小馬鹿注意報

*[次の世代に]自分探偵。
ほぼ日より。
「わかったような気になってばかにする」というのは、
じぶんがなにもないから、まわりをばかにしないと、
生きてく自信が持てなくなっちゃうからなのだろうね。
ありますあります。これ。
でも、若い時のこと。
 
で年とともに知っていることや経験値が上がってくるので、「自分の理解できるかたまり」で対象を理解しようとする。
だから若者が「お金が欲しい」と言ったら「お金なんてものは…」とか言うし、反対に「お金なんていらない」と聞くと「いやいやお金というものはね…」などと言いたくなる。
実にうざい。
 
知らないことに虚勢を張ってバカにするのも無駄だし、色々知っているつもりで小馬鹿にするのは害悪とも言えるだろう。
しかしこの「わかった気にならない」のは結構難しい。
だってそんな中にはまあ「本当に分かっていること」もあったりするから。
だから「オレよ。このこと、本当に分かっているのか」と言う探偵のような存在が必要なのだと思う。
さらに「それってお前が人から聞いただけのことじゃないのか」とも質問してみよう。
 
何かにつけ「バカだな」と思ったら要注意だ。
バカは即座に自分かもしれない。
それでも政治の様子はバカに見えるけれど。
 
 
 
今日のダーリン
・「わかったような気になってばかにする」
そういうことってないかい?
 
ぼくは、たくさんあったよ、たとえばね…。
若いときに、アメリカやイギリスの音楽を聴いていると、
なんだか新しい時代の主人公になったような気がして、
おじさんおばさんがよく聴いているような
謡曲をはじめとする日本の歌をばかにしていたんだ。
 
恥ずかしいから、あんまりいちいちは言わないけれど、
いまのパナソニックの創業者の松下幸之助さんのことも、
「どうせ、偉そうなこと言ってるおじさんだろう」
くらいに、なんにも知りもしないくせに決めつけていた。
 
詩人で書家の相田みつをさんのことなんかも、
「適当なこと言って、最後にみつをって言えばいいんだ」
と冗談のたねのように片付けていたよ。
ぜんぶ正直には言わないよ、恥ずかしすぎるからね。
 
じぶんがまちがっていた、ということの前に、
なんにもわかってないし、知りもしないくせに、
「あんなものはたいしたことない」と決めていたことが、
あまりにもダメなことだと思うし、それが恥ずかしい。
おそらく、こんなふうに、知りもしないのに
「わかったような気になってばかにする」というのは、
じぶんがなにもないから、まわりをばかにしないと、
生きてく自信が持てなくなっちゃうからなのだろうね。
たぶん、ぼくの場合はそうだったと、いまは思う。
 
やがて、ひとつずつわかっていくわけだ。
現実的に、ものごとを知っていくと、
「それぞれに、たいしたものだ」とわかってくる。
そして、じぶんにないものについては、
それまでばかにしていたものに教わる必要がある、と。
このことに気づくのが、何歳くらいのときか。
人それぞれだと思うんだけれど、
あんまり遅くならないほうがいいような気がする。
それができるようになると、敵からも学べるし、
花や虫や電車やチョコレートからも学べるようになる。
それがいやなら、ま、そのままでいなさい、ということ。
 
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
糸井重里?なにあれ?最悪だよね…も、当然あるだろうさ。

協調の時代

*[ウェブ進化論]ライバルとも仲間。
日経産業より。
シーメンスが工場の稼働データのプラットフォームを解放するという。
マインドスフィアは、産業機械を中心とするハードの稼働データをクラウド上に収集・分析するシステム。
すでに100社以上が基盤に載っているという。
人間社会の国同士はまだまだいがみ合っているけれど、クラウドの世界はどんどん協調が進む。
IoTのデータも、車や街中や自宅やオフィスのあらゆるデータが"中心"に吸い上げられて、あっと驚くような制御システムがたくさん出てくるに違いない。
 
人間社会ではいろんな利害関係がからみ合って、「でも結局お互いに損をしている」「納得していない」ようなことが実にたくさん起きているけれど、ひょっとしたらITが「そういうこと」を解決するのではないだろうか。
人というのはこれほどの叡智を持ちながら、場合によっては相当愚かしい。
コンピューターが冷静にデータを分析すれば「思い込み」とか「好き嫌い」は相当排除出来るだろう。
関税の掛け合いとか、増税と減税とか、今でも徒労にしか思えないことが徐々に解決されるに違いない。
そうなれば、政治家の役割もようやくまともなものになるのではないだろうか。
 
シーメンス、ライバルもなかまに IoT基盤開放
 

シーメンスの日本法人(東京・品川)が、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」分野で連携を広げている。このほど制御機器で競合するオムロンと提携した。2021年以降に複数の工場を一体的に管理する新サービスを共同で展開する計画だ。シーメンス独自のIoTプラットフォーム(情報基盤)「マインドスフィア」上で提供できるソフトの充実を図り、ハード販売に続く収益の柱に育てる。
 
マインドスフィアは、産業機械を中心とするハードの稼働データをクラウド上に収集・分析するシステム。18年から日本市場で本格的に展開を始めた。顧客は生産設備の不具合の発見や故障の予知につなげられる。ソフト利用に応じてシーメンスに料金を支払うモデルだ。
 
シーメンスは当初、マインドスフィア上で自社製のソフトを中心に運用していたが、近年、外部のパートナー企業が開発したソフトについてもマインドスフィア経由での提供を進めている。すでに電通国際情報サービス(ISID)などのIT(情報技術)企業中心に数十社がパートナーとなっている。
 
新たにオムロンをパートナーとして加えた。オムロンは現在、自社製の制御機器やスイッチから収集した工場の稼働データを分析し、生産改善につなげる「i-BELT(アイベルト)」と呼ぶサービスを展開している。
 
今後はシーメンスのマインドスフィア上でのサービス利用を可能にする。オムロンはマインドスフィアを利用する顧客と取引を拡大できるメリットがある。制御装置や工作機械などの分野で競合する企業のソフトをマインドスフィア上で提供するのは珍しい。
 
サービスの共同開発も進める。オムロン草津工場(滋賀県草津市)などで実証を本格化し、21年以降に複数の工場の生産設備の状態を一体的に管理・分析するサービスを事業化する。
 
オムロンのアイベルトは従来、単一の工場内の設備稼働データの分析のみが可能だった。クラウド上で展開するマインドスフィアとつながることで、アイベルトが収集した複数の工場の生産データを集約して、横断的に改善計画を立案したり生産をスピード移管したりできる。
 
「IoTはオープンが原則。(ハードなどでの)競合関係を超えて、企業間の連携を進める必要がある。将来的にはファナック日立製作所などとの連携も組んでいきたい」とシーメンス日本法人の藤田研一社長は強調する。
 
シーメンスの日本事業は発電機などのハードの販売が中心だったが、近年、マインドスフィアを軸とした製造業の総合支援へ軸足を移している。20年以降にマインドスフィアを利用する国内企業の数を現状比2倍の200社に倍増する計画だ。
 
産業系IoTでは米ゼネラル・エレクトリック(GE)や日立などが独自のプラットフォームの展開を進め、顧客の囲い込みを競ってきた。米IT大手も同分野に参入して、しのぎを削っている。そのため、競争関係に必ずしも縛られず協調する流れにある。シーメンスは外部企業と連携を通じて、マインドスフィア上のソフトのラインアップを拡大し、IoTビジネスでの優位性を確保したい考えだ。
 
