藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

法律の狭間で。

最高裁が出した判例が、大きくビジネス社会を揺さぶる。
そんな歴史はずい分昔から続いて来ていたのだと思うが、なかなかトピックとして定点的には感じにくい。
グレーゾーン金利の問題は最近の大きな出来事である。

今日からは別ルール。

いわゆる「総量規制」。
自分はこれまで何度かこの言葉を聞いてきたが、その度に「ど不景気」の波が襲ってきた記憶しかなく、少し暗い気分である。
これまで「年収の二倍」程度だった消費者金融のクレジットが「年収の半分」へと1/4減に。
過剰消費をするな、ということである。
お金は便利なものだが、だからといって収入以上に物を買ったり遊んだり、浪費したりというのはそもそも感心しない、という点には賛成である。


「借金で旅行に行く」という感覚はやはりルーズというものだろう。
計画的に住宅を買う、というような性質の借金以外はどこかに「危うさ」を孕んでいると思う。
ただ消費が鈍れば、経済もニブる。
雇用も相対的には減る。
致し方ない事実である。
一旦過剰にシフトし過ぎたサービス業への傾倒は、ゆっくりと今年から「逆プレ」するのではないだろうか。


政権交代含め、2010年は「節目の年」ということになるのかもしれない。

異常事態、司法ファッショ…判事が判決で批判
利息制限法の上限(年15〜20%)と、出資法の上限(年29・2%)の間の「グレーゾーン金利」で支払った利息を「過払い金」として返還するよう貸金業者に命じる判決が2005年の最高裁判決以降全国で急増したことについて、神戸地裁社(やしろ)支部の山本善平裁判官が、担当した返還訴訟判決の中で「異常事態」「司法ファッショ」などと批判していたことがわかった。


 原告の兵庫県内の女性は、大手消費者金融会社(東京)との間で、借り入れと返済を繰り返していたが、金利がグレーゾーンと知り、過払い金235万円の返還と利息5%の支払いを求めて昨年9月に提訴した。

 貸金業界では、貸金業法のみなし弁済規定を根拠に、グレーゾーン金利で営業して利益を得ていた業者が少なくなかったが、最高裁は2005年12月〜06年1月、この規定の適用条件を厳格にとらえる判決を相次いで言い渡した。
07年7月には、規定が適用されないのを知りながら高い金利を取った業者に、利息をつけて過払い金を返すようにも命じ、全国の地裁で同様の判決が相次いだ。


山本裁判官は3月にあった判決で、過払い金の一部118万円の返還を認めたものの、利息の請求については「被告のような大手が要件を順守してみなし弁済の適用を目指したのは当然」として棄却した。

その上で最近の傾向に言及し、「下級審が(最高裁判決に)いささか過剰に反応している」と指摘。
「法律がみなし弁済の可能性を容認しているのに、司法が極端に要件を厳格に設定して、(みなし弁済規定を)事実上葬り去るのは異常事態で、司法ファッショと批判されかねない」と述べた。


女性は判決を不服として大阪高裁に控訴した。

貸金業法は18日に改正施行され、グレーゾーン自体が違法となる。

◆みなし弁済規定=消費者金融が、返済期間や回数を明記した契約書を渡すなど十分に説明を行っている場合に、借り手側がグレーゾーン金利での返済を受け入れたとみなす例外規定。

(2010年6月17日17時27分 読売新聞)