藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

老頼地図。

日経より。
*[ウェブ進化論]限りなく透明に
ウェブの父、バーナード・リーがIT大手から身を守る「個人情報の保護ソフト」を開発したという深刻な話。
(中国の石家荘市で)「老頼地図」というサービスを使い、半径500メートルに住む借金の未返済者の住所や氏名、借金額を表示。近くに100人以上いることがわかると、思わず顔をしかめた。
裁判所が情報提供をしているという。一方日本では先ごろ"破産マップ"が閉鎖された。
独裁国家はご免だが、情報の活用は彼の国がはるかに進んでいる。
もはや国家がIT大手にかなわない。
ウェブの閲覧履歴やスマホの位置情報、趣味など「秒単位で、部屋のどの椅子に座っているかまでわかる」という。
こうした貴重な情報は新しいサービスの開発やビジネスのタネになる。
匿名化し、限りなく透明にして外部共有して行くしかないだろう。
 
そうすることで最も活用が進む。
国も企業も国民もあげて進めるべきだと思うが、妙な寡占化防止や陰謀論などで規制をかけるのはやめてもらいたいものだ。
かけた規制をなくすのは、日本では至難の技だから。
 
 

逃れられない「監視」、個人しばる無料の罠

中国河北省の省都、石家荘市の一角。結婚に向け新居を探す喬茂虎さん(33)がスマートフォンスマホ)を熱心に操作し始めた。「老頼地図」というサービスを使い、半径500メートルに住む借金の未返済者の住所や氏名、借金額を表示。近くに100人以上いることがわかると、思わず顔をしかめた。「住環境が悪い」。別の場所に住もうと決めた。
老頼地図は、1月に中国のネット大手テンセントの対話アプリ「微信ウィーチャット)」の追加機能として登場。河北省の裁判所が公式情報を提供している。借金問題に厳しく臨む中国当局の方針と、あらゆるデータを囲い込みたいテンセントの利害が一致した。
テンセントの新サービスは周辺の債務者の人数も分かる(河北省石家荘市)
プライバシー保護の規制にあまり縛られず個人情報を集められる中国。その姿は、少数のIT(情報技術)巨人にデータが集約される「ニューモノポリー」のひとつの未来像でもある。
「グーグルは各国の情報機関が舌なめずりする究極の個人情報を握っている」。ベルギー在住で個人情報に詳しいトーマス・ビンジェ弁護士は昨年、ドイツ政府幹部の言葉に驚いた。もはや国家がIT大手にかなわない。ウェブの閲覧履歴やスマホの位置情報、趣味など「秒単位で、部屋のどの椅子に座っているかまでわかる」という。
SNS(交流サイト)や検索などのサービスは無料で使えるが、そこには利用者本人の想像以上の情報まで把握されるワナがある。
ドイツ連邦カルテル庁は2月、米フェイスブックのデータ収集を大幅に制限するよう命じた。同社が提携先の外部サービスなどから広くデータを集めている点を問題視。「多くの利用者は気づいていない」とし、はっきり同意をとらないままの収集を禁止した。
その巧妙さをとがめる声も高まる。ノルウェーの消費者協議会は18年、「グーグルなどは利用者をプライバシー保護から遠ざける工夫をしている」と警告した。例えば位置情報の提供停止のためのクリックに、多くの人が無意識に避けがちな「赤」の文字を使うなどだ。米カーネギーメロン大のアレサンドロ・アクイスティ教授は「心理学を駆使した、なかば強制的なデータ集めだ」と批判する。
英国の科学者、ティム・バーナーズ=リー氏は18年秋、自分の情報を守りながらウェブを利用できるソフト「ソリッド」を発表した。氏名やカレンダー内の予定、スマホのアプリと連動して記録される位置情報など様々な個人データを、ソフト内の専用ボックスに自動保存。データを外部のサービスに提供するかは、すべて自分で決められる。
同氏はワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の仕組みを作った「ウェブの父」だ。IT大手によるデータ寡占を憂い、ソリッド開発に取り組んだという。
18年にデータを巡る数々の不正が発覚したフェイスブックは利用者を増やし続け、毎日の利用者は15億人以上。データを吸い上げる巨人の力はなお強い。ただそこに、個人からの自衛の兆しも出てきた。
バーナーズ=リー氏は言う。「あなたのデータは、あなたのものだ」