国の意味。

日経より。
日本人こそ自分のアイデンティティに「国」を強く求めている、と聞く。
一方アメリカほど歴史が浅く、多国籍民族の国が選挙の国籍表示で揉めている。
いったい国籍とはなんだろうか。
その国に住む権利だとすればそもそも「国」とはなんだろうか。
単なる「まつりごと」のための単位ではないのだろうか。
 
かつてないほど技術革新が進む。
ウェブの世界はますます膨れ上がり本当に「あっちがリアル」になる日も近いだろう。
あっちの世界には国はないから「国」を政治の道具にするのではなく、もう少し住みやすい国づくりができるのではないだろうか。
「ウェブのこれから」に、実はリアルの世界をこれから統治していくヒントがあるような気がする。
"国境のない世界"をシミュレーションできるのはあそこだけだから。
 
トランプ政権、国勢調査「国籍欄」で大混乱
2019年7月5日 16:06
米司法省高官は3日、2020年に実施する国勢調査で国籍に関する質問項目を設けるための方法を探るよう指示を受けていることを明らかにした。米政府はこの前日に、調査票に国籍の質問項目を盛り込まずに印刷を始めると公式に発表したばかりだった。
このことは、トランプ米大統領ツイッター上で国籍欄のない調査票の印刷が始まったとする司法省や商務省の公式発表を覆す意向を示した数時間後に、緊急招集された電話会議で明らかになった。
国勢調査での「国籍項目」追加は、米国内で物議を醸している=ロイター
司法省民事局を率いるハント司法次官補は電話会議で「我々は省内で最高裁の決定に沿う形で国勢調査に国籍に関する質問を含めることができるかどうか検討するよう指示されている」と述べた。
同次官補は、司法省が国籍を尋ねる法律上のハードルを越える方法を突き止めたと確信できれば、最高裁に直接不服を申し立てるとした。
ニューヨーク州など「憲法違反」で提訴
こうした発言は、国籍項目を巡る対立が長引くことを示唆している。反対論者にとっては、国勢調査局が2日に「国籍項目なし」の調査票が印刷されるとの発表を喜んだのもつかの間、肩すかしを食らった格好だ。
国勢調査で国籍を問うことに関しては、野党・民主党の支持者が多いニューヨーク州などが憲法違反であるとして商務省を相手取って提訴するなど米国内で物議を醸している。最高裁は6月27日、国籍項目の追加には「正当な理由が必要」だとして、項目の追加を一時保留する判断を下していた。これは、トランプ政権に戦略を練り直す余地を与えたものでもあるが、国勢調査が予定通り来年の実施となれば、それまでに間に合うのかは不明だ。
政府発表を否定する大統領のツイートが、政権内で何が起きているのかを問いただそうとする2人の連邦裁判官を動かした。冒頭の緊急電話会議は、政府に対する申し立てを監視するメリーランド州のヘーゼル判事が招集したものだ。ニューヨーク州で同様の案件を担うファーマン判事も、書面による説明を求めた。
ヘーゼル判事は明確に苦言を呈したうえで、5日午後2時までに国籍項目を削除することを認めるか、そのまま訴訟を続けるのかの回答期限を課した。訴訟を続ける場合、追加される国籍項目に共和党や非ヒスパニックの白人を利する狙いはないことを証明する具体的なスケジュールを示すよう求めている。
■「非常に不愉快」
「言うことがばらばらで非常に不愉快だ。もし米フェイスブック法定代理人がある事実を語り、同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が書いた記者発表内容が全く別の事実を語っていたとしら、私は代理人ザッカーバーグ氏の双方に出廷を命じるだろう。法定代理人フェイスブックを代弁しているとは思えないからだ」。7月4日の米祝日を踏まえて期限延長を求めた司法省のガートナー弁護士に、ヘーゼル判事はこう憤った。
休暇先から電話会議に参加したとみられるガートナー氏は会議の冒頭、トランプ氏のツイートで「この問題に関する大統領の見解は初耳だ」と述べた。
同氏は「これが現時点で何を意味するのか、大統領がツイートしたこと以外に私にはよく分からない」とした上で、「だがお分かりのように、当然のことながら事態を理解しようと最善を尽くしている」と語った。
ガートナー氏は、国勢調査局が国籍質問のない調査票の印刷作業を継続していることを確認しているとも述べた。
トランプ政権は国籍項目を加える理由として、差別を禁じる連邦選挙法を強化するためだと説明する。最高裁はこの説明に納得していない。
■選挙区振り分け、人口でなく国籍で
国籍項目の追加に反対する人々は、人口ではなく国籍に基づいて選挙区を振り分けることで、共和党を有利にすることが真の狙いだと批判している。かねて共和党支持の選挙区再編の専門家(故人)が「共和党員および非ヒスパニック系白人にとって有利」な国籍項目の導入を強く求めていた経緯があるからだ。
緊急の電話会議が開かれた前日の2日、ロス商務長官は、国勢調査局が「(国籍を問う)質問のない調査票を印刷する作業に着手した」とする声明を発表した。
だがその発表から24時間もたたないうちにトランプ大統領は、商務省は国籍項目を加えるという「目的の追求を諦めてはいない」とツイート。「国籍を答えることはとても重要であるからこそ、我々はこれを実行しなければならず、確実に前進している」としたことで政権内の混乱が明らかになり、冒頭の電話会議が招集されるに至った。
By Kadhim Shubber
(2019年7月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
 

 

自分を計る(3)

*[ウェブ進化論]助言アプリ。
自分のことは、実は一番自分がわかっていないという。
 (ジョハリの窓の「解放、盲点、秘密、未知」というのはなかなか興味深いものです)
相談の技術の一つに「自己覚知」というのがあるのだが「自分の内面」をいくら探しても終わりのない問答のような一面がある。
こういうことにデジタル技術は役に立つ。
 
自分は果たして他人や外部に対してどんな要素を持つのか。
好意的だろうか。
それとも実は攻撃的?
排他的だろうか。
いやそもそも人間なんてみんな排他的ではないの?
共感的?それとも同調してるだけ?
ああ。
わけの分からないことになってくる。
 
そんな自分の会話中に「あなたは今少し感情的になっていますね」とか居酒屋で「そろそろ切り上げたほうがいいですよ」とかこっそりアドバイスしてくれれば実に役に立ちそうだ。
とそんなことを書いていて、普段の自分ってなんて気ままに過ごしているのか、と驚いたりしている。
そのくらいのスマホアプリなら今すぐにでも開発できそうですがどうでしょうか。

自分を計る(2)

*[ウェブ進化論]すべてを記録に。
 "eポートフォリオ"という探究型教育が十年後には成果を出すという。
それはとても楽しみだが、もっと「いろいろ記録」の時代がやってくるだろう。
街中の監視カメラはともかく、自分の毎日を記録する「自分レコーダ」の時代だ。
Google Glassみたいなもの(それすら必要ないかもらしい)で、一日中自分の行動を記録する。
睡眠の様子や毎日の起床時間や健康状態なども分かるから、いろんな助言がもらえるだろう。
仕事や勉強していても、(望めば)セールスフォースのように「そろそろメールしてみてはどうですか」なんて通知が飛んでくるのにちがいない。
 
