適正に関係なく)人事部が人事権を掌握して中央集権的に運営するのは組織にとっては必要かもしれないが、個人としては受け入れがたい」と書いていた。これが働く側にとっての総合職入社のリスクであろう。
一方で米系のゴールドマン・サックス証券投資銀行、エンジニアリング、投資調査、アセット・マネジメント、証券など部門別の採用だ。キャリアの自己決定感は邦銀に比べると、大幅に高そうだ。
日本企業のなかで例外的に社員のモチベーションが高い代表が総合商社だ。例えば三菱商事は総合職採用を実施しているが、配属については本人の声に耳を傾け、およそ8割の新入社員は希望どおりの部門に配属されるという。今年からは「成長対話」と称する上司との面談の機会を設け、傘下の事業会社を率いていける経営人材の育成をめざすという。
「個々の社員のキャリアデザインを会社がしっかり支える。それが社員のエンゲージメント(意欲)を高めるカギではないか」と同社の杉村隆之人事部長代行は語る。
もう一つ、やや変わり種だが、働く人の評価が高いのが特許庁だ。ヴォーカーズの評価ランキングでは官公庁部門で経済産業省財務省を抑えて首位だった。
口コミを見ると「充実した研修プログラムとマンツーマンの熱心な指導で短期間で成長できる」「学会に参加するなどして、継続的に学ぶ体制が整っている」とある。ここでも特許庁で働くことで自分自身の専門性やスキルが向上する、という実感が高評価につながっているようだ。
特許庁職員は公務員でそれほど給料が高いと思えず、働く人の満足度と報酬の多寡が必ずしも連動していないことも分かるだろう。総じて点数の低い日本の大企業は商社と特許庁に学ぶべき点が多いのではないか。
西條都夫(さいじょう・くにお)
 1987年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)などを経て経済解説部編集委員論説委員。専門分野は自動車・電機・企業経営全般・産業政策など。
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