藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

滅びの方法

*[ウェブ進化論]業界の行方。
日経産業より。
タクシー業界の圧力で"韓国のUber(タダ)"を韓国政府が葬ったという恐ろしい記事。
4月15日の総選挙を控えて票田となるタクシー業界の意向を受けて与党議員中心に法案通過を急いだとされる。
て。
IT先進国と言われる韓国だが庶民感情には勝てないということだろうか。
 
この話はもうすぐ日本にもやってくる。
来年には半自動(level3)の自動車が街中を走り出すという。
反対しているタクシー業界は永遠に反対するつもりだろうか。
むしろ最初は「制限付き」で徐々に営業をさせ、市場に問うてもよかったのではないか。
日本ではすでに「乗合マッチング」のシステムを開放して、利用者も運転手も相乗りするだけの体で規制を乗り越える考えもあるらしい。(対価はポイントとか)
これからは「なくなる業界」がいくつも出てくる時代になるから「なくなり方」の道筋をつけておくのが政府の大事な仕事になるだろう。政治家の生きる道だと思う。
技術革新から逃げ続けるのは難しいに違いない。
 
「韓国のウーバー」に立ちはだかった文政権の分厚い壁
韓国で利用者数170万人の配車サービス「タダ」が10日を最後に事業を停止する。旅客自動車運輸事業法の改正案、通称「タダ禁止法」が国会を通過し、運営会社が事業存続は難しいと判断した。新産業育成を掲げる文在寅ムン・ジェイン)政権が総選挙を前にタクシー業界の意向をくんだことが背景だ。政権の"二枚舌"が有力スタートアップを死地に追いやったと批判する声もある。
最大11人乗りのミニバンで配車サービスを運営してきた=ロイター
「何をしてもダメだった。私は負けた」――。タダ運営のVCNCを傘下に持つソーカーの李在雄(イ・ジェウン、51)社長は3月13日、自身のフェイスブックに長文のコメントを投稿し社長を辞任すると表明した。同社は4月10日を最後の営業日として配車サービスを停止することも決めた。
タクシー業界にそんたくした感もある文在寅(ムン・ジェイン)大統領=ロイター
タダは韓国語で「乗る」を意味する。2018年10月に配車サービスを開始し、現在までソウル市を中心に車両1500台を運用しドライバー1万2000人を雇用する。料金は通常のタクシーと比べて2~3割高いものの利用者の支持は厚く、サービス開始1年半で会員170万人を獲得していた。海外大手ファンドから出資を受けソフトバンクグループも出資交渉していたとされる。
タダはソウル市を中心に170万人の会員を獲得していた
しかし、わずか2週間で状況は暗転した。今度は国会が「法がないなら作ってしまえ」とばかりに、3月6日に同法の改正案を通過させてしまったのだ。4月15日の総選挙を控えて票田となるタクシー業界の意向を受けて与党議員中心に法案通過を急いだとされる。
タダ運営側は「大統領権限で拒否権を行使してほしい」と、新法の公布権限を持つ文大統領に懇願した。しかし思いは届かず。これまで「規制の壁を取り払い新産業育成に尽力する」、「タダのような革新的なサービスのため最善を尽くす」と明言してきた文大統領は沈黙したまま。
李在雄氏は95年に26歳の若さでポータルサイト「ダウム」を創業。無料電子メールなど多数のサービスを生み出して新規上場を果たした韓国ネットベンチャーの先駆者だ。同事業をカカオに売却した後はエンジェル投資家として幅広いスタートアップの育成を手掛けてきた。
李氏は辞任表明のコメントの中で「扉を開く自分の役割を全うできなかった」、「私の辞任で問題は解決しないだろうが、逆に私がいても問題を解決できないことを痛感した」と自責の念を吐き出した。最後は「次の世代に問題解決を任せる時だ」と表舞台を去る意向を示した。
雇用を生み税金を納める企業、その企業をゼロから育てる起業家は国の経済を根底で支える存在のはずだ。その意向を無視して既得権益を守った韓国政治。消費者の支持を集めた有力サービス停止は、文政権の経済政策ひいては韓国経済の行き詰まりを示している。
(ソウル=細川幸太郎)