もっともっと役に立つかもしれない。
自分の過去五十年分のデータ蓄積があるとする。
数百年後には何代分もの記録がたまっているだろう。
 
人類は未だ争うことをやめないけれど、そんな記録が色褪せずに溜まっていけばそのうち「諍いをなくす知恵」が生まれる、と思うのは楽観的過ぎるだろうか。
なんだか貧困と戦争のない世界が来そうな気がしてきた。
(つづく)

自分を計る(1)

*[ウェブ進化論]記録がもたらすアドバイス
神田昌典さんの講演を聞いて驚いた。
本格的な「探究型の教育」がすでに始まっているという。
 
"eポートフォリオ"という名前でそのココロは「学生が探究活動や課外活動、資格・検定等の実績をインターネット上に蓄積する「学びのデータ」」ですと。
つまり「学校の成績や学外活動の履歴や研究の実績」なんかが(改ざんできない)ブロックチェーンで共有されるってことらしい。
企業は優秀な中高校生とコンタクトして、共同研究なんかもできるという。
 
立派だ。
文科省よいつの間に、と。
自分などは学業に熱心ではなかったが、こんな風に「実社会とつながれる仕組み」があればやる気を出す若者は多いだろう。
何せ学生さんは「一人前扱いされないこと」に大きなストレスを持っている。
自立したい若者は多いだろう。
また、そうなれば周囲の同年代の「学びの様子」も共有できるわけで、刺激にもなる。
そうそう引きこもってもいられず「自分も何か探そうか」という気分にもなるだろう。
何をするのも自由な感じがいい。
関心のあるテーマとか、好きな音楽や書物とか、暮らしの習慣とか習い事とか。
壮大な自分の記録が蓄積されていけば、何より「自分で過去を振り返る」ことができる。
そしていろんな人にアドバイスをもらうこともできるだろう。
多様な"生き方の共有化"の時代に入っているようだ。
これまでの教育とは大違いだと思う。
(つづく)

性の複雑。

*[ジェンダー]もはや何が何だか
先日、福祉関係の友人が「もはや世の中は男や女だけではない」と言っていた。
例のトイレ利用の性別の話題が引き金だ。
 
聞くと
「異性という意味では
"女が好きな男(今はノーマル)"
"女が好きな女"
"男が好きな女(今はノーマル)"
"女が好きな女"
"どちらも好きな男"
"どちらも好きな女"
さらには
"女が好きな男(ノーマル)"を好きな女
"女が好きな男(ノーマル)"を好きな男
"女が好きな女"を好きな男…とどんどん増えていくらしい。
 
人の性的指向というのはそれほど複雑なものか。
文学などは、こういうことを微に入り細に入り面白く説明しているのだ、とも取れる。

 性の話が一気にオープンになり、みんなが秘めていた「内なるもの」がどんどん表出しているのだろう。

自分だってかっこいい男性に惹かれることはあるし、女性同士の動画だって…
と自分を深掘りするのはやめよう。
何か知らないものが出てきそうだ。

これが国政

*[次の世代に]モダン・ウーマン。
日経より上野で開催中の紹介。
フィンランドの女性大統領が19世紀から優れた政をしていたという。
列強にはさまれた小国は、芸術・文化で国を強くしようと男女が平等に入学できる美術学校を創り、女性のパイオニアを次々に送り出したのだという。同時代の芸術の都パリでもありえなかった話だ。
つくづくこういう話を聞くと日本には方針がないなぁと嘆息する。
日本が大きすぎるのかもしれないが、国民が多くなると何にしてもまとまらないのだなぁと感じられて仕方ない。
 
税金についても女性の活躍についても労働問題についても年金についても。
どれも話には出るのだが全然結果が見えないな、と感じている人はとても多いだろう。
こんな記事を見ると、どうも世の中は「男が主導権を持っているから上手くいかないのではないか?」とすら思う。
女性に一度世の中のいろんなことを判断してもらったらどうだろうか。
まあ女性のリーダーでも"おっさん気性"な人は結構いるけれど。
 
 
 
春秋
2019年7月6日 2:00
今から15年ほど前のこと、フィンランド最北端ラップランド地方の村で少女が父親に尋ねた。「ねえパパ、男の人も大統領や知事になれるの?」。彼女が暮らしていた行政区の知事はハンネレ・ポッカさん、国の大統領はタルヤ・ハロネンさん、ともに女性だったのだ。
▼東京・上野の国立西洋美術館で始まった美術展開幕時のあいさつでペッカ・オルパナ大使が披露したエピソードである。ポッカさんは今は環境省事務次官を務め、ハロネンさんは12年の在職中、国民に「ムーミン・ママ」と慕われた。くだんの少女は24歳になり、先ごろ母国の緑の党で2人の女性副党首の1人になった。
▼上野で開催中の「モダン・ウーマン」展は、19世紀以降のフィンランドの近代美術を率いた女性アーティストを紹介する。列強にはさまれた小国は、芸術・文化で国を強くしようと男女が平等に入学できる美術学校を創り、女性のパイオニアを次々に送り出したのだという。同時代の芸術の都パリでもありえなかった話だ。
▼4日に公示された参院選では立候補者の女性比率が戦後最高の28%に達した。とはいえ男女が平等な政治参画の実現とはまだまだ言いがたい。どんな世界であっても、道をきりひらくロールモデルが必要だろう。日本の少年少女が誇ることができる「ムーミン・ママ」の一日も早い登場を期待して、一票を投じたいと思う。
 

 

利便が規制を駆逐する。

日経Xトレンドより。
*[ウェブ進化論]当たり前の歴史。
顔認証がいよいよ実用化し、その適用範囲が議論されている。
こんな便利なもの、あっという間に普及するだろう。
 
街中から自宅から、スタジアムやら交通機関や旅行でも顔認証。
電子マネーすら持ち歩く必要もないだろうか。
(そうするとお金はどこにあるのだろう)
それはともかく。
中国のように「国が"全ての国民を把握すること"だけをどうして防ぐか」が唯一の焦点だろう。

 野党が活躍できる大舞台だ。

こんな規制はやり始めだけになるだろう。
例えば、店舗の入り口において、「当店では、『リピート分析』を○月○日より開始します。リピート分析とは、お客様の来店履歴や…(以下略)
こうした技術の普及を聞くにつけ「テクノロジーの進化は人の命よりも重いのか」なぁ、と最近よく思う。
 医療でも車でも宗教だって、毎日大量の人が亡くなっているけれど「便利をやめよう」と自分たちは言わない。
薬の副作用で人が死んでも、全体として人の寿命が延びていたり、
交通事故が起きても移動が便利だったりするのが自分たちの総意なのだと思うと、少し複雑な気分になる。
技術の発達というのはそういうものなのだ、と言われればそれまでだが、けれどもスマホを手放さない自分はやはり「利便追求側」の人間なのであった。
 
