藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

最後が最高。

*[ウェブ進化論]一周の意味。
fintechとドローンとAIが一番効きそうなのは「しがらみ」のない世界で、いよいよそれがリアルになり始めたという話。
日経より。
運搬するのは、血液製剤やワクチンなどの医療品。
30分後にはドローンが注文品を投下し、病院スタッフが回収する。

物流網のないところは道路もない、ならばと空を飛べる時代になった。

規制も何もない。
既存の権益を主張する業者もいない。
先進国は「周回遅れの恐怖」をリアルに感じるべきだと思う。
 
"これから"の国は「現金」という手段も飛ばせてしまう。
さらに「銀行手数料」というのも同時に飛ばせそうだ。
これも先進国には恐怖の話だろう。
 
さらに。
これまでそうした「文明の恩恵」が届かなかった「人」にリーチが届く。
人の才能も「これから」だ。
しかも最新の知識を最初から学べるという特典付きだ。
 
規制や利権でがんじがらめの先進国は、"もう一周"がやってくるのを待つしかないのだろうか。
 
 
 
  「最後の市場」アフリカ(1)革新へ後発の利生かす 
 
  2019年8月19日 2:00

 
    モバイル金融「エムペサ」を使えば、現金を使わず支払いができる(ナイロビの飲食店)   
「離陸します」
 
両翼を広げて3メートルのドローンがひっきりなしに飛び立って行く。ここは東アフリカ・ルワンダの首都キガリ郊外。米スタートアップ「ジップライン」のドローン配送事業の拠点だ。
 
運搬するのは、血液製剤やワクチンなどの医療品。モニター画面に映し出される契約病院からの注文を見たスタッフが手慣れた様子で作業する。
 
パラシュート付きの容器に注文品を詰め、発射台に設置するまで4分。ドローンの位置や飛行状態は常にモニターに表れ、30分後にはドローンが注文品を投下し、病院スタッフが回収する。「革新的なサービスでしょう」。オペレーターのイマヌエル・ムグワネザ(34)が胸を張る。
 
アマゾン・ドット・コムがドローン商品配送を2018年までに実現すると宣言したのは13年末。5年余り経過した今、その夢を先に実現したのは、アフリカの途上国だった。
 
□   □
 
プライバシーや安全面の規制をクリアしなければならない先進国と比べ、アフリカ後発国は技術革新を最大限に生かせる。固定電話の整備が遅れているから携帯電話が爆発的に普及し、電力供給網が不足しているから太陽光の利用が進む。アフリカは、後発ゆえの優位性を発揮する。
 
世界はアフリカの潜在力を見逃さない。12億人の大陸の人口は50年までに倍増する。保護主義の高まりで世界の直接投資が停滞するなか、アフリカ向けは増勢を保つ。欧米や中国の投資はIT(情報技術)に向かう。
 
アフリカは銀行支店の整備を飛び越え、モバイル金融へと突き進む。ケニアのモバイル送金事業「エムペサ」。携帯で街中にある代理店をATMのように使え、飲食店などで現金なしの支払いが当たり前になった。エムペサなどを通じたケニアのモバイル送金の規模は国内総生産GDP)のほぼ半分に匹敵する。
 
利用者は口々に語る。「遠方の親に仕送りができるようになった」「一日がかりだった公共料金の支払いが一瞬でできる」。技術革新が可能にした金融へのアクセスは大陸発展のカギを握る。
 
モバイルスタートアップはアフリカ全体で数百あるといわれる。ウガンダでモバイル医療費積み立てサービスを始めたクリスピナス(27)はいう。「ハイテク起業は若者の選択肢を広げた」
 
□   □
 
資源ブームを追い風に高成長を誇ったアフリカの18年の成長率は3%と、世界平均を下回る。景気停滞する産油国に代わって、ルワンダケニアといった資源に乏しい国がITなどをテコに成長をけん引する。
 
「アフリカ製造業のモデル」と脚光を浴びる国もある。1980年代に100万人の死者を出し、「飢餓」の代名詞だった人口1億人の多民族国家エチオピアだ。
 
首都アディスアベバから車で1時間、巨大なボレレミ工業団地が姿を現す。インドの子供服メーカーの工場を訪問すると、2千人の従業員がミシンに向かっていた。工場長スレシュ・デンギントディール(47)は「不良品の数が今月も減った」と満足げに語る。
 
同団地には中国や韓国の衣料・靴メーカーも進出する。中国の支援で整備した幹線道路は大型トラックが行き交う。農産物の加工業の育成も目指し、各地に20以上の工業団地の建設を計画する。
 
少数派民族による独裁政治への反発で広がった混乱を経て、18年に首相に就任したアビー・アハメド(43)は民営化や外資開放策を推進する。18年の経済成長率はアフリカ屈指の8%。政治犯の解放など民主化にも踏み出す。安定成長の前提となる周辺国の紛争解決にも奔走するアビーは今年のノーベル平和賞の有力候補とも目される。
 
6月に響いた銃声は80の民族を抱えるモザイク国家のもろさも浮き彫りにした。軍参謀総長州知事が治安機関の反乱分子らに殺害されるクーデター未遂事件が起きた。国連機関のアフリカ人幹部は「早急な民主化、自由化は危うい」と警告する。若き指導者の改革の行方はアフリカの発展を占うことにもなる。
 
(敬称略)
 
 
「最後の市場」と呼ばれるアフリカ大陸にかつてない注目が集まっている。汚職や民族対立といった課題を乗り越え、安定成長に向かうのか。アフリカの現状を追う。