藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

お金の使い途

*[次の世代に]一番大事なこと。
タイの財閥CPフーズが人材育成に大きく投資しているという。
240億円を投じて研修施設を作り、世界中から若者をスカウトしているという。
 
Googleなども人材育成には熱心だが、まだ世界の大企業に「人こそ成長の源泉」という機運は薄い。
AIやIoTの活用が進むこれからは、そうした「人への姿勢」にひと際「会社の方針」が出てくるだろう。 
日本の大企業ももっと人材重視にお金を使うべきだと思うが、どうも動きは鈍い。
 
でもっと深刻なのはお金のない中小企業だ。
「中小零細だからこそ人材育成を重視する」という考えが必要になるのに違いない。

 中小だからこそできる現場の経験を、どれだけ若者のモチベーションにつなげられるか。

「生きるか死ぬか」の現場のスリルは中小企業にこそある、と自分は思うがそうした経験が「キャリアにつながる」ということを伝えないと、今の若い人はすぐに離脱してしまうだろう。
 
中小企業こそ、これからの人の育て方を最優先しなければならないだろう。
あ。
何を隠そう自分のことなのでした。
 
 
タイCP 幹部育成の「城」に潜入 実際に事業化も
2019年7月2日 4:30
タイのチャロン・ポカパン(CP)グループが人材育成に力を入れている。タニン・チャラワノン上級会長(80)が4月に中核のCPフーズの会長を退くなど世代交代を急ぐ同社。約70億バーツ(約240億円)を投じ3年前に整備した、東京ドーム約5個分の敷地を持つ巨大な研修施設の運用も本格化する。幹部候補生を育成しながら将来のビジネスの芽を探る施設で、タニン氏の肝煎りだ。海外メディアによる取材は初めてという同施設の実態をルポする。
CPの研修施設は「城」と形容する人もいるほどの規模だ(6月、タイ東北部カオヤイ)
研修施設「CPリーダーシップ・インスティチュート(CPLI)」はタイ東北部の避暑地カオヤイにある。6月、同施設を訪問してみると、その外観はまさに"お城"だった。
建物内に入ると、大きなシャンデリアの下がった玄関ホールと高級ホテルのように重厚なロビーが出迎える。敷地は東京ドーム(約4万7000平方メートル)の4.9倍に当たる約23万平方メートル。建物には200室を超える客室があり、豪華なレストラン、フィットネスルームなども備えられている。
大ホールに入ると、新入社員による新ビジネスのプレゼンテーションの真っ最中だった。「タイは外国人が多い国です。多言語対応した自動販売機を置いてはどうでしょうか」。チームに分かれてプレゼンする社員の顔は緊張で紅潮していた。ここに来られるのは幹部候補生として見込まれた人物ばかりで、2~3日間泊まり込みで研修する。多くはタイや中国のトップ大学でCPがスカウトしてきた人材だ。
タニン上級会長が自ら新入社員に助言する場面も
グローバル企業のCPらしく、スライドは英語と中国語。国際会議さながらに同時通訳がおり、ベトナム語、英語、中国語などに通訳される。
プレゼンは単なるお遊びではなく、実際にビジネスをして、数週間に一度成果を報告する。プレゼンを見守る10人ほどの幹部からは「利益は出るのか」「もっと具体的な戦略を見せてくれ」といった本当の会議のような質問が飛ぶ。タニン上級会長も参加しており、時折助言していた。
CPLIが開所したのは2016年。タニン氏は「構想に8年かけた」と話し、自ら米ゼネラル・エレクトリック(GE)、ボーイング、韓国サムスン電子など世界の名だたる大企業を視察したことを明かした。「最も影響を受けたのはGEだった」と話す。
GEは「アクション・ラーニング」という研修手法を取り入れていた。座学ではなく、自ら新しい事業のアイデアを出し、実際に試験的に事業化してみる。その上で経験豊富な幹部から助言をもらう。当然失敗することも多いが、「提案したビジネスがうまくいかなくてもいい。統率力や協調性をみている」(CPLIのワンナウィラット副ディレクター)。
研修は26歳以下の若手を中心に選び、4段階に分けて選抜、育成を進める仕組み。幹部としての才能を見いだすと同時に、新しいビジネスの芽を見つけることが目的だ。研修プログラムを担当するワンナウィラット氏自身も米ハーバード・ビジネス・スクール在学時代にタニン氏に一本釣りされ、30代にしてCPLIを統括する立場に就いた。
CPの将来の幹部候補生が学ぶ
CPが研修施設を設けた背景にはタニン氏の危機感があった。約50年にわたってグループを率い、カリスマ経営者と呼び声の高いタニン氏は「成功を収めた古い世代は新しいアイデアを取り入れることに消極的だ」と語る。
巨大化したグループが成長を続けるためには新事業の創出が不可欠。80歳になったタニン氏は息子2人と孫2人に事業継承する考えを示しているが、一族以外の人材を育て、評価しなければ同族経営の弊害が露呈しかねない。
バンコク=岸本まりみ)
日経産業新聞 2019年7月1日付]