(企業報道部 松井基一)

言われるがまま。

*[ウェブ進化論]アドバイスだらけ。
日経産業より。
フィリップスが「睡眠を操る家電」を作るという。
深い睡眠の「徐波睡眠」のときに500~2000ヘルツの音を発生させ、睡眠の質を向上させる
らしい。
「睡眠の深さ」とか「レム睡眠」とかよく話題にはなるが、果たして自分はいつ寝ていつ起きるのが最適かと問われると答えにくい。
10時には寝て4時に起きる「パワー社長型」がいい気もするが、ちょっと息が詰まりそうだ。
お酒も飲みたいし。
 
くだくだ言わないで、寝たい時に寝て起きたい時に起きれば良さそうなものだが、実は「そろそろ寝た方がいいですよ」とか「今起きるのがベストです」とか教えてくれる存在がいたらかなり重宝するだろう。
これからの暮らしは、日常の運動とか、栄養とか睡眠とか服装とか、もちろん健康とか病気とか、なんでもコンピュータがアドバイスしてくれることになりそうだ。
 
仕事でもアポの管理とかだけでなく「あの人と会うべきです」「この人とは付き合わない方がいいですよ」なんてこともあるだろう。
そんな中でいつまで自分の意思を保てるか少々不安だ。
「アレクサ今日は何を食べようかな」とか呟いている自分はすでに危ない。
 
フィリップス、家電で健康管理 睡眠分野など日本で
 
2020年1月21日 2:00
 

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

オランダのフィリップスが個人の健康管理に役立つ家電製品を増やしている。2019年末には深い睡眠を促すヘッドバンド製品を日本国内で発売した。海外で展開する他の睡眠関連の製品も日本市場に投入する。健康と技術を掛け合わせた「ヘルステック」の領域を強化しており、電動歯ブラシなど他の家電の機能も健康関連のデータ取得に役立てる。家庭で健康管理できる製品として拡充を図る。

 
オランダ・フィリップスで消費者向け製品を統括するロイ・ジェイコブス上級副社長
19年末に発売した「ディープスリープヘッドバンド」は音波で深い眠りを促す。就寝時に頭と耳の後ろに付けたセンサーで利用者の脳波を検知する。深い睡眠の「徐波睡眠」のときに500~2000ヘルツの音を発生させ、睡眠の質を向上させる。専用のスマートフォン向けアプリから音を出した回数や睡眠の質を示すスコアを確認できる。睡眠時間が短い人でも日中快適に過ごせるようにする。
 
フィリップスは睡眠時無呼吸症候群を治療する医療機器などを手掛けており、利用者の睡眠データからアルゴリズムを導き出した。新製品は健康な個人向け製品の位置付けだ。欧米市場で販売するいびきを改善する製品や自然な目覚めを促す照明といった睡眠関連の家電についても「1~2年後をメドに日本で投入したい」(消費者向け製品を統括するロイ・ジェイコブス上級副社長)という。
 
睡眠領域の製品を強化する背景について、ジェイコブス氏は「フィリップス全社でヘルステックの会社になろうとしているため」と語る。同社は磁気共鳴画像装置(MRI)をはじめ病院向けの診断機器を販売している。
 
家電製品は家庭で過ごすときの健康状態を把握するためのツールと位置付けている。例えばヘッドバンドで記録した睡眠データを医師と共有できれば、病気の診断をより適切にできる。ジェイコブス氏は「世界的に消費者のヘルスケアは大きなトレンドで、自分の健康をきちんと管理したい人が増えている」と話す。
 
すでに扱う電動歯ブラシやシェーバーなども同様の位置付けだ。電動歯ブラシの場合、センサーを通じてどの部分をどう磨いたかというデータを取得。アプリを通じてユーザーに磨き残しの部分などを伝える。より良い歯磨きを促し、虫歯をはじめ病気の予防につなげる。シェーバーならば肌が健康な状態にあるかチェックすることができる。
 
ジェイコブス氏は「扱うすべての家電製品に人工知能(AI)とセンサーを搭載し、製品とユーザーをつなげる」と今後の展開を説明する。「フィリップスエレクトロニクスジャパン」の名称だった日本法人は社名から「エレクトロニクス」を外すなどして健康分野の強化を進めている。
 
(企業報道部 諸富聡)

誰が言うのかということ

 *[言葉]言葉の重み。

運気を磨く 心を浄化する三つの技法 (光文社新書)

運気を磨く 心を浄化する三つの技法 (光文社新書)

  • 作者:田坂 広志
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/10/16
  • メディア: 新書
 
田坂さんの著書を読んでいて「人と言葉の関係」について考え込んでしまった。
氏は東大卒の物理学者であり、哲学者であり、大学教授であり、著書は90冊を超え、経営塾を主宰し…ピッカピカだ。
たとえば。
もし。
もし自分がこの本を書いていたら、果たして読んでくれる人はいただろうか。
おそらく身内以外にはいなかっただろうと思う。
 
「運気を磨く」「運のいい人の特徴」「ネガティヴ思考の消し方」…
本の中身は一見、よくある「成功のhow to本」にしか見えない。
しかし二度三度と読み返すうちに「なぜ心が二極化するか」とか「負の心は消すことができる」とか一つ一つのテーマが全体で整合して、結局「運気を磨く」と云うタイトルに向かっていることに気づく。
字数は少ないがかなり怖い本である。
 
そこでだ。
自分の言うことを変えずに、粛々と発信し続けることもいいが、「あの人が言うのなら」という自分の信用とか、人格とか、ブランドとかいうのは「広くモノを申す」という時には実に大事なのだと気づいたのであった。
youtubeで始まっているのは、そういう壮大な実験ではないだろうか。

売買手数料ゼロ。

*[ウェブ進化論]まだあるビジネスモデル。
日経MJより。
ロビンフッドという勇ましい名前の会社が株の手数料をゼロで始めたという。
しかも「スマホで数秒」で手続きができるらしい。
型破りだが、どんどんそうなる。
これまでは「いろんな壁」で届かなかった「個人とコミュニティ」があらゆるところで繋がり始めて久しいが、まだまだ余地はありそうだ。
そのうち子供もスマホで会社を評価したり、選挙をしたりになるに違いない。
それにしてもこれほどネットワークが行き渡り、しかもCtoCで個人同士も繋がり出すと誤った風評などに煽られて"web暴動"が心配だ。
風通しがいいのはいいのだがあちこちで"暴徒"が発生し"過激なリーダー"が登場しては実に危険だ。
オウム事件のようなことがネットで起これば、リアルな自分たちの生活は大混乱になるだろう。
便利なコミュニケーションの運用は慎重にやらねばならない。
 
投資アプリ、手数料ゼロ&ラップで説明 若い利用者呼ぶ

NIKKEI MJ

よく行く人気のレストランが改装工事を経てさらに人気店になっていた。この会社の株を買いたいと思い、その場でスマートフォンのアプリから5株ほど買い注文を入れた。一緒に食事していた友人も6人のうち4人が買い注文を入れた。使っているアプリは全員、Robinhood(ロビンフッド)。欲しいと思ってから数分、いや数秒で手続きが完了した。

 
ロビンフッドは株式売買の手続きを簡単にした
ロビンフッドは手数料無料の株取引アプリの先駆けで、ユーザーは1千万人を超えている。ユーザーの年齢の中央値は30歳で、半数が初めて投資するという。新しい世代向けの株取引アプリであり、投資のハードルをあらゆる方法で下げている。
 