日本でも広がる「顔認証」 法的に問題になる点は?
2019年7月6日 4:30
東京五輪パラリンピック大会組織委員会は、選手や大会関係者の会場入場時に顔認証システムを導入する。ボランティアを含む30万人以上の顔情報などを事前に登録し、顔認証によって不正入場等を防止する。今回は、弁護士の二木康晴氏に、顔認証の法的問題点を聞いた。
――顔認証は広がっているのか。
二木康晴弁護士(以下、二木) 従前、本人確認のための顔認証は、撮影時の明暗、顔の向きや角度等によりその精度が大きく左右されてしまうことから、実用化には課題があった。しかしながら人工知能(AI)技術の発展により、現在ではその精度が飛躍的に向上している。スマートフォンやパソコンにおいても顔認証が採用される例が増えており、18年11月までに羽田空港を含む5つの空港の出国審査上および上陸審査場に顔認証ゲートが導入されている。さらに、最近では、決済等でも顔認証を活用し、まさに「顔パス」での代金支払いを実現しようとする試みも検討されているところである。
――顔認証は他の生体認証と比べて何が優れているのか。
二木 顔認証の大きな特徴の一つは、特別な提供動作が必要ないことにある。例えば、指紋認証や静脈認証は、指や手のひらを特定のハードウエアに乗せるという動作が必要となるが、顔は日常的にさらしている部位なので、本人にあまり意識をさせずに認証を行うことができるし、歩きながら認証を行うことも可能である。また、大勢の人がいる中で、特定の個人を探し出すことにも活用できる。例えば、東京ドームで子どもが迷子になった際に、親が子どもの写真さえ持っていれば、東京ドーム中の防犯カメラを活用し、一発で子どもの位置が分かるようになるかもしれない。
――顔認証が問題となることはないのか。
二木 顔認証が過去に問題となった事例は少なくない。例えば、14年4月には、情報通信研究機構が予定していた大阪駅と駅ビル「大阪ステーションシティ」の通路等で顔認証により通行者の動線を把握する実験が、市民や有識者からの懸念を受け、延期された。また、米グーグルが限定的に販売していたメガネ型のウエアラブルデバイスである「Google Glass」も、プライバシーの観点から懸念の声が上がり、15年に販売が中止されている。最近の若者の間では、SNS(交流サイト)によって、顔写真と共に名前や学歴等の個人情報を投稿することが一般的になっており、メガネ型のデバイスで顔認証を行うと相手に全く気づかれることなく、名前や学歴等の情報を検索して当てるという、手品のような芸当すらできてしまう。
――法的にはどのような問題があるか。
二木 一般に、顔認証に用いる顔を認識したデータは、個人識別符号に該当するため個人情報とされている。そのため、その取得、利用に当たっては個人情報保護法を順守しなければならない。例えば、顔認識データの利用目的を特定したうえで(個人情報保護法第15条1項)、取得するに当たっては、利用目的の通知または公表が求められている(個人情報保護法第18条1項)。また、データの漏洩、滅失、毀損の防止のために必要かつ適切な安全管理措置を講じなければならない(個人情報保護法第20条)。
また、個人情報保護法を順守したとしても、その利用態様次第では、肖像権やプライバシー権の侵害に該当することがあるので注意しなければならない。
――プライバシー権の侵害を避けるためには常に相手の同意が必要となるのか。
二木 プライバシー権侵害を避けるためには、相手方の同意を取得するのが原則である。もっとも、来店客に対して顔認証を行う際に、いちいち書面による同意を取得することは現実的ではない。同意は必ずしも書面で明示的に取得する必要はなく、黙示的な同意を取得することも考えられる。
例えば、店舗の入り口において、「当店では、『リピート分析』を○月○日より開始します。リピート分析とは、お客様の来店履歴や店舗内での移動状況などを店舗内カメラの映像情報から把握するものです。この取り組みは、マーケティング(商品開発等)で活用するとともに、快適にお買い物をお楽しみいただけるよう、適切なレイアウトの検討および品揃えの充実、商品棚の欠品防止を図るものです」というポスターを見やすい位置に掲載し、これを承諾した人のみを来店させるという方法もあり得るだろう。
実際の掲示方法や文言等については、IoT推進コンソーシアム、総務省経済産業省がカメラ画像の利活用について整理した「カメラ画像利活用ガイドブック」を公表しているため、参考とするのがよい。
店舗入り口での掲示(ステッカーと告知文面)の例(IoT推進コンソーシアム、総務省経済産業省「カメラ画像利活用ガイドブック」に基づき、日経クロストレンド編集部作成)
店頭入り口での掲示(ポスター)の例(IoT推進コンソーシアム、総務省経済産業省「カメラ画像利活用ガイドブック」に基づき、日経クロストレンド編集部作成)
(Legal Technology代表取締役CEO弁護士 二木康晴)
[日経クロストレンド 2018年11月6日の記事を再構成]
 

 

最後の紙

*[ウェブ進化論]電子チラシ。
日経MJより。
昭和の伝統「折り込みチラシ」もいよいよなくなりそうだ。
その名も「Shufoo!(シュフー)」
チラシを挟む側の新聞といい、いつまで経ってもデジタル化されないものの理由は「利用者側にデジタル習慣がないこと」だ。
ついに80代の世代が携帯電話とメールを使う時代になり、さらに怒涛の「団塊の人たち」が主役になる。
 
紙チラシと違うのは、「リアルタイムの情報」を送れることとか、値段比較や検索が一発で出来ることとか、店長が状況を見ながら「よっしゃ!30分後にタイムセールです!」とかを近隣に対してやれることだ。
客が「半額になったらマグロを買いに行こう」とかいうこともできる。
店長は「あ、今日は値引きはやめておこう」ということもできる。
もちろんポイントも付く。
自宅で頼んで配達してもらってもいい。
決済もできるようになるだろう。
 
そしてそんな電子チラシも、毎日amazonから届くようになるのだろうか。
 
 
電子チラシ「シュフー」、アプリ刷新 店がブログ風発信
2019年7月6日 4:30
電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」がチラシを超えた情報発信に力を入れている。閲覧数の9割を占めるスマートフォンアプリ向けに、ブログのように独自情報を投稿できる機能を春に加えた。位置情報やポイントなど小売店の販売を後押しするサービスが広がっており、デジタルの時代ならではの「次世代チラシ」を確立させ、より多くの消費者を契約店舗のファンに育てる。
シュフーのスマホアプリは4月に刷新した
デジタルを生かした小売店の販売支援策は広がっている。LINEは位置情報を活用し、決済やポイント戦略を組み合わせたアプリはセブン&アイ・ホールディングスなど小売りの巨人も手掛ける。
そのなかでシュフーは「価格に対する意識の強い消費者が、自分から希望して使ってくれている大きな情報基盤」(和田氏)との強みがある。小売店にとっては、情報をアピールしたい商圏の消費者に対し、正確に無駄なく接触できる利点がある。
シュフーと契約するのは小売店が中心だったが、飲食店や学習塾にも広がっている。自治体や警察署が広報誌を配信したり、出版社が雑誌の一部を試し読み目的で流したりするケースもある。アイデア次第で用途はまだ広がりそうだ。
(藤村広平)
[日経MJ2019年7月3日付]

BON踊らー。

*[サブカル進化論]日本のあじ
やぐらの上には太鼓ではなくDJブースが鎮座。
「Y.M.C.A」「ゲット・ワイルド」「EZ DO DANCE」などバブル世代の心に直撃のディスコナンバーがかかり、ステージでは踊り子がオリジナル盆踊りを披露した。
参加者のなかには羽根扇子を手に浴衣でキレッキレの盆踊りをする人も。

