技術が本当に生きる場所

*[ウェブ進化論]はやりとは違う場所で。
日経産業・ハネウェル社の記事より。
今の時代、ビジネスで成功するのに「技術かマーケティングか」という問いだけでは説明がしにくい。
技術がただ優れていればいいか、というとそれだけで芽の出なかった会社は数知れない。
しかしマーケティングだけがただうまかった、という企業が長く発展しているわけでもない。
ハネウェルが成功しているのは、地味ながらそういうところのような気がする。
 
まず確かな技術を蓄えること。
それを利用できる分野を考えること。
そうしている間に「流行りの技術やマーケット」に惑わされないようにすること。
そういう意味では「すぐに流行る技術はすぐに廃れる」という風にも思える。
 
今やビジネス界の日常は、「新しいネットの技術×マーケット」のオンパレードだけれど、本当に技術か生かされる分野は、着々と準備を始めているような気がする。
「とりあえず、これとこれを合わせてアプリにする」という発想以外にも、本筋で望まれる技術分野について考えておきたいものだと思う。
技術が本当に生きる場所は、自分たちのごく身近にあるのではないだろうか。
 
IoTで稼ぐハネウェル CEO「専門性が生命線」
米ハネウェル・インターナショナルが異彩を放っている。航空機、高機能化学品、ビルシステムなど複数の事業を抱えるコングロマリット(複合企業)の2018年12月期の連結売上高は418億ドル(約4兆4726億円)。稼ぐ力はライバルを圧倒しており、足元の時価総額は13兆円を超える。同社のダリウス・アダムチック会長兼最高経営責任者(CEO)に成長戦略を聞いた。

ソフト・ハードが事業の両輪

 
Darius Adamczyk 米ハーバード大経営学修士号(MBA)取得後、88年ゼネラル・エレクトリック入社。ブーズ・アレン・ハミルトンやインガソール・ランドを経て、メトロロジックの買収により08年にハネウェル入社。17年に社長兼最高経営責任者(CEO)、18年から現職。ポーランド出身。
――あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を核にしたソフトウエア企業への転換を掲げています。
「デジタル化は重要な柱のひとつだ。ただそれは戦略のパーツにすぎず、優れたテクノロジーを提供することがまず根本にある。デジタルの領域にとどまらず、エネルギー関連、宇宙、化学品などで技術に根ざしたソリューションを提供している」
「データを取得できる製品とソフトウエア製品は両立する。ハネウェルはそれらの製品を抱える『ハイブリッド企業』だ。純粋なソフトウエア企業、ハードウエア企業という枠組みには当てはまらない。この両輪を協調させることが生命線であり、だからこそ競争力があるIoT事業を生み出せる」

デジタル経済への移行、まだ初期段階

――IoTが浸透するなかで、顧客が求める技術水準も高度化しています。
「産業向けのIoTはまだ黎明(れいめい)期だ。顧客企業も混乱しており、提供する事業者も乱立している。適切なソリューションを選べなければ、顧客が運用する高価な設備をリスクにさらすことになりかねない」
「ハネウェルは専門性、信頼性を強みにしており、長年のパートナーである顧客と強固な関係を構築している。そうした基盤を踏まえながら、拙速にならないようにIoT導入を進めている。デジタル経済への移行はまだまだ初期段階で、抜本的な転換をすぐに迎えるとは考えていない」
――米IT(情報技術)大手「GAFA」、中国勢が勢いを増しています。
GAFAなど消費者向けの企業が所有するデータと、ハネウェルが取り扱う産業向けデータは全くタイプが違うと認識している。ただ、それぞれ企業・顧客に対して何らかの価値を創造する機会を生むのであれば、彼らと協業する可能性も否定しない」

IoT、企業の淘汰進む

――IoTビジネスの潮流をどう見通しますか。
「IoT革命は今、ブームの真っ最中だ。1990年代の後半にインターネットビジネスが過熱し、多くのプレーヤーが参入した。結果的に優れたビジネスモデルが構築されて、ネットは持続可能なインフラとなった。おそらく米アマゾン・ドット・コムはネット技術をもっともうまく活用した事例だろう。IoTでも同じような現象が起こる。5~10年でマーケットが形成され、進化とあわせて淘汰も進んでいく」
――優勝劣敗が加速するなかで、どう競争力を磨きますか。
「ハネウェルは産業向けIoTで高い独自性を持つ。航空機、工場、倉庫、ビルなどのソリューションをそろえ、一貫した制御技術を基盤としている。これらをすべてつなぐことでデータを収集している。データを現在の制御用途に限らず、あらゆるかたちで派生できる。それぞれの分野で高い専門性を誇ることも強みである」
――日本でも重電、電機メーカーがIoTに軸足を移します。
「日本は1920年代に参入し、長年にわたって関係を維持している重要なマーケットだ。日本はグローバルでみても、まだ成長が見込める有望市場と位置づけている。製造業に加えて、物流、航空機、安全などでのIoT活用は、日本が抱える課題に応える大きなテーマといえる。ハネウェルが展開する商品戦略にも合致している」

事業選別で「稼ぐ力」

ハネウェル・インターナショナルは制御機器から航空機部品やシステム、高機能化学品などの多分野を手掛けるコングロマリット(複合企業)だ。創業は1886年。米ニュージャージー州に本社を構え、世界の約970カ所に拠点を持つ。
従業員は約11万人。そのうち技術者が1万8000人で、ほぼ半分がソフトウエア分野に携わる。2018年12月期の売上高は418億ドル、営業利益は67億ドル。過去3年のROIC(投下資本利益率)は15.4%と群を抜く。
「事業の対象をシンプルに絞る」(アダムチック最高経営責任者=CEO)。ビジネスの選別が企業価値の向上につながっている。
18年10月に自動車部品ターボチャージャー事業、住宅用空調関連事業をスピンオフしたうえで、IPO(新規株式公開)した。
中核ビジネスに定めた航空、ビルシステム、高機能化学品、センサーを活用したソリューション事業で4本柱で攻勢をかける。いずれも部門別の営業利益率は20%前後と抜群の「稼ぐ力」を誇る。「各事業に対してハネウェルとしての価値や技術・能力を活用できているか、評価や見直しを毎年繰り返す」(アダムチックCEO)。

国内で大手企業と相次ぎ提携

日本でのビジネスの歴史は古い。1953年に山武計器(現アズビル)と合弁事業を設立し、計測技術などで提携。2002年まで資本関係が続いた。その後も、日本では航空・物流・機能化学品などで事業展開している。
航空分野では17年に日本航空に燃料消費量の分析サービスを提供している。19年2月には物流で日本通運インテルと共同でセンサーを用いた輸送状況の可視化サービスも始めた。19年5月にはデンソーと電気の力で飛行する「空飛ぶクルマ」の基幹技術の開発で提携したと発表。モーターやインバーターで構成し、動力を発生させる「推進システム」を共同開発する。
国内で矢継ぎ早に大企業との協業を進めている。日本ハネウェルの西巻宏社長は「我々の技術を顧客に届けるには1社だけでは不可能。注力分野で企業とのアライアンスを強化していきたい」と一歩踏み込み、得意とするIoT技術を進展させる。
(企業報道部 福本裕貴)