まず、取引のプロセスは驚くほど簡単だ。個別の銘柄のページに行き、「Trade」ボタンから「Sell」または「Buy」をタップする。株数を入力して、確認画面を経て購入または売却を完了させる。その間、ほんの5タップほど。取引時間内ならほぼ瞬時に取引が終わる。時間外の場合は市場が開いたところで取引する。
 
一部の利用者に限ってだが、1株未満の取引も始めた。0.000001株から注文でき、金額は1セント単位で四捨五入される。金額で注文する場合は1ドルから。もちろん手数料はかからない。

 
預けた資金には年1.8%の利息がつく
例えばアマゾンの株価は足元で1株1900ドル(約20万円)前後と、初めて株取引をする層には安くない金額だ。新たな機能により、アマゾンの株を100ドル分だけ買えるようになった。
 
このアプリ、筆者は2016年から使っている。最初は1千ドルぐらいでお試しと思っていたが、今は結構な金額を預けている。手続きが簡単なので、どんどん投資したくなるのだ。昨年1年間の上昇率は23%。まずまずの運用成績ではないだろうか。
 
毎月給料日後に自動的に一定額を振り込む設定にしている。というのも、預けた金額に年利1.8%の利息が付くサービスを80万人に提供しているからだ。資金を預けておくだけでもプラスになる。

 
みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラムベンチャーズ マーケティングVP。
とはいえ手数料無料のサービスで、どのようにしてもうけているのだろうか。毎月5ドル払う「Gold」というサービスがあり、より詳しいリサーチや分析データにアクセスできたり、ロビンフッドから資金を借りられたりする。
 
ロビンフッドはメディア作りにも乗り出しており、ポッドキャスト番組を昨年買収した。毎日15分で3つのニュースを解説し、筆者も通勤時に毎日聞いている。新世代向けというだけあり、冒頭に流れる音楽が投資の免責事項を伝えるラップになっている。最初は驚いたが、心地よいリズムで最近は口ずさむようになっている。
 
ロビンフッドは昔ながらの金融業界で手数料無料という型破りなサービスをスタートした。新たな利用者層を取り込み、市場を広げた。他社も手数料無料を打ち出しはじめている。今年は新規株式公開が噂されており、スタートアップ企業から大手企業に、そして追う側から追われる側となる。いちユーザーとして新たな展開を期待している。
 
[日経MJ2020年1月17日付]

近未来のために。

*[ウェブ進化論]独裁しないために。
日経MJより。
徐々にデジタル社会が進む中、一気に街を作ってしまうという話がちらほらと。
どうして人工的にこんな実験的なものを作るのか今ひとつピンとこないが、何れにしても"情報集約の加速"はとどまるところを知らない。
それにしてもこういう話、古くは手塚治虫氏の作品やSF映画ではすでに当たり前の話題になっている。
(前略。トロントでは)すると、一企業がデータを独占しプライバシーも侵食するとして市民が抵抗し、プライバシー擁護組織も声を上げた。美しい外見や未来の夢とは裏腹にスマートシティーの本当の姿を露出させ、誰も確固とした回答を持っていないことも明らかになった。最終的にデータ管理はトロント市の機関が受け持ち、市や郡、連邦政府などと連携してポリシーを決めるという。
急速に生活に浸透している技術の肝はここだろう。
自分は、これには今の政治体とか官僚ではなく、全く独立した管理機関を持つか、あるいは「最後の部分の便利さ」をあえて捨てて管理を分散するかが必要だと思う。
万一不正に利用されたら、人権までもなくなりそうな世界にすでに突入しかけているから、トロントをお手本に今から考えておくべきだ。
チームを作って別に動かさないと、今のような世間では到底対処できないに違いない。
消えた年金とかマイナンバーとかいうレベルの話では全くない。
 
トヨタも構想するスマートシティー あなたのデータは誰が管理?
 
2020年1月16日 4:30
 

NIKKEI MJ

今年のCESでびっくりしたのは、トヨタ自動車がスマートシティーを建設する計画だ。富士山を望む静岡県裾野市の工場跡に2千人が住む新都市を作る。刻々と時代が変化していると感じた。

 
トヨタの豊田社長(左)はCESでスマートシティー構想を明らかにした
変化の一つは、自動車メーカーのトヨタが自動運転車だけでなく、IT(情報技術)が隅々に浸透した生活の未来像を描くという事実だ。デジタル化により業種の垣根がなくなり、暮らし全般を捉える必要が出てきたのだと思う。
 
また、人々が実験のようにそこに住み、究極のデジタル生活を営む構想も興味深い。「生活する実験室(living laboratory)」と豊田章男社長は説明したが、これはCES会場を回って得る実感に通じるものがある。
 
出展される製品やプロトタイプが以前のようなコンピューターやスマートフォン関連ではなく、生活に関わるものになっている。ソフトウエアで体験してきた開発途上の「ベータ版」が生活自体にも適応されつつあるようだ。

 
トロントのスマートシティーの市民ワークショップ(18年8月)
連想したのは、グーグルの親会社アルファベット傘下のサイドウォーク・ラボがカナダのトロントで進めているスマートシティー構想である。
 
トヨタと同じく、トロントの構想もテクノロジーが統合された未来都市を描いている。緑と自然にあふれた町並みで、未来都市なのに木造で構造物を作ることはトヨタのアプローチと共通している。
 
トロントでは2年にわたり市民を集めたワークショップを開催。メモやカードにたくさんの要望や意見が書き込まれ、デジタルな未来都市とは思えないほど手間をかけた過程に驚いた。オープンな都市づくりを進めたいという姿勢が見て取れた。
 
ところが構想が固まり始めたところで問題が噴出した。データの収集と扱いに関するものだ。そこここにセンサーを設置して人々の移動や生活の様子をモニターし、都市の「向上のために」データを使うことになっていた。

 
たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。
すると、一企業がデータを独占しプライバシーも侵食するとして市民が抵抗し、プライバシー擁護組織も声を上げた。美しい外見や未来の夢とは裏腹にスマートシティーの本当の姿を露出させ、誰も確固とした回答を持っていないことも明らかになった。最終的にデータ管理はトロント市の機関が受け持ち、市や郡、連邦政府などと連携してポリシーを決めるという。
 
トヨタもデータを利用して生活や健康を向上させる計画を盛り込んでいる。住むのは一般市民ではなく、トヨタの従業員を中心に関係者になる計画のようだ。データ収集や利用に合意した上でここの住民になるのだろうか。
 
米国ではスマートカメラのような機器レベルから、ハッカーの侵入によるセキュリティー問題や行政による監視問題が浮上している。スマートシティーの絵に描いた餅のような構想の「本当のところ」を具体的に議論できる日が早く来てほしいと思う。
 
 

食欲の犯人。

*[食]おいしいの科学は快楽。
日経より、興味の尽きない食の話。
龍谷大学の伏木教授によると美味しさは四つに分類できるという。
1つ目は、生命を維持するために必要なものを食べたとき。(先天的)
2つ目は食べ慣れているもの。(生命の維持)