 日本人は伝統的に踊り好きだったのだろうか。

30年ほど前もありましたね。こういうの。
都心で流行っているらしいが、外国人が東京に来て炭坑節をマスターするのは楽しいらしい。
「モノよりこと消費」というらしいが、どうもただ騒いでいるようにも見える。
 
くさすつもりは全然ないが、もう少し日本の伝統芸能とか、文学とか音楽なんかを発信できたらいいのにと思う。
新時代にふさわしく「新世紀ヱヴァンゲリオン」とのコラボも予定。
BON踊らーはこの夏、神話になる。
て。
来日する観光客向けの商品開発はまだ始まったばかりなのかもしれませんが。
忍者体験とか舞妓さんショットだけじゃなく、もう少し深みがあるものの登場を待ちたいと思う。
 
 
 
 
 
居酒屋で外国人も「BON踊らー」(日経MJ
2019年7月6日 4:30
今年も熱い夏がやってくる。令和初めての夏、進化し続けるネオ盆踊りに興じる盆踊り大好きっ子こと「盆踊らー」が街にあふれ始めている。一年中盆踊りができる「盆踊り居酒屋」が登場したり、ディスコと融合した「BON DISCO」が誕生したり……。踊れば誰でもダンシングクイーン、ダンシングヒーロー。世界を股にかけるBON踊らー、ドント・ストップ!
■年中、阿波踊り、炭坑節…
ネオン輝く東京・新宿の歌舞伎町。ビルの一角にある居酒屋「新宿産直横丁」がこの夜、盆踊りの会場と化した。
「一緒に踊れる居酒屋です! 踊って楽しみましょ~ イエーイ!」
ねじり鉢巻き、浴衣に草履姿の外国人の司会者が声を張り上げると、店内から歓声があがる。おはやしが流れ、店内はお祭りモードに突入した。
6月下旬、この「盆踊り居酒屋」には真夏を待ち切れず盆踊りをしたいBON踊らー65人が集まった。浴衣姿の男女や外国人の姿も目立つ。
居酒屋で盆踊りを楽しむイベント「盆踊り居酒屋」。浴衣を着て盛り上がる外国人の参加者(東京・新宿の新宿産直横丁)
日本盆踊り協会(東京・豊島)が5月から月2回のペースで開催するこのイベント。お酒を酌み交わしつつ、日本民舞の師範らのレクチャー付きで日本全国の盆踊りを体験できるというものだ。
「やっぱり踊ってみないとわからないものがありますからね」(同協会の矢島友幸代表)。浴衣を貸し出すなど訪日客を狙ったようだが、日本人も駆けつけ毎回やんやの大盛り上がりだ。
参加者のビールジョッキが空いた頃、阿波踊りの連による踊りが披露され、その後、店の中央の踊り場に参加者が集まりレクチャーが始まった。
「掘ってー、掘ってー、かついでかついで」
「次は英語で! ディグ、ディグ、キャリー、キャリー」
おなじみ炭坑節や、阿波踊りなど、外国人にもわかりやすいように説明。太鼓や笛の生演奏とともにぐるぐると皆で踊ると、ボルテージは一気に上昇。会場は高揚感と一体感、笑いに包まれた。
浴衣で参加した米国人のティファニー・ガストさんは「シンプルで家族でも踊れて、フレンドシップが生まれる。アイ・ラブ・ボンダンス!」と満面の笑顔だ。「まだまだ生徒です」と謙遜しつつも、すっかり炭坑節をマスターしたようだ。
居酒屋で盆踊りを楽しむイベント「盆踊り居酒屋」。高円寺阿波おどり和樂連の踊り手と一緒に阿波踊りを踊る(東京・新宿の新宿産直横丁)
盆踊りから足が遠のいていたという日本人女性(30代)は「レクチャーがあって入りやすかった。やっぱ好きなんだなって」。友人の内海典子さん(30代)も「浴衣を着られる機会も増えるし」と心はお祭りモード。
洋楽やJ-POPなどもかかり、新たな振り付けの動画がユーチューブで投稿されるなど、盆踊り自体も進化し続け、若者や外国人をBON踊らーに仕立て上げている。
■BONディスコも登場、興奮MAX
今年、そんな進化の一系統に加わったのは、ディスコとフェスが融合した「BON DISCO 2019」だ。
六本木ヒルズアリーナで開催された、盆踊りとディスコが融合したイベント「BON DISCO」=東京都港区
昨年8月、米ロック歌手ジョン・ボン・ジョヴィさんがツイッターでコメントして話題となった東京・中野の「中野駅前大盆踊り大会」で催されたコーナーをパワーアップ。TRFのDJ KOOさんやMAXなどのライブまでくっつけて文字通りのフェスと化した。
6月29日、夏本番を前に六本木ヒルズアリーナ(東京・港)で1回目が開かれ、老若男女、外国人ら1500人が集結。
やぐらの上には太鼓ではなくDJブースが鎮座。「Y.M.C.A」「ゲット・ワイルド」「EZ DO DANCE」などバブル世代の心に直撃のディスコナンバーがかかり、ステージでは踊り子がオリジナル盆踊りを披露した。参加者のなかには羽根扇子を手に浴衣でキレッキレの盆踊りをする人も。浅田莉子さん(26)は「大人の方があんなにはじけるなら」とノリノリだった。
盆踊りとディスコが融合したイベント「BON DISCO」で、踊る参加者(東京都港区の六本木ヒルズアリーナ)
「クラブはもう行きづらいけど踊れる場所がほしかった」と語る30代の女性、「青春の頃、よく聴いていた曲だから体が動く」と話す男性(35)など、思いは様々だが、1曲1曲にエモーショナルな歓声が上がった。
振り付けを考案したのは日本民踊鳳蝶流の家元師範である鳳蝶美成(あげは・びじょう)さん。振り付けには「伝統の要素も組み込んだ。これで、どんな盆踊りも踊れるようになりますよ」。
7、8月は神田明神グランドハイアット東京に場所を移し開催。ほか今年も中野駅前大盆踊り大会でもディスコタイムが設けられる予定だ。新時代にふさわしく「新世紀ヱヴァンゲリオン」とのコラボも予定。BON踊らーはこの夏、神話になる。
(二村俊太郎)
[日経MJ2019年7月3日付掲載]
 

 

IoT座布団。

*[ウェブ進化論]ウェブのれん。
日経より。
リクルートが会議室に敷いて使用状況を把握するセンサー付き座布団を開発したという。
待ってました。これを。
以前「ウェブのれん」という名前で提案したことがあるのだけれど、これを使うべきなのは絶対に「飲食店」だと思う。
まるでその店先ののれんを覗くように、スマホでお気に入りの店たちの混雑状況を見ることができる。
夢の居酒屋ツール。
「お、今日は珍しく山田やが空いてるな」とかが一発でわかる。
もちろん予約状況とか「いつ空くか」とかもわかる。
もちろん予約もできる。
さらには「何時に空きますよ」とか「キャンセルが出ました!」とか。
さらには「今日は"生のぎんだら"がカナダから入りました」とかプッシュ通知だってできる。
 
