藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

罪ある株式

*[次の世代に]大きな流れを読む。
市場原理主義が少しづつ変わろうとしているのかもしれない。
ノルウェーの年金基金が「アルコールやギャンブル関連の企業からの投資を引き揚げる」という。
罪ある株式て。
さもありなん。
では「鉄鋼」とか「発電」とか「新素材」とか「新薬」とか「建築」とか「化学」のメーカーならいいのだろうか。
小売業やサービスはどうだろうか。
記事では「罪ある株式(sin stock)」と表現されているが、時代とともに保守本流から外れていく産業があるということなのだろう。
その昔には花形だった存在が、残酷なことだが「そういうこと」を読んで動くのも経営者の才覚なのだと思う。
 
それにしても投資家は移り気だ。
大きな流れで進む方向を見極めていないと、目先の利益を追いかけていては、いつしか時代に取り残される。
ポピュリズムではなく、時代の方向を見て事業の進む方向を決めることが重要だと思う。
 
ノルウェー年金基金、「罪ある株式」を投資除外に
2019年5月29日 7:54
ノルウェー最大の年金基金が、アルコールやギャンブル関連の企業から投資を引き揚げる。いわゆる「罪ある株式(sin stock)」をポートフォリオから除外する動きのひとつだ。
バドワイザーブランドも保有するABIも投資先から除外された=ロイター
首都オスロを拠点に800億ドル(約8兆7500億円)の資産を運用する生命保険大手KLPは28日、売り上げの5%以上をアルコールやギャンブル関連で得ている企業の株式を売却すると発表した。対象となるのは90社で、KLPが保有する株式の時価総額は合計3億2000万ドル。ビールのバドワイザーを販売するベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)、仏高級品グループでシャンパンを販売するLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)、ビール醸造の蘭ハイネケンと英グリーン・キング、ブックメーカー(賭け屋)の英パディパワー・ベットフェア、酒類の英ディアジオなどが含まれる。

収益だけでなく、持続可能な社会の発展に

「最高の投資収益を得るというだけでなく、我々の投資が前向きで持続可能な社会の発展につながるようにするということでもある」と、KLPのスヴェレ・トルネス最高経営責任者(CEO)は述べた。KLPは公務員約100万人の年金資産を管理している。
「これは重大な責務であり、従って我々は常に、今のやり方で十分なのかと見直している」と、トルネス氏は語った。「我々が管理している年金基金の投資先には、全ての人にとって安全でより良い世界への貢献度が高い企業を選びたい」
同様の動きとして、他の大手機関投資家もESG(環境・社会・企業統治)投資の基準に沿った投資先の見直しを進めている。投資対象から外すには至らないまでも、多くの機関投資家が投資先企業の経営陣に対する圧力を公然と強めている。例えば、2100億ドルの資産を運用する米国最大の年金基金ニューヨーク州退職年金基金は米石油大手エクソンモービルに気候変動対策を強化するよう求めている。
「大規模な年金基金は新たな方針の採用を先導する傾向にある」と、ロンドンを拠点に信託サービスを提供するダルリエダのバッサス・バッソウ氏は言う。「(KLPが取ったような)行動は、年金加入者や社会全体のためになる企業行動の改善につながる」
KLPは、ノルウェーでは暴力事件の半数以上にアルコールが関係し、アルコール関連の社会的費用が推計年間20億ドルに達しているという世界保健機関(WHO)のデータを根拠に挙げた。

透明性を確保すれば大きな力

「正しい形で用いれば、排除的な投資は大きな力を生む」と、KLPで「責任ある投資」を統括するジャネット・ベルガン氏は言う。「正しい形とは透明性だ。KLPは投資対象から除外する企業と、その理由を公表する。このほうが株主としての権限よりもはるかに影響が大きい」
投資を引き揚げられた企業のうち、ABIはこう述べた。「既存および潜在的な株主との継続的な対話から、当社の持続可能性に対する取り組みは評価されていると理解している」。同社は、自社のプログラムがアルコールの乱用を世界的に減らすことに寄与し、ESG投資に関する国連の目標を満たすための取り組みも進めているとした。
KLPは引き揚げた資金を既存の投資対象に再配分する。ベルガン氏は、株式売却で年金基金の長期的な投資収益に「大きな影響」が生じることはないはずだと話す。
KLPは過去にも同様の行動を取っている。5年前には、売り上げの半分以上を石炭関連事業から得ている企業を投資対象から外した。KLPは今月、さらに基準を厳しくし、売り上げの5%以上を石炭関連事業から得ている企業を除外すると発表した。
KLPはすでに、リストアップした90社の大半から投資を引き揚げた。ただ、株式市場で流動性が不足している企業や、早急な投資の引き揚げが悪影響を及ぼすとみられる国内企業数社は、投資対象に残している。
ポルノ関連の企業は、すでにKLPの投資対象から外されている。医療用、娯楽用の別を問わず、大麻製品で売り上げを得ている企業も同様だ。たばこ会社は1999年に除外されている。
By Madison Darbyshire
(2019年5月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/
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