3つ目はもう少し人間的で、情報が関係している。(中略)『このワインは高級だからおいしい』と学習し、実際に飲んでこういう味がおいしいと覚える」

 そして。

一番面白いのは4つ目だ。世の中には誰が食べてもおいしいと感じるものがある。(中略)
じつはよく見ると、砂糖と油、そしてアミノ酸核酸が舌に与える感覚であるうま味のどれかがふんだんに入っている。この3要素が入っていれば、誰でもおいしいと言わせることができる」(中略) 
とどめは。
「糖分も1つ目のおいしさのもとにもなるが、それは適度な量であったときのおいしさであり、おなかがいっぱいになったら必要なくなる。これに対し4つ目は味が非常に濃い点が特徴。『こんなにおいしいものがあるのか』と感じてどんどん欲しくなる」
4つ目はたとえ太ったとしても食べたくなる。快楽を求めて食べているのだ」

 じつはよく見ると、砂糖と油、そしてアミノ酸核酸が舌に与える感覚であるうま味』そうだ。

自分たちはこいつに振り回されているのだ。

まあ世の中「おいしいもの」に興味のない人は少ない。

それが実は生きるためではなく「快楽」と言われてしまえば、あまり食べ歩くのも気がひける。 

 

それにしても記事冒頭にある「人は何を食べても"瞬時に"うまいか不味いかを見分ける、というのも不思議だと思いませんか。

本当に瞬時に分かるもんねぇ。

「おいしい」とは? 人間の食、生物として想定外 編集委員 吉田忠

 
極上のメニューで顧客をうならせるシェフも、絶品の農産物をつくる生産者も、ともに追求しているのはおいしさだ。それぞれが腕とセンスを磨き、競い合っているが、そこに共通する要素はないのか。おいしさの正体とは何か。うま味を研究する龍谷大学の伏木亨教授にインタビューした。
 
――おいしさとは何なのでしょう。
 
「人間はたくさんの種類のものを食べているにもかかわらず、口にした瞬間においしいか、そうでないかを判断することができる。そこでおいしさについて研究するにあたり、まず我々はおいしさに関してシンプルな原理を持っているはずだと考えた。そうでなければ瞬時には判断できないからだ」
 
「一方で、何をおいしいと思うかは人によって差がある。『蓼(たで)食う虫も好き好き』という言い方があるように、おいしさは個人的なものでもある。おいしさは食べものの中に存在しているのではなく、人と食べ物の関係の中に存在する。こうした観点から探求した結果、何をおいしいと感じるかについて4つに絞り込むことができた」
 

 
現代人はかつてない豊かな食生活を享受している
「1つ目は、生命を維持するために必要なものを食べたときにおいしいと感じる。最も基本的で、必然的なものだ。微生物も動物も人間も自分にとって必要な食べ物に向かっていく性質がある。2つ目は食べ慣れているもの。生活の体験にもとづく違和感の無さと言ってもいい。この2つが基本だ」
 
――1つ目との関連で、ノンカロリーの飲料や食べ物はどうなりますか。
 
「ネズミに砂糖水を3日間飲ませ続けると、4日目には『もっと欲しい』という反応が起きる。だがカロリーがない人工甘味料だとまったく執着が起きない」
 
「人間ももしノンカロリーのものばかりを食べ続ければ、いずれ嫌になるだろう。ところが人間の食生活はもっと複雑だ。例えば人工甘味料の入った飲料と一緒にハンバーガーを食べると、カロリーがどこから来たのかわからなくなる。だからカロリーのないものも喜んで摂取することになる」
 
――残りの2つは。
 
「3つ目はもう少し人間的で、情報が関係している。子供のころ、なぜあれがおいしいのかと疑問に思っていたものでも、大人になると好きになっているものがある。例えばグルメ雑誌の『この食べ物は秀逸』といった記事が影響する。『このワインは高級だからおいしい』と学習し、実際に飲んでこういう味がおいしいと覚える」
 

 
国内外の様々な食材を楽しむことも可能
「一番面白いのは4つ目だ。世の中には誰が食べてもおいしいと感じるものがある。チョコレートやケーキ、ステーキ、おでんなどで、B級グルメと呼ばれるものも多く含まれる。でもチョコレートとおでんは何が共通なのか。じつはよく見ると、砂糖と油、そしてアミノ酸核酸が舌に与える感覚であるうま味のどれかがふんだんに入っている。この3要素が入っていれば、誰でもおいしいと言わせることができる」
 
――4つ目の3要素は、生命を維持するために必要なものと同じではないですか。
 
「糖分も1つ目のおいしさのもとにもなるが、それは適度な量であったときのおいしさであり、おなかがいっぱいになったら必要なくなる。これに対し4つ目は味が非常に濃い点が特徴。『こんなにおいしいものがあるのか』と感じてどんどん欲しくなる」
 
「1つ目のおいしさは先天的なもので、2つ目は安心につながり、3つ目は社会的なものだ。4つ目はたとえ太ったとしても食べたくなる。快楽を求めて食べているのだ」
 

 
現代の人間の食生活は動物の常識から外れている
「日本は明治時代より前は油はほとんど取らず、砂糖も高価だった。これに対し現代は4つ目のおいしさを追求している時代と言っていい。動物の多くは飢餓すれすれの状態で生きていて、エサが十分にあれば本来、生殖行動を起こして子孫を増やす。ところが人は今、そうなっていない。食べ物があふれかえって4番目のおいしさがせり出し、動物として非常にまれな行動をとるようになっている。生物的には想定外の事態だろう」
 
――食べることは生命をつなぐための行動であるはずなのに、いまや本来の意義に反して、健康を害しかねないレベルでおいしさを追求しているわけですね。どう対処すべきでしょう。
 
「ブレーキをかけることができるのは、栄養学と医療だ。『食べ過ぎるとよくないですよ』『生活習慣病に注意してください』などと訴え、理性の力で抑制する」
 
「もう1つは、3つの要素のうちうま味に比重を置くことだ。日本の食事で言えば、ダシ。油と砂糖、ダシの3つとも快感を生じさせるが、満ち足りるおいしさに必要なのはそのうち2つほど。ダシは香りが重要でカロリーがほとんどなく、油や砂糖を過剰に摂取するのと比べると不健康ではない。ダシのうま味で満足できるようになるのが向かうべき道だと思う」

吉田忠則(よしだ・ただのり)
農政から先進農家、スマート農業、植物工場、さらにカリスマシェフや外食チェーンなど「食と農」に関するテーマを幅広く取材してきた。著書に「見えざる隣人」「農は甦る」「コメをやめる勇気」「農業崩壊」。中国の駐在経験も。Twitter@nikkei_yoshida
 

何もかも新しい

*[ウェブ進化論]Netflixという方法。
日経より平岳大さんのインタビュー。
どえらい男前の俳優がNetflixの主役になったと思ったら大俳優・女優の息子さんだった。いやはや血は争えないものだ。

ものづくりの発想が全く逆だ。日本のテレビドラマは3か月ごとの放送枠を「埋める」感覚だ。まず枠があり、視聴率が稼げる俳優のスケジュールを確保してから作品をつくり始める。ネットフリックスはまず作品があって、作品に合う俳優をオーディションで選ぶ。

 

完全に「局」の時代ではなくなっている。ロードショウとも違う新媒体の台頭だ。

俳優としての優劣でなく、役に合っているかで判断されたわけだが、そもそも世界を相手にするのに、日本国内だけの知名度に価値はない。そういう意味で、日本の全ての俳優に対し、世界への門戸が開かれたともいえる。

いよいよ俳優(映画)の世界もボーダレス化するだろうか。
ネットフリックスは一部の戦略的コンテンツ以外、ギャラ(出演料)の高い役者を使っていない。ギャラが高くなくても良い役者、良い監督、良い脚本家を集め、面白い作品を送り出したことこそが革命だと思う。トム・クルーズは世界に1人だが、同じぐらい良い役者は1人ではない。良い監督、良い脚本家も世界中にいる。そういった人材を無駄なく「流通」させている。