居酒屋に着席して「おやっさん、今日は何がいい?」というのも風情があるが、なくてもいい。
お気に入りのとんかつ屋の「本日の銘柄豚」も丸わかりだ。
アプリ開発が進まないようだったら自分で作ってみようと思っている。
 
 
IoT座布団で会議室改革 利用状況わかりやすく
2019年7月6日 4:30
リクルートホールディングス(HD)は会議室などの利用状況をリアルタイムで把握できる「IoT座布団」を開発した。椅子を使っている参加者の数や時間を正確に把握し、より効率的な会議室の配置などにつなげる。自社のレイアウト変更に使ったところ、オフィススペースの有効活用につながっているという。オフィス需給が逼迫するなか、活用のノウハウと併せて外部提供も検討する。
徳満さんはセンサー付きの「IoT座布団」で会議室の利用状況を計測できるようにした
子会社でウェブマーケティングを手掛けるリクルートコミュニケーションズが開発した。形状は通常の座布団と変わらないが、内部に圧力を感知するセンサーが付いている。人が座るとセンサーが作動し、無線でサーバーにデータを送る。3秒に1回の間隔で通信することで、会議室の椅子に人が座り続けているかどうかをリアルタイムで確認できる。
リクルートグループでは事業領域の拡大などに伴い、会議の回数が増えているという。少人数の会議室が足りず、大きな会議室で少人数の会議が開かれることも多い。このため昨年から会議室の最適なレイアウトを実現するためのプロジェクトを始めた。
レイアウトの見直しには会議室の正確な利用状況の把握が不可欠だが、実際に何人で会議をしているかといった利用データを集めるのは簡単ではなかった。当初は会議の参加者にWi-Fiや近距離無線「ビーコン」で通信する専用端末を持たせて情報を集める手法を検討した。
しかし、会議室の外の人の端末とも通信してしまうなど正確なデータにならなかった。会議室内にカメラを設置して画像認識システムで人数を計る仕組みも検討したが、プライバシーの観点から反発が多かったという。
そこで思い付いたのが座布団だ。リクルートコミュニケーションズの徳満京子氏は「座るだけならプライバシーなどを含めて問題はないはず」と考え、自らセンサーや回路の材料を購入してIoT座布団のプロトタイプを製作。試作品を電子機器メーカーに持ち込み、実際の計測に使える装置に仕上げた。
まず18年4~7月にリクルートHDの本社が入る大型複合ビルの会議室で利用状況を計測。参加者が4人以下の会議が全体の8割を占めており、座席の平均使用率は4割にとどまっていることがわかった。
座るだけで座席を利用しているかどうかを判断する
この結果を受けて12人収容の会議室を廃止。2~4人用の部屋に衣替えしたところ、着席している座席の割合は1割増えたという。会議室のレイアウト変更と同時にオフィスの執務スペースも見直し、会議室と合わせた面積を従来より30%削減。替わりに社員同士がコミュニケーションを取るスペースや、集中して作業したいときに使う個室などを増やした。
IoT座布団は共用スペースの座席に設置するなど、会議室以外の利用状況の把握にも活用できる。グループ各社のオフィスの効率化に利用していくほか、外部企業のオフィス効率化を支援するために使うことも視野に入れる。
都心を中心にオフィスビルの需給は逼迫しており、賃料も上昇傾向。三鬼商事によると、都心5区の5月の空室率は1.64%と月次データが残っている2002年1月以来の最低水準を更新した。企業にとってオフィスの効率活用は大きな経営課題ともなっている。
(企業報道部 広井洋一郎)
日経産業新聞 2019年6月20日付]

電話というもの。

*[ウェブ進化論]対人コミュニケーションのこれから
三河の国は家康の時代から商売上手が多いと言われているが、若者が大トヨタグループを志望せずに起業し始めたという日経記事。
それはともかく。
携帯電話などに振り込め詐欺をはじめとする迷惑電話が掛かってくると警告を発するサービスを手掛けるトビラシステムズと、(以下略)
これだ。
これ。
 
今の若者は電話を好まずまずメールだ。
さらにカジュアルなLINEでも「既読」が分からないやりとりが好まれているという。
「押し付けがましくなく」「よりソフトに」「でも少しは(届いたか確認して)安心したい」という方向にコミュニケーションの道具は向かっている。

 そのうちに自分たちに似たアバター同士が会話してくれて、なにか気が付いたときだけ「リアル人間が話す」のではないだろうか。

アバター、山田さんにお礼を言っといて」といった具合に。
それもともかく。
 
電話のストレスのこと。
先の「携帯電話などに迷惑電話がかかってくると警告する」というのはある意味電話番号の監視につながる。
世の中の電話番号はこれまで「何の用途に使われるか」をなかなか捕捉しきれなかったが、ようやく「(広く)悪事に使われた番号」についてはかなり取り締まれるのではなかろうか。
 
こういうのこそ行政の仕事だろう。
何を以って悪事とするかはともかく、犯罪に使われているとか詐欺の勧誘などについては、あっという間に使用できなくできそうだ。
 
電話って知っている人からでも「何だろう」という潜在的なストレスがあるものだ。
知らない人からのものはもちろんだが、親しい人の間でもまだまだ改善の余地があるのだと思う。
 
 
さらば「寄らばトヨタ」 東海企業のIPOが急増
2019年7月5日 4:30
スタートアップ企業の誕生が少なく「新規株式公開(IPO)不毛の地」とまで呼ばれてきた愛知・三重・岐阜の東海3県で、異変が起きている。これまで20年近くにわたって日本全体の年間IPO件数に占める東海企業の割合は5%前後にすぎなかったが、今年1~6月には18%に跳ね上がった。「どえりゃあ事態」の背景を探った。

平成最後のIPOは愛知の2社

「平成最後の国内IPO」を果たしたのは、実は愛知県の2社だった。ともに上場日は4月25日。携帯電話などに振り込め詐欺をはじめとする迷惑電話が掛かってくると警告を発するサービスを手掛けるトビラシステムズと、中古車販売のグッドスピードだ。
「電話を使う特殊詐欺の被害は減っておらず、十分なニーズが見込める」。トビラシステムズの明田篤社長は東京証券取引所内で開いた記者会見で、こう語った。愛知の2社の上場セレモニーが相次いで開かれ、まるで兜町が名古屋になったような雰囲気だった。(以下略)

環境と人

*[次の世代に]人の存在を考える。
人は環境に悪い行いをしながらも、徐々にそうした行いを修正し「世界の中のルール」を作っていく。
人間は果たして地球にとっては善良な生き物なのだろうか。
 
それはともかく。
今は「二酸化炭素」と「プラスチック」。
これほど便利に使ってきたアイテムを「どれだけ減らすか」というのが今の時代の焦点になっている。
人の発明する技術というのは「一定の歴史的な評価」を経ないと善か悪かがはっきりしないものらしい。
プラスチック材がこれほど環境に悪いと分かったのは、十分に普及した後である。
CO2も同様だ。
 
人はこれからもいくらでも新しい技術と製品を生み出しながら、試行錯誤を続けていくのに違いない。
すごい英知だと思う一方、それが「環境の保全」に向かっているのか実は「環境の破綻」に向かっているのか疑問になる。
化石燃料とか原発とか、都市開発とか。
一体どこまでが地球とか環境とか人類にとっての許容範囲なのだろうか。
 
