藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

高齢者の知を生かす。

日経MJより。
*[次の世代に]場づくりこそが鍵
ようやく介護業界でも専門職以外の参加が検討されるようになった。
それはそうだ。
203年には30-80万人も介護人材が足りないなどと言われている。
こうなると「介護のための社会なのか」という感じもするが、ともかく事態は進行している。
介護は資格が必要ととらえられがちだが、資格を有していない人でもできる仕事はたくさんある。
例えば、介護施設のレクリエーションの仕事では、自分の特技を生かしてマジックを披露したり将棋の相手をしたりできる。
こうした介護未経験者や無資格者と施設をマッチングする。 
これはこれでいい。
さらに。
今度は「高齢者が役に立つ場の提供」だ。
例えば金融機関出身者に「お金と起業」について聞いてみる。
講演でも構わない。
タクシードライバーに仕事観を聞いてみる。
若い人にはためになるだろう。
アカデミックな世界にいた人に話を聞くのもいいだろう。
 
で。
もっといいのは「人生相談」だ。
精神年齢が実年齢より10歳は若いと言われる昨今、「なんでもない日常の悩み」を聞いてあげることの効用は計り知れない。
人の悩みは「共有すること」で驚くほど救われるものだ。
これから増える高齢者は「若者のメンター」よろしく、聞き役になったり、また時には真剣に対話したりすればいい。
 
今一般的になっている「カフェ」とか「地域のイベント」とかをアメーバ的に作るのがいいだろう。
 
悩める子供や青少年少女や、社会人や中年やら(老人も)が「集える場所作り」がこれからのテーマになるのではないだろうか。
そんな地域を作ってみたいと思う。
 
介護負担軽く、ベンチャー競う 排せつケアや人の仲介
2019年5月18日 19:30
人口の4分の1を高齢者が占める社会になり人手不足が各業界で進む中、介護業界における人材の不足が深刻な問題になっている。経済産業省の試算では2035年には79万人もの介護人材が不足するという数字もある。危機的な課題を解決するために様々なベンチャーが挑戦している。
スケッターは介護の仕事を短い時間でもマッチングする
例えば排せつ処理はヘルパーにも施設にも負担が大きく、介護される人にとってもストレスがたまる行為だ。人手不足の施設で業務効率を高めようとすると、排せつ介助の回数が少なくなりがち。するとおむつ交換が遅れ、便が漏れるリスクが高まる。介護される人が苦痛に感じるのはもちろん、シーツ交換や身体の洗浄など追加の業務が発生する。離職率が高まりさらに人手不足となる悪循環に陥りやすい。
そこでaba(アバ、千葉県船橋市)は排せつケアシステム「ヘルプパッド」をパラマウントベッドと共同で開発した。ヘルプパッドは身体に装着せずベッドに敷くだけで使える。臭いセンサーが便と尿を検知し、個人の経験と勘に頼っていた対応を施設全体で共有できるようになる。
また、介護は資格が必要ととらえられがちだが、資格を有していない人でもできる仕事はたくさんある。ボランティアとしてだけでなく報酬を支払う施設もたくさんある。プラスロボ(東京・港)が始めた「スケッター」は介護施設と働きたい人をマッチングするサービスだ。
例えば、介護施設のレクリエーションの仕事では、自分の特技を生かしてマジックを披露したり将棋の相手をしたりできる。こうした介護未経験者や無資格者と施設をマッチングする。
女性会社員(26)は絵手紙講師として参加者の作品を仕上げる1時間のイベントを手伝った。「サイトで事前に施設の人とやりとりができた。施設がイベントをデイサービス利用者に予告し、当日もスムーズに迎えてもらえた」と話す。
ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職
日々の業務に追われる職員がレクを企画するのは大変だが、介護される人には楽しみのひとつである。スケッターにより相互のメリットが実現できる。
プラスロボの鈴木亮平代表取締役は「介護業界が取り込めなかった層にアプローチでき、結果として介護業界に就職する人も増え、採用コストを10分の1にできる」と語る。単発でよいからと手伝っているうちに施設も体験でき、実際に働く人も増えるだろう。サービス開始2カ月で200人が登録しており、年内に1万人を目指している。
介護業界は重労働や低賃金のマイナスイメージが先行しがちだが、その分解決すべき課題の宝庫であり多くのイノベーションの可能性が残っている。政府は外国人労働者の受け入れを計画しており、どう働いてもらうかも課題となる。中国などこれから高齢化を迎える国にとっては日本は先行例になる。
介護は市場としてもますます巨大になる。工場のように無人化が進むだけでなく、アナログな労働とテクノロジーを共存させるのは日本企業が得意とするところ。ベンチャーにしろ大企業にしろ、優位性を築くチャンスがある世界と言えるのではないだろうか。
[日経MJ2019年5月17日付]