やはり新媒体であり、制作から製造から流通までが根本的に変わってきている。ディスラプションと言っていいだろう。

ボーダーレスになり「ジャパンコンテンツとは」が問われたとき、例えばアニメだけでいいのか。広い間口を自分から狭める必要はない。スポンサーから自由になったからこそ、もっと自由を満喫してほしい。
日本には純文学とか古典とか詠歌とかがたくさんある。
村上春樹だけでなく新しいメイドインジャパンに期待したい。

「動画配信、俳優にも世界への門戸開く」平岳大NETFLIX革命・番外編

 

有料動画配信の世界最大手、米ネットフリックスと日本のテレビ局のものづくりには、実際にどんな違いがあるのか。2019年にネットフリックスと英BBCが共同制作したサスペンス「Giri/Haji」で主役を演じた俳優の平岳大氏に聞いた。
 
■まず作品ありきの海外、枠を埋める日本
 
日本とネットフリックスを比べると、ものづくりの発想が全く逆だ。日本のテレビドラマは3か月ごとの放送枠を「埋める」感覚だ。まず枠があり、視聴率が稼げる俳優のスケジュールを確保してから作品をつくり始める。ネットフリックスはまず作品があって、作品に合う俳優をオーディションで選ぶ。
 
19年にBBCで放送、10日に世界配信が始まったGiri/Hajiは、台本の練り直しに1年、オーディションに4カ月、撮影は全8話に8カ月、編集に6カ月。決まるか決まらないかわからない仕事のために1年以上スケジュールを空けるような働き方は、日本の大手芸能事務所に所属していては難しい。個人事務所を立ち上げた最大の理由はそこにある。
 
日本でつくっていれば、主演は自分ではなかったと思う。知名度でいえば(共演した)本木雅弘氏や窪塚洋介氏に及ばないからだ。俳優としての優劣でなく、役に合っているかで判断されたわけだが、そもそも世界を相手にするのに、日本国内だけの知名度に価値はない。そういう意味で、日本の全ての俳優に対し、世界への門戸が開かれたともいえる。
 

 
平はネットフリックスとBBCの共同制作ドラマで主役に抜てきされた
■情熱だけでは仕事にならない
 
現場の働き方の違いも痛感した。日本は長くやればやるほどクオリティーが高いという発想だが、これも全く逆だ。Giri/Hajiでは1日だけ撮影が5分オーバーしたが、プロデューサーが出てきて平謝り。翌日は1時間早く撮影が終わった。決められた時間内に仕上げるのが監督の腕の見せどころ。「時間をかければ誰でもできる」という考え方だ。
 
スタッフの役割分担も徹底している。Giri/Hajiの現場でも、サングラスを外して髪を直そうというときにヘアメークにサングラスを渡そうとしたら「それは衣装の仕事です」と断られた。最初は融通が利かないと思ったが、そこまで徹底しないと責任を明確にできないこともわかってきた。役割と責任を明確にしないと、プロジェクトが大きくなればなるほど、属人的に業務を背負う人が出てくる。それは仕事ではなく情熱の領域で、産業として考えたときに長続きしない。
 

 
欧米の撮影はクオリティーは追求しつつ時間厳守。Giri/Hajiで予定時間をオーバーしたのは8カ月で1日だけだった
トム・クルーズはいらない
 
ネットフリックスは一部の戦略的コンテンツ以外、ギャラ(出演料)の高い役者を使っていない。ギャラが高くなくても良い役者、良い監督、良い脚本家を集め、面白い作品を送り出したことこそが革命だと思う。トム・クルーズは世界に1人だが、同じぐらい良い役者は1人ではない。良い監督、良い脚本家も世界中にいる。そういった人材を無駄なく「流通」させている。
 
グローバル規模で大勢の会員を獲得してこそ、多額の制作費を投入できる。コンテンツづくりは米本国に任せ、ほかの国は見るだけというわけにはいかない。ネットフリックスが日本でつくる作品にも、世界的ヒットが求められることになるだろう。
 

 
平は日本のドラマにもグローバルな視点が必要と説く
■「芸能界」からの独立、世界進出のカギ
 
必要なのは日本の独自色を出しつつ、テーマに普遍性があるコンテンツだ。そのためには世界的な価値観を理解したプロデューサーが必要になってくる。ある国や文化のタブーが、ある国や文化ではタブーでないかもしれない。同じタブーでも歴史や背景も違う。人間をどう描くかは万国共通だが、グローバルなプラットフォームに乗せるには、日本だけの価値観では対応できない。
 
破格の制作費も一つの革命だが、日本のつくり手にとって本当の革命はまだ先にある。せっかく世界に発信できるのに、日本の外で通用しないコンテンツをつくっても意味がない。新しい配信媒体ができたからといって、日本の芸能界の商慣習は、すぐには大きく変わらない。事務所の力関係、根回し、バーターといった日本の芸能界の慣習から独立性を保っていけるかも重要だろう。
 
ボーダーレスになり「ジャパンコンテンツとは」が問われたとき、例えばアニメだけでいいのか。広い間口を自分から狭める必要はない。スポンサーから自由になったからこそ、もっと自由を満喫してほしい。ドラマを描く中で不可欠なテーマを自由に扱えるのが自由の本質だ。今やネットの世界ではテーマ自体にタブーはない。誰が演じるのかではなく、どう演じるのか。何を扱うのかではなく、どう描くのか。その質が問われている。
 
(嘉悦健太)
 

立ち止まって考える方法。

*[次の世代に]実際にやってみる。

よく正月やGWの前に一年とか五年とかとの「長期目標を立てる」という話がある。

一年の計は…みたいな話だが、自分の場合はなかなか実現しない。

つい掃除をし始めたり、積み上げた本をつい手に取ってしまったり、つい深酒やyoutubeに捕まって翌朝に起きられなかったりしている。

時おり「これからのこと」についてふと思いつくことがあるのは、大抵は移動する地下鉄の中とか歩いている時なんかである。

そこで試してみたのが「絶対に何もしない時間を作る」という方法であった。

メールの返事とか掃除とか「作業っぽいこと」は絶対にしない。

音楽くらいは流していいことにした。

 

そして「仕事」と「プライベート」と「それ以外」の三つについて「ここ1年、2年、3年、10年」で最も重要な出来事を考えてみることにした。

7つの習慣の"重要事項を優先する"です。

例えば自分の場合、仕事は「IT」「法律分野」「福祉」「新規」の四つに分かれるので、それぞれについて1,2,3,10年後のあらましを予測してみる。

するとどれも案外悲観的なことに驚いたけれど、当たり前だと気がついた。

自分の思考の重点が「危機の度合いが大きいところ」にばかりしか向いていないのだ。

つまり「続々と天から落ちてくる卵を拾うゲーム」みたいな感じになっている。

守りの経営とでも言うのだろうか。(違うか)

まだうまく表現できないが、経営の計画にも「どの分野で」「どんな方法で」「大胆に攻める」というような性質が必要なのだろう。

 