もう一つ大きな学問が必要な気もする。
それは多分「地球にとっての人とは何か」というようなことを追求するものだろう。
人はこの星に存在していていいのか、という自分たちにとっての禁忌を考えるテーマことになるのではないだろうか。
人にはふさわしいテーマだと思う。
 
 
ネスレ、菓子の脱プラ進める紙包装開発
2019年7月4日 13:07
食品世界最大手のネスレは、プラスチックごみ対策を飛躍的に進める包装方法を開発したと発表した。菓子製品をリサイクルできる紙で包装する、同社はこの「世界初」の技術を他社も使えるようにすると約束している。
新しい包装を採用したネスレの菓子製品=ロイター
これまでの環境負荷の低い包装を目指した試みと異なるのは、英ヨーク市で開発した包装紙が高速生産ラインでも破れることなく、鮮度を9カ月間保つことだ。包装紙は棒状のフルーツ・ナッツ入り栄養食品「YES!」で使用しているが、他の製品にも利用できる。
ネスレはこの技術を特許出願しておらず、2020年4月から他社に開放すると発表した。「この技術にしがみついても、得にはならない。業界全体に(プラスチックの代わりに)紙を使ってもらいたい」と同社のグローバル・コンフェクショナリー研究開発部門を率いるジャス・スコット・ド・マルタンビル氏は語る。
消費財メーカーに対しては、自社の企業活動が生み出すごみの排出量削減に向けた一段の努力を求める圧力がかかっている。ネスレを含む多くの企業は、英エレン・マッカーサー財団が率いる活動の一環として、25年までに自社製品のプラスチック包装をリユース(再利用)・リサイクル可能、または生分解性の素材に切り替える方針を自主的に示している。
ネスレは年間数百万トン規模で利用する包装材のうち、どの程度が再生可能かを明らかにしていない。3分の1近くはプラスチックで、その大部分は飲料水の「バクストン」「ヴィッテル」「サンペレグリノ」などの傘下ブランドが占める。
プラスチックごみがもたらす環境汚染への関心は近年、急速に高まっている。英国では17年、BBCの自然ドキュメンタリー番組「ブルー・プラネット」の中でプラスチックが海を汚染し、野生動物を死に至らしめている様子が放映されたことが引き金になった。さらに欧州連合EU)はストローやカトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーン)など、使い捨てプラスチック製品を禁じる法律を制定し、各国政府も課税や規制を通して、ごみ問題に取り組んでいる。
17年に発表された国際規模の分析によると、第2次世界大戦以降、推定83億トンのプラスチックが製造された。うち5分の4はごみとして捨てられ、リサイクルされたのはわずか9%程度だ。

ポリマーでコーティング

ネスレの新包装紙はポリマーでコーティングされ、防水性や密閉性のほか、生産ラインや輸送・保管中に破れない強さがある。それでもリサイクル可能で、海中では6カ月以内に分解するという。
ネスレのヨーク工場の包装部門を率いるブルース・ファンネル氏は「これ(新包装)を実現するには、既存の機械で、しかも高速で使用可能でなければならなかった」と説明する。生産ラインでは1分間に300個の製品を扱うが、新包装紙への対応は軽微な変更を加えるだけで済んだ。それでも、包装1枚あたりのコストは上がった。
この健康的な「リサイクル仕様」製品に対して、環境問題への意識が高い消費者には1個あたり1.2ポンド(約163円)、競合製品の約1.5倍を支払うことを納得してもらいたいとネスレは考えている。YES!は18年9月に販売を開始し、一部のEU加盟国で購入可能だ。世界展開を控え、新たな包装紙も生産を開始している。
包装の紙自体もサステナブル(環境に害を与えず、持続可能)と認定された資源を利用している。ネスレは開発費用を明らかにしていないが、研究開発には年間17億ポンドを投じていると発表している。紙とプラスチックの二酸化炭素排出量の差を判断するには時期尚早だという。「万能の解決法は存在しない」とファンネル氏は話す。
米ハワイの海岸に打ち上げられたプラスチックごみ=米海洋大気局提供・共同
ケンブリッジ大学の「プラスチックごみ削減への循環経済(サーキュラーエコノミー)的アプローチ方法研究所」のアーウィン・ライズナー所長は、新包装紙は「重大な進歩」で「他のメーカーにもプレッシャーをかけることになる」と言うが、重要なのはプラスチックをリユース・リサイクル可能にすることだと強調する。
それでも、この巨大な問題の即効薬とはならない。専門家は、世界のリサイクルの仕組みは壊れていると指摘する。富裕国の消費者がごみを分別する際、リサイクルが不可能になるようなミスを犯す場合が多いという。一方、廃棄物リサイクルを担ってきたアジア諸国が業務を拒否するケースが年々増え、多くのごみがリサイクルされず、埋め立てられてしまっているのが現状だ。
By Andy Bounds and Leila Abboud
(2019年7月3日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
 

 

技術のもたらす未来。

産経より。
*[ウェブ進化論]5Gの先に
5G時代の通信の凄さについて。
事実上「通信の遅延ゼロ」の時代がくる。
「一平方キロあたり百万台のセンサー接続」も現実になる。 
これまで3G、4Gとそれぞれ衝撃的な技術革新だったが、さらに進む。
 
通信速度が100倍。
さらにこうした変化が十年ごとに起こるらしい。
「自動運転」「(ゴーグルの要らない)ホログラム通信」「空飛ぶタクシー」「触感も伝わる仮想旅行」「ロボット作業員」。

通信が一世代進むということが、一気に技術を加速させる。

さらに十年後には何が起こるのだろうか。
 
6Gとか7Gの世界に、自分たちができていることはなんだろうかと考えると心が弾む。
本当の技術革新は、いよいよこれからなのではないかとさえ思う。
さて量子コンピューターは何を実現してくれるだろうか。
 

