藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

腐敗は権力とともに。


財務省を中心に深夜帰宅のタクシーで、ビールや商品券が供されていた、という話。

財務省職員364人が飲み物などの提供を受けていたほか、1人が現金を、18人が金券を受けとっていたことが分かっていた。

現金とか金券とか。
「節度が守られていない」という話ではなく。

腐敗は生まれる可能性のあるところに生まれ、どんどん潜行する、ということを思う。

規則や規制は、「実施サイドの思惑」と反対に動くことが多い。
特にレギュレーションを作る側の人間はよく考えねばならぬ。


現場の人たちは規制の意図をよそに「いかにその規制をかいくぐるか」を考える。


高校生のとき、髪の長さや、靴の色など、風紀委員会の出す規制事項にいかにひっかからず、しかしそういうセンの行為をするか、と考えていた自分を思い出す。


要するに、官庁の規制もその域なのだ。

育児休暇を強制すれば、企業は対象者の採用を控える。
談合を禁ずれば、別の形の利益供与。


政治資金や官僚接待をどんどん規制すれば、居酒屋タクシーが出現。

500人以上、12000回、というのはそれほどその手法がスタンダードに馴染んでいたのだ、という認識を強くし、「なぜそれが生まれるのか」という発生原理を説き明かさねば、またしても一時の官僚批判で終わる。

根治策は


例によって「特定のタクシー会社を使わないほうがよい」とか「キックバックは経費節減に使うべき」とか皮相的な話が出ているが。


そんなことが分からぬ財務省(旧大蔵官僚)のはずはない。
上級公務員試験でトップ10に入ろうかという秀才たちである。
そんな話ではないだろう。


自分はこの類の問題は「倫理観」でしか解決しないと思う。

「価値観」という知的な意識レベルで、「倫理を持つことこそ、自分たちの誉れである」「その力が大きいゆえに、自律することは人として最高に崇高なのだ」という矜持によってしか守れないだろう。

政治資金規正法よろしく、いくら制限を設け、監査の目を厳しくしてもそれはさらなる工夫とアングラ化をもたらす。


「価値観を変える」ということは、「文化」を作り出すもっとも有効な方法でもあるのだと思った。


<記事全文>

深夜タクシー接待問題 金品受け取り官庁職員500人以上、1万2400回
2008.6.6 12:57

このニュースのトピックス:不祥事


衆院決算行政監視委員会で質問に答える福田康夫首相=6日午前、国会・衆院第一委員室(酒巻俊介撮影) 深夜帰宅のタクシー車内でビールやおつまみなどの“接待”が提供されていた問題で、町村信孝官房長官は6日の衆院決算行政監視委員会で、金品を受け取っていた中央省庁職員は500人以上で、1万2400回を超えることを明らかにした。


 また福田康夫首相は同委員会で「公務員は倫理は厳しいものが求められている。国民に疑念を抱かれることをすべきでない。
当たり前のことが守られていない」と述べた。


 民主党長妻昭衆院議員の質問に答えた。

 この問題をめぐっては、財務省が本省に在籍する全職員を対象に行った調査の中間報告で、財務省職員364人が飲み物などの提供を受けていたほか、1人が現金を、18人が金券を受けとっていたことが分かっていた。


 町村官房長官は、現金を受け取った事例は財務省の場合で現金や金券類計187万5000円を受け取っていたこともを明らかにした。


 長妻氏は「財務省の職員がタクシー代を水増ししてキックバックを受けているという情報がある。徹底調査して中止していただきたい」と要請した。


 また、額賀福志郎財務相は同委員会で「国民に不信の念をいだかせてはいけない。厳正に処分したい」と述べ、徹底した調査を行う方針を明らかにした。上田勇衆院議員(公明)の質問に答えた。


 上田氏は「税金で支出したもの(タクシー代)から支出を受けたことになる。とんでもないこと。割引ができるなら経費節減しなければならない」と批判。


 額賀財務相は「特定のタクシー会社を使わず、金品を受け取らないことを徹底しなければならない」と再発防止策の方向性を示した。


 公明党太田昭宏代表は6日の記者会見で、深夜帰宅のタクシー内で財務省職員にビールなどのサービスが提供されていた問題について「あり得ない話だ。
あきれて怒っている。
けじめをしっかりつけることが大事だ」と述べ、関係者の処分を含めた厳しい対応を求めた。