あと、普段に「雑念から離れて考えることがこれほどない自分」に改めて驚いた。

ネットとの時間配分を強制的に決める必要があるのだと思う。

風邪でも注意。

*[医療]ウィルスと細菌とか。
NIKKEI STYLEより。
今の時代、科学研究の細分化が進み「よく知らないもの」を口にする機会が増えている。
αリポ酸とか何とかデキストリンとかトクホがどうとか。
で薬はもっとよく分からない。
だから専門家に丸投げしてしまっているのだけれど、風邪の基本くらいは抑えておきたいものだ。
一般的な風邪は約90%がウイルス性。抗菌薬はその名の通り細菌に効くものであってウイルスには全く効果が無い。もちろん細菌感染症など抗菌薬が必要になるシーンはあるものの、風邪の患者に抗菌薬を処方して肺炎などの入院を防げる確率は1万2255人に1人[注1]。
(中略)
現実には多くの医療機関が風邪と診断した患者に抗菌薬を処方しているという。
てことは、風邪くらいで寝込んでいても注意しないとかえって健康を害することがあるのだ。
つまり
一般的に風邪といわれる喉や鼻、発熱などの諸症状の多くは、細菌ではなく、ライノウイルスやコロナウイルスといったウイルスの感染によって引き起こされる。
さらにある。
一方で抗菌薬は細菌の細胞壁合成などを阻害する医薬品。ウイルスによって起こる風邪には効果は無い。むしろ、腸内細菌に影響を及ぼし、体にとって必要な菌まで殺してしまう恐れがある。
せめて「先生、これ抗菌薬ですか」くらいは聞いておきましょう。

風邪に抗菌薬は必要なし あなたの処方は大丈夫?

 
2019/10/28

写真はイメージ=PIXTA
医療の世界でも新しい研究が進み、情報は日々アップデートされている。同じ症例でも以前と今では治療法が違ったり、医師によって診断や処方が異なることもある。
昨今、特に注目されているのが、「複数の疾患を抱える高齢者などに飲み切れないほどの薬が処方され、健康被害を起こす可能性がある『ポリファーマシー問題』」(病院勤務薬剤師の青島周一氏)だ。厚生労働省は2018年5月に「高齢者の医薬品適正使用の指針」を発表。高齢者に処方される薬のリスクや不要な処方などについてまとめたこのガイドラインは大きな反響を呼び、漫然と行われてきたムダな医療を見直そうとする動きが広がってきている。

「万が一処方」と「お土産処方」はもうやめよう

では、なぜムダな医療が多かったのか。「そのほとんどは、薬を出すリスクよりも出さないリスクを考えた“万が一処方”。以前は薬を出さない損失の方を重視していたが、最近の医療者は薬の害を損失と捉える傾向にある」(青島氏)。また、患者にせがまれて薬を処方してしまう“お土産処方”も実際には多いようだ。
ムダな医療の典型的な例が、「風邪に処方される抗菌薬(抗菌剤、抗生物質と同義)」だ。一般的な風邪は約90%がウイルス性。抗菌薬はその名の通り細菌に効くものであってウイルスには全く効果が無い。もちろん細菌感染症など抗菌薬が必要になるシーンはあるものの、風邪の患者に抗菌薬を処方して肺炎などの入院を防げる確率は1万2255人に1人[注1]。まさに“万が一”のための処方なのだ。
また、「安易な抗菌薬の処方は、新たな薬剤耐性菌を生み出すリスクにもつながる」(青島氏)。院内感染などのニュースでよく耳にする「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」は、1960年ごろに生まれた薬剤耐性菌だ。「薬剤耐性を持つ細菌は、サミットの議題にも上る世界的な公衆衛生上の脅威。これが進むと、従来は簡単に治療できていた感染症で命を落とすという事態になりかねない。今、耐性菌によって死亡する人は世界で70万人。これが2050年には1000万人になり、死因のトップになるという予想もある」と、総合診療医・感染症コンサルタントの岸田直樹氏は指摘する。
抗菌薬の不適切な使用を背景として、WHO(世界保健機関)は15年に抗菌薬の使用を減らすアクションプランを採択した。それにもかかわらず、現実には多くの医療機関が風邪と診断した患者に抗菌薬を処方しているという。なかでも非常に多く処方されるのが、セフカペンやセフジトレンなど、「経口第3世代セフェム」と呼ばれるタイプの抗菌薬。だが、「体内への吸収率が低く、消化管でほとんど吸収されずに排せつされるため、“DU処方=だいたいウンコになる処方”と揶揄(やゆ)されているほど。腸内に影響を及ぼし、抗菌薬関連腸炎を起こすリスクもある。経口第3世代セフェム系抗菌薬が有効なこともあるが、ほぼ全てのケースで優先すべき別の抗菌薬が存在するので原則使用してはならない」とやわらぎクリニック院長の北和也氏は指摘する。
せき、鼻水、喉の痛みのうち複数が急に出現した場合は風邪、すなわちウイルス性上気道炎であり、厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き」でも「感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する」と記載がある。
【風邪に抗菌薬】
→「抗菌薬はウイルスに効果無し」
一般的に風邪といわれる喉や鼻、発熱などの諸症状の多くは、細菌ではなく、ライノウイルスやコロナウイルスといったウイルスの感染によって引き起こされる。一方で抗菌薬は細菌の細胞壁合成などを阻害する医薬品。ウイルスによって起こる風邪には効果は無い。むしろ、腸内細菌に影響を及ぼし、体にとって必要な菌まで殺してしまう恐れがある。また、抗菌薬を繰り返し服用することで、世界的に問題視されている薬剤耐性菌が発生しやすくなるというリスクもある。
[注1]「Ann Fam Med 2013 Mar; 11(2):165-172.」による
 

わたしの時間。

まだツタヤが全盛の10年前くらいには「あ。これだけのコンテンツがあれば老後は退屈しないな」と思っていた。
それが今や。
アブない。
実にアブない。
老後どころか「今の時間」が喰われようとしている。
コンテンツに。
 
amazonプライムビデオ。
そしてyoutube premium。
もうこれらの誘いから逃れるのはかなり大変になっている。
さらにNETFLIXとかなんとか。
自分の時間がどんどん吸い取られる。
すでにテレビの時間は消滅した。
 
少しでもネットにつながる時間を減らして。
運動するとか。
本を読むとか。
音楽の練習をするとか。
そんなことを考えていたのに、実にアブない。
「退屈しのぎ」になるはずだったコンテンツやSNSは、今や若者のリアルを喰む魔物になっている。
五十を過ぎた自分も「ハマらぬように」と細心の注意を払っている始末。
若い人に聞くと「さらに自分たちにはゲームとtwitterの恐怖がありますよ」と教えてくれた。
 
情報の氾濫は、つまりは人間を麻痺させる方向に動くようだ。
人の知恵は、いよいよ「情報に流されないこと」が肝心になってきた。
恐ろしい"ネットたち"とどう付き合うのかを、今さら考えねばならない。
 

動くか否か。

*[次の世代に]何かする。
ほぼ日より。
「いまから〜をしようかな」と思っているとき、
あなたは○○○に向かっている。
が、ここではまだ歩き出してはいない。

「そろそろ掃除でもするか」とか「これって新しいサービスになるんじゃ?」という時に。

確かにそういう「動機」を無数にやり過ごしているような気がする。
特に若いころから。
そして50才とかを過ぎるとそういうことが「あまりなくなる」。
多分「終わり」が見えているからだ。
「やりたいこととやらないこと」がかなりはっきりしてくる。
時間を過ごすことに相当敏感になっているのだと思う。
 
皮肉なことだ。
当たり前だが、まるで無限にの時間があるかのごとく感じていた十代、二十代にもう少し「何か」をしていたらと思う。
当時はムダに時間を過ごすことが"イケている"みたいな気分もあった。
若者はそういうことをするから若者なのだ。(苦笑)
 