第6部 5Gの衝撃(1)3000キロ離れた患者に脳手術 経済効果1300兆円。5Gは国家の競争力となる

2019.7.3
 次世代の移動通信インフラ、いわゆる5Gによる新時代の幕が上がる。「超高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という5Gの特長は、私たちの生活や産業構造を一変させるインパクトを持つ。
 中国・北京。まだ寒さの残る3月、人民解放軍総合病院で、パーキンソン病を患う男性(68)の脳に刺激電極を埋め込む手術が行われた。
 「電極をもう少しだけ右へ」。3時間におよぶ手術を担当した執刀医は、北京から3千キロ以上離れた海南島海南省)の同病院の分院にいた。患者を映す画像やデータをにらみながら手術機器を遠隔操作し、執刀したのだ。
 中国初となる5Gを活用した遠隔手術。全面協力したのは、通信事業者の中国移動(チャイナ・モバイル)と、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)だった。手術は大豆より小さい大脳中心部の視床下核を刺激するため、正確な位置に電極を埋め込む高度な技術が必要とされる。
 遠隔手術が成功したのは5Gの特性が生かされた結果に尽きる。人間の毛髪一本一本や細かな皺(しわ)を鮮明に映し出す4Kの高解像度な像を伝送するには4Gの通信速度では遅延が生じ、手術では重大なミスを招きかねない。これに対し、5Gでは遅延が1千分の1秒以下に抑えられ、遠隔地の機器を完全リアルタイムで操作できる。担当医師は「これで離島や僻地(へきち)の患者に(遠隔診断だけでなく)遠隔手術を行うことが可能になった」と中国メディアに述べた。
 「私たちは世界で初めて5Gの商用化に成功した」
 韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は4月、同国の通信会社が始めた5Gのスマホ向けサービスが米国の通信会社より数時間早かったことにこだわりをみせた。国を挙げて競い合うのは、5Gがもたらす変革が国家の競争力をも左右するからだ。
 2017年に世界の基地局シェアで首位となった華為は中国政府の強力な後押しを受けてきた。これに米政府は危機感を強め、華為排除を各国に呼びかけるなど対抗意識をあらわにする。
 5Gの経済的なインパクトは巨大だ。5Gによって実現するさまざまなサービスや製品の全世界での売上高は35年までに最大で12兆3千億ドル(約1300兆円)に達するという(IHSマークイット試算)。
 5Gは100万台の通信機器を一定条件下で同時接続できる。つまり、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の世界を実現させ、過去に存在しなかった全く新しいサービスを生み出すインフラとなる。
 5Gの世界では、人間が一切関与しない究極の自動運転「レベル5」も当たり前となる。オフィスへの移動中も運転はすべてクルマ任せで、食事や仮眠をしているうちに目的地に着く。
 そもそも5G時代にはオフィスで働くという概念自体がなくなるかもしれない。仮想空間技術を開発するNTTドコモの担当者は、未来の働き方について「ホログラム(立体映像)でコミュニケーションがとれる姿」を描く。
 ゴーグルやメガネ型端末などを装着しなくても、声をかければ、自宅のリビングに仮想のオフィス、そして同僚の立体映像が映し出され、あたかも同じ空間にいるように会話ができるようになる。地方にいながら都心で働けたり、家で育児をしながら働けたりするなど、多様な働き方が実現するわけだ。すでにNTTドコモはゴーグルなどを使った仮想空間で分身(アバター)を通じて会議が行える実験に乗り出している。
 5Gは、生活や仕事、医療、移動、娯楽など、これまで想像できなかった新たな社会を提供する可能性を持つ。それは人々の概念すら変えてしまうかもしれない。
 ■5G覇権争いが始まった
 空飛ぶタクシー/触感も伝わる仮想旅行/数百台ロボを無線制御する工場
 1年前の9月下旬。カタールの首都ドーハのリゾート島「ザ・パール」で、1台の無人機が上空にフワリと浮かび上がった。
 運転手が存在しない機体を飛ばせているのは、第5世代(5G)移動通信システムだ。カタールに拠点を置く通信会社、オーレドゥーが世界で初めて5G技術を活用した「空飛ぶタクシー」の実験を成功させた。
 「5Gの本当の力を実演したかった」(同社最高経営責任者)。機体は地上の操縦室から遠隔操作し、成人2人の乗客を乗せて目的地まで移動する-。時速130キロまで速度が出る機体が、安全に飛行するにはセンサーやカメラで気流の変化や障害物を検知し、地上と遅延なく超高速でデータを受送信することが必要だ。5Gがなければ重大事故につながりかねない。
 空飛ぶタクシーは米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズも米通信大手のAT&Tと組み、開発を進めており、2023年のサービス開始を目指す。オーレドゥーも数年以内の実用化を想定するなど、5Gを活用した空の移動革命は着実に前進している。
 青い空と海が広がる小笠原諸島の父島。海岸にたたずむガイドの女性が、155センチのロボットと握手を交わした。
 「おおー」。感嘆の声を上げたのは、1千キロ離れた東京都内にいる男性。身につけた手袋を通じて、女性の手の感触やぬくもりを確かに感じていた。遠隔地にいるロボットに人の感覚をつなぎ、ロボットの目や指を通じて現地の様子を体験する「テレイグジスタンス」と呼ばれる新技術の実証実験だ。
 男性は手袋だけでなく、ゴーグルやヘッドホン、ベストも装着し、ロボットと視覚や聴覚、上半身の動き、指の感覚を共有。手を振れば、ロボットにも同じ動きをさせることができる。父島で差し出されたヒレをばたつかせるウミガメに触れ、男性は再び驚きの表情をみせた。この技術の根幹も5Gだ。
 父島での実証実験を行ったベンチャー企業のテレイグジスタンス(東京都港区)には、KDDIやJTBなどが出資する。彦坂雄一郎最高執行責任者は「4Gでは酔いを感じるくらいの映像伝達の遅延があるが、5Gになればほぼ影響のないレベルになる」と話す。将来的な宇宙旅行の疑似体験にもつながる技術だ。
 だが、実際には娯楽だけでなく「建設・土木業界で危険作業を置き換えようというニーズが強い」(彦坂氏)。5Gと、ロボと感覚を共有できる環境さえあれば、日本の工場の作業に世界中の作業員が加わることも夢ではない。地球上の昼間の地域の作業員が遠隔操作に加わり、工場を24時間フル操業させることも可能で、これまでの常識では測れない社会が実現する。
 「5Gはいずれ工場の中枢神経系となる」。4月にドイツで開催された世界最大の産業機械見本市「ハノーバーメッセ」。来場者を前に独自動車部品大手ボッシュの幹部はこう強調した。
 同社は5Gを用いた3Dプリンターの無線制御デモを披露。5Gを使えば無線で、数百台のロボットを制御することができる。膨大な数のケーブルが不要になり、受注に合わせ製造ラインを柔軟に変更させ生産性を高めることが可能だ。
 5Gによる製造業の高度化は独自動車大手アウディなども取り組む。第4次産業革命を打ち出すドイツ政府が主導し、産官学の連携体制を整える。日本も「製造立国」と呼ばれるが、工場に5Gを導入する動きは本格化していない。
 移動通信技術の世代交代で、産業の主役は大きく変わってきた。3Gでは携帯電話によるネット接続サービスで日本勢が世界をリードしたが、動画配信や交流サイト(SNS)がスマホ上で展開される4Gの時代になると、「GAFA」と呼ばれる米IT大手4社がプラットフォーマーとして台頭した。
 5Gでもゲームチェンジは確実に起こる。革新的なサービスが誕生し、業界の競争ルールが変われば、既存の序列や企業規模は意味をなさない。5G時代にどんな企業がユーザーの支持を集め、次のGAFAのような存在になるのか。その覇権争いは、すでに始まっている。
【用語解説】第5世代(5G)移動通信システム
 約10年ごとに世代交代してきた無線通信の国際規格で第5世代にあたる。Gは「Generation」(世代)の頭文字。通信速度は現行の4Gの約100倍。通信時間の遅れは1千分の1秒程度とほとんど発生しない。1平方キロ当たり100万台の機器を同時につなぎ、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の基盤となる。日本では、来春から本格的な商用サービスが始まる。

再び三国志

*[ウェブ進化論]変わる環境について
主にアメリカと中国で次世代半導体の開発競争が激化している。
後発でも本気でやれば追いつけるかも、という中国はすごいが、日本はどこで舵取りを誤ったのだろうか。
それにしてもAIとか半導体とかプラットフォームとか、ますます独占が「先鋭化」してきている今の時代。
国や企業のトップは「何にどれだろのリソースを投じるのか」ということをますます真剣に考えて決断する必要がありそうだ。 
総じて日本の企業はこうした極端な判断が苦手だ。
「一か八か」というような行動は美徳とされていないと思う。
 