そして10年後の自分から、今の自分に言ってあげる。
「何か」をしておけよ。と
 
「いまから〜をしようかな」と思っているとき、
あなたは○○○に向かっている。
が、ここではまだ歩き出してはいない。
つまりは、「頭の中で位置についている」だけだ。
近くにあるマンガを読みはじめても、テレビを観ても、
そこにある状態は一歩も動かない。
そして、時間は早く流れていく。
「あ、もう一時間経っていたのか!」
 
「いまから○○○をする」と決めていたら、
あなたは動き出している。
「しようかな」ではなく「する」がちがうだけだ。
そうすると、出足から転ぶかもしれないし、
ちっとも進まない実感に悲しくなるかもしれない。
やめてしまいたくなることも、大いにあるだろう。
溺れる者として辺りの藁を探して掴まろうとする。
しかし、最初の位置からは、
前後左右のどっちに向いているのかは別として、
たしかに「動いている」のである。
動いているうちに、はじめる前とは景色がかわってくる。
時間が過ぎていくのが遅くて、つらいかもしれない。
だが、動き出したことで、あなたの経験値は上がっている。
 
「しようかな」は、なにも動かないで終わることもある。
「する」は、とにもかくにも、なにか動く。
「する」のせいで苦しむこともあるし、
そこから横道にそれてしまうこともあるし、
じぶんの力のなさに、落ちこむこともあるだろう。
だから、ぼくらは「しようかな」と言いながら、
テレビの画面を眺めたりポテトチップスを食べているのだ。
 
これ、いわゆるホワイトカラー系の仕事だと、
ちょっとわかりにくいことなのかもしれないけれど、
陸上競技だとかスポーツの選手として考えてみたらわかる。
「練習しようかな」は、まったく動きがないままだし、
「練習する」は、もう動き出しているでしょ?
 
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「やる」から考えざるを得なくなる。考えると、経験する。

たましい年齢。

*[次の世代に]一回り下?
ほぼ日より。
先日、1日に二つの会合があった。
一つは何とか経営者会議、もう一つは新規事業何とか会議。
全員スーツの一つ目にいた時は「ああー自分もまだ真ん中よりちょっと下くらいの年齢だなー」とぼんやり感じていた。
そして二つ目。
若っか。
ともかく若い。
髪は金髪、Tシャツは当たり前。
短パンにパンプスみたいな人もいる。
「あれ。俺この中で最年長じゃないか?」と思う。(多分そう)
やっぱり知らないうちに年を取っていたのだ。
 
精神は年を取りにくく、(時には若返ったりもする。恋愛とか)
肉体とのバランスに驚いたりするけれど。
つくづく「他人との比較」で認識するものなのだと思う。
いずれ死ぬ。
その文脈の中にいることを感じながら過ごさないともったいないことになりそうだ。
 
 
よく
・いま「ほぼ日」で連載中の
 「じぶんが思う、じぶんの年齢」について話している。
 じぶんがじぶんを何歳だと思っているか。
 これは、何年生きたから何歳という算数の問題じゃない。
 ぼく自身のことでいうと、正直、よくわからない。
 ある時期に、高校野球の選手たちが、
 突然、年下になってると気づいたことがあって、
 そこらあたりから、年齢というのは、
 何年いきてきたかという事実と関係ないところに、
 もうひとつあるものなんだなぁと考えるようになった。
 昨夜、テレビの番組で、多重人格の人が出ていた。
 その人は、いつでもなにかのきっかけで
 別の人格に変化するということだった。
 カメラの前で、ほんとうに自然に人が変わる。
 おもしろいのは、10人それぞれの人格に、
 6歳から30歳くらいまでの年齢があることだった。
 自己認識している年齢というのは、
 ある意味、ひとつの個性なんだなと思った。
 じぶんが認識しているじぶんの年齢のことを、
 テソーミの日笠雅水さんは、
 「たましい年齢」と名付けていた。
 その見方は、たしかにあるように思う。
 奥深いところでの「たましい」のことはわからないが、
 俗世間に生きていながらでも、
 「じぶんが何歳くらいのつもりで生きているか」
 については、よく考えたら見当はつくような気もする。
 最近のぼくは、一気に「たましい年齢」が高くなった。
 肉体的に、それを知らされることが増えたせいもある。
 それでも、実年齢よりひと回りほど若いところにいる。
 つまりは、71引く12で59歳ということのようだ。
 そうじゃないぞという科学的な事実は理解しているが、
 59歳として駆け出したり、59歳として夜ふかししたり、
 59歳として老人の悪口を言ったりしている感じだ。
 もう60歳の大台も近いので、あんまり無理はできない。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
とんかつとか、ラーメン、カレー。いつまでも食いたいな。

成功者の話を聞いても成功しない

*[経営]分かっちゃいますが。
自分の本棚を見て嘆息するが「〇〇のコツ」とか「成功者がしている〇〇」とかいう本ばかりが並ぶ。
あさましき。
成功した人の例は一つとして同じものがないから、いろんな教訓を汲み取るとすれば「コツコツねばる」とか「大胆にリスクをとる」「早く始める」というようなエッセンスばかりになる。
そういう「経験の切り取り」みたいなことで、すべての場合に通用することなんてないのはよく分かっているのだけれど。
 
日経産業より。
ハノイでは道を渡るのには安全確認をせず「速度を変えずに勝手に渡ること」だという。車の合間を縫うのではなく、車が人を避けて走るということらしい。そして著者は
戦略的変革で予想される最悪の危機は、錯覚にすぎないものが多い。だから、こちらが周りに振り回されるのではなく、自分の方に合わせてもらえばいいのだ。
という。その言い回しに思わず感心する自分。
周囲を見て焦ったり、そもそも考えるべき方向を考えなかったりしてバタバタしてばかりいては、結局何も始まらない。
割とそんな人いますよね。
 
粛々と自分の信じる道をゆく。
これも何とも難しい。
 
道の渡り方 ハノイで学ぶ
 
2020年1月27日 4:30
 
戦略的な変革を成し遂げられるのは、困難と思われることにもためらうことなく立ち向かえる人々だけだ。私は最近ハノイを訪れたときに、このことを改めて確信した。ハノイを初めて訪れる人にとって、道の横断は至難の業だ。信号はほとんどなく、信号のある交差点でも全員がそれを守るわけではない。車の流れが途絶えることもない。

 
米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。
私も10分近く待っても道を渡れず、仕方なく他に渡れる場所がないか探していた。そのとき年配のベトナム人女性が後方から足早に近づき、左右をほぼ確認せずに道を渡り始めた。
 
そこで私の頭によぎったのは彼女が車にはねられてけがをするか、下手をすると死んでしまうという最悪の状況だった。ところが実際には原付きバイクも車もスピードを落とさず、彼女をよけて進んでいった。彼女は同じ足取りでまっすぐ進み、傷を負うこともなく向こう側に渡ったのだ。
 
大胆な戦略的改革を考えるビジネスリーダーの中には道を渡れないでいた私のように、予想される困難や失敗の可能性ばかり考えてしまう人がいる。そして彼らはスタッフからの賛同や上司からの承認を得ることが必要と感じ、成功するか少なくとも失敗しないという確信が得られるタイミングを待ち続けるのだ。しかしハノイの途切れない車の波のように、そんなタイミングはめったに来ない。
 
私が知る最高経営責任者(CEO)も大胆なイニシアチブを進めたいと考える一方で「実行すれば顧客を全て失い、日本でブラックリストに載せられるだろう」と日本人の部下に言われて不安になっていた。改革プランを実行すれば社員は全員辞めてしまうと人事部長に言われて悩むCEOにも会ったことがある。
 
だが後になって、そんな心配は無用であったことが明らかになった。私がハノイで道を渡ることに恐怖を覚えていたのと同様に。
 
ハノイの道を渡るのは確かに怖いが、ペースを変えずに目的に向かってまっすぐ歩けば、車の方があなたの邪魔をしないよう道を空けてくれる。逆に、車に反応して急にこちらの動きや進む方向を変えたりする方が、かえって危険だ。戦略的変革で予想される最悪の危機は、錯覚にすぎないものが多い。だから、こちらが周りに振り回されるのではなく、自分の方に合わせてもらえばいいのだ。
 
成功の可能性を最大にするためには、とにかく自分の目的を達成する道を妥協することなくしっかりしたペースで歩み続けることが重要である。
 
自分のビジネスで劇的な変革を考えている人には、ハノイのあの女性から学んでほしい。待ち続けるのではなく歩き出すのだ。粘り強さを持って道を渡れば、周りがあなたに合わせてくれるだろう。ちなみに私もその後、問題なくハノイの道を渡ることができた。あなたにもできるはずだ。
 

 

メディアのこと。スマホのこと。(2)

*[ウェブ進化論]止まらないスマホ化。
FTより。
サウジ皇太子とamazonのベゾスとの間でハッキング疑惑があったという記事。
 
怖いことの二つめ、「スマホという結節点」。
世界トップ企業のCEOであれ、一国の国王であれ。
もう「携帯端末」から無縁ではいられないということ。
それほど「携帯」という便利さは上から下までを飲み込んでしまった。
銀行口座のない途上国の人には送金機能を。
世界のVIPには直接対話を。
一国の元首にはtwitterやインスタでの外交圧力を与えてしまった。 
諜報活動もスマホを抑えておけば、実にやり易いだろう。
つまりそれだけ自分たちの日常は「スマホ経由」でしかなくなっている。
これはしかも今後も加速するだろう。
「便利の津波」の勢いはまだこれからだ。
記事では「規制の枠組み作り」を訴えているが果たして「便利」を凌駕できるだろうか。
自分の予想では、今後のスマホは"ある程度の事故"を経験しつつ、さらに機能を集約して、まさに「スマホ(とかIDタグ)なしでは社会参加不能」な世界に突入していくと思う。
この世界は「デジタル疎外」の問題はあっても、それ自体で人が事故に遭ったりすることがないから、参入のハードルはずい分低い。
 
スマホに預けられないものは何か」を真剣に考えなければならないだろう。
 
[FT]サウジのハッキング疑惑はゴシップでは済まない(社説)
 
2020年1月23日 17:54
 

Financial Times

「ばかげている」――ムハンマドサウジアラビア皇太子の「ワッツアップ」のアカウントがアマゾン・ドット・コム創業者であるジェフ・ベゾス氏の携帯電話のハッキングに関わっていたとする報告書に対する同国のコメントだ。だが、信頼の置けるフォレンジック(鑑識)の専門家が「中程度から高程度の自信」をもつという報告の内容は極めて重大だ。事実であれば、少なくとも事実上の国家指導者である皇太子の取り巻きが世界的な実業家に対する違法な監視行為に関わっていたことになる。サウジ政府が自ら述べたように、徹底した調査が求められる。

 
サウジ皇太子(右)のワッツアップアカウントを使ってベゾス氏の個人情報がハッキングされたとの報告をサウジ政府は否定している=ロイター(日経コラージュ)
残念ながら、ベゾス氏の携帯に仕込まれたスパイウエアが自己破壊的なものであったとみられ、真実の究明は永遠に不可能である可能性がある。
 
今のところ、本紙フィナンシャル・タイムズが確認した分析の状況証拠は強力だ。筆頭著者のアンソニー・J・フェランテ氏は元米連邦捜査局(FBI)高官で、ホワイトハウスで米国家安全保障会議NSC)のメンバーも務めた人物だ。報告書によれば、ベゾス氏とムハンマド皇太子は2018年4月4日に携帯電話の番号を交換した。5月1日、ベゾス氏は対話アプリのワッツアップの皇太子のアカウントから予想外の動画ファイルを受け取った。それから数時間のうちに、ベゾス氏の「iPhone(アイフォーン)X(テン)」からの数カ月に及ぶデータ「大量無断流出」が始まった。携帯から送信されるデータ量はピーク時に、以前の水準の数百倍に達した。皇太子のワッツアップアカウントからベゾス氏に送られた2つのメッセージは、当時は未公表だった不倫関係を含め、ベゾス氏の会話と人間関係についての内部情報を示しているように見えた。
 
ベゾス氏の携帯が同じ頃に、今のところ検出されていない出所の異なるマルウエア(悪意のあるプログラム)に感染した可能性はある。皇太子のアカウントが無断で使われた可能性は排除できない。しかし、幹部側近以外の人物が皇太子のアカウントにアクセスできるという事態は現実的ではない。国連の人権専門家2人が22日に指摘したように、もしこれがサウジの仕業だったとすれば、敵対者と戦略的に重要な人物を監視するというサウジ当局の憂慮すべきパターンが浮かび上がる。
 
ワシントン・ポスト紙に寄稿していたサウジ人記者ジャマル・カショギ氏が2018年に殺害された身の毛もよだつような事件以降、サウジ政府とポスト紙オーナーのベゾス氏の関係は非常に敵対的なものだった。ベゾス氏のセキュリティーアドバイザーなどは、同氏に対する入念なソーシャルメディア攻撃と不倫情報のリークはサウジの仕業だと主張していた。カショギ氏の殺害がサウジ政府の指示だったことを示す説得力のある証拠をポスト紙が報じた後のことだった。
 

カショギ氏殺害の5カ月前から携帯監視

興味深いことに、ベゾス氏の携帯の監視はどうやら、カショギ氏殺害の5カ月前に始まっていたようだ。ハッキングに関する報告書によれば、カショギ氏が2017年秋にポスト紙の仕事を始めて以降、サウジ側は同氏のコラムに不満を抱くようになった。今にして思えば、サウジは外国の投資家を熱心に誘致する一方で、情報や影響力の確保を期待して一人のビジネスマンの電話をハッキングしていた可能性があるようにみえる。
 
一連の疑惑を受け、サウジの高官に会ったないし、会う計画がある銀行関係者や企業経営者は慎重に考え直すようになり、緒についたばかりの経済改革を深化させようとするサウジ政府の取り組みを難しくするだろう。同国のイメージは甚だしく傷ついており、その再構築は困難で長い時間を要する。サウジとしては、カショギ氏殺害を指揮した首謀者に責任を取らせるという自らの約束を果たすことが先決だ。事件に関与したサウジ人8人に先月下された有罪判決は、典型的なインチキ裁判の特徴を備えていた。
 
ベゾス氏の携帯に仕込まれたスパイウエアが具体的に何だったのかは特定されていない。米フェイスブックは、ワッツアップに見つかった脆弱性は解消したとしている。だが、今回の件は、サイバースパイツールの取引の危険性を改めて浮き彫りにした。その規制と輸出管理について多国間の枠組みを作ることが喫緊の課題だ。規則の採用・執行を拒む国には懲罰的な措置を盛り込む必要がある。
 
(2020年1月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/