しかしながら。
今医療とかITとかの世界で今求められているのは「局所的なツッコミ力」だ。
命までは失わないまでも「全身全霊でこれに賭ける」というような姿勢でないと、その後の競争に勝ち残れない。
 
そうした「局地戦」がとても多くの場所で起きているのが今だと思う。
まるで中国の三国志時代のよう。
 
自分が破滅しないまでも、進む方向を徹底的に絞る。
そういう経営姿勢がないと、技術革新の早い世界では生き残って行くのは難しそうだ。
競争の環境がそんな風に変わっていることを認識する必要があるのではないだろうか。
 
 
 
ハイセンス、半導体開発の新会社設立 製品高度化急ぐ
2019年7月1日 19:30
【香港=比奈田悠佑】中国の家電大手、海信集団(ハイセンス)は半導体の研究開発で、近く新会社を設立する。国内外でテレビなど家電市場が飽和するなか、中核部品の半導体の開発体制を強化し、製品の高度化や他社との差別化を急ぎたい考えだ。
ハイセンスは中核部品の開発体制を強化する=ロイター
具体的には、ハイセンス傘下のテレビ事業会社、青島海信電器などが合計5億元(約80億円)を出資し、新会社を設立する。環球時報(電子版)など複数の中国メディアが報じた。新会社は画像処理を行う半導体人工知能(AI)を駆動する半導体を研究開発するという。開発した半導体をもとに、他の家電との連携などをスムーズにするなどテレビの高機能化に役立てる考えだ。
青島海信電器は2018年に東芝のテレビ事業を買収するなど、高精細の映像処理技術など研究開発体制を強化してきた。ただ映像の高精細化では他社も同じく力を入れており、現状では差異化が難しくなっている。
さらに中国は世界最大のテレビ市場だが、ここにきて失速している。18年の販売総額は前年比1割減と大きく落ち込んだ。普及率の高止まりに加え、ブランド乱立による競争激化で単価も急速に下落しており、家電各社の生き残りをかけた模索が続いている。
 

 

お金の使い途

*[次の世代に]一番大事なこと。
タイの財閥CPフーズが人材育成に大きく投資しているという。
240億円を投じて研修施設を作り、世界中から若者をスカウトしているという。
 
Googleなども人材育成には熱心だが、まだ世界の大企業に「人こそ成長の源泉」という機運は薄い。
AIやIoTの活用が進むこれからは、そうした「人への姿勢」にひと際「会社の方針」が出てくるだろう。 
日本の大企業ももっと人材重視にお金を使うべきだと思うが、どうも動きは鈍い。
 
でもっと深刻なのはお金のない中小企業だ。
「中小零細だからこそ人材育成を重視する」という考えが必要になるのに違いない。

 中小だからこそできる現場の経験を、どれだけ若者のモチベーションにつなげられるか。

「生きるか死ぬか」の現場のスリルは中小企業にこそある、と自分は思うがそうした経験が「キャリアにつながる」ということを伝えないと、今の若い人はすぐに離脱してしまうだろう。
 
中小企業こそ、これからの人の育て方を最優先しなければならないだろう。
あ。
何を隠そう自分のことなのでした。
 
 
タイCP 幹部育成の「城」に潜入 実際に事業化も
2019年7月2日 4:30
タイのチャロン・ポカパン(CP)グループが人材育成に力を入れている。タニン・チャラワノン上級会長(80)が4月に中核のCPフーズの会長を退くなど世代交代を急ぐ同社。約70億バーツ(約240億円)を投じ3年前に整備した、東京ドーム約5個分の敷地を持つ巨大な研修施設の運用も本格化する。幹部候補生を育成しながら将来のビジネスの芽を探る施設で、タニン氏の肝煎りだ。海外メディアによる取材は初めてという同施設の実態をルポする。
CPの研修施設は「城」と形容する人もいるほどの規模だ(6月、タイ東北部カオヤイ)
研修施設「CPリーダーシップ・インスティチュート(CPLI)」はタイ東北部の避暑地カオヤイにある。6月、同施設を訪問してみると、その外観はまさに"お城"だった。
建物内に入ると、大きなシャンデリアの下がった玄関ホールと高級ホテルのように重厚なロビーが出迎える。敷地は東京ドーム(約4万7000平方メートル)の4.9倍に当たる約23万平方メートル。建物には200室を超える客室があり、豪華なレストラン、フィットネスルームなども備えられている。
大ホールに入ると、新入社員による新ビジネスのプレゼンテーションの真っ最中だった。「タイは外国人が多い国です。多言語対応した自動販売機を置いてはどうでしょうか」。チームに分かれてプレゼンする社員の顔は緊張で紅潮していた。ここに来られるのは幹部候補生として見込まれた人物ばかりで、2~3日間泊まり込みで研修する。多くはタイや中国のトップ大学でCPがスカウトしてきた人材だ。
タニン上級会長が自ら新入社員に助言する場面も
グローバル企業のCPらしく、スライドは英語と中国語。国際会議さながらに同時通訳がおり、ベトナム語、英語、中国語などに通訳される。
プレゼンは単なるお遊びではなく、実際にビジネスをして、数週間に一度成果を報告する。プレゼンを見守る10人ほどの幹部からは「利益は出るのか」「もっと具体的な戦略を見せてくれ」といった本当の会議のような質問が飛ぶ。タニン上級会長も参加しており、時折助言していた。
CPLIが開所したのは2016年。タニン氏は「構想に8年かけた」と話し、自ら米ゼネラル・エレクトリック(GE)、ボーイング、韓国サムスン電子など世界の名だたる大企業を視察したことを明かした。「最も影響を受けたのはGEだった」と話す。
GEは「アクション・ラーニング」という研修手法を取り入れていた。座学ではなく、自ら新しい事業のアイデアを出し、実際に試験的に事業化してみる。その上で経験豊富な幹部から助言をもらう。当然失敗することも多いが、「提案したビジネスがうまくいかなくてもいい。統率力や協調性をみている」(CPLIのワンナウィラット副ディレクター)。
研修は26歳以下の若手を中心に選び、4段階に分けて選抜、育成を進める仕組み。幹部としての才能を見いだすと同時に、新しいビジネスの芽を見つけることが目的だ。研修プログラムを担当するワンナウィラット氏自身も米ハーバード・ビジネス・スクール在学時代にタニン氏に一本釣りされ、30代にしてCPLIを統括する立場に就いた。
CPの将来の幹部候補生が学ぶ
CPが研修施設を設けた背景にはタニン氏の危機感があった。約50年にわたってグループを率い、カリスマ経営者と呼び声の高いタニン氏は「成功を収めた古い世代は新しいアイデアを取り入れることに消極的だ」と語る。
巨大化したグループが成長を続けるためには新事業の創出が不可欠。80歳になったタニン氏は息子2人と孫2人に事業継承する考えを示しているが、一族以外の人材を育て、評価しなければ同族経営の弊害が露呈しかねない。
バンコク=岸本まりみ)
日経産業新聞 2019年7月1日付]