藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

老後も人生。

日経より。
ここ一年、本当に「老後の資金」についての記事が多い。
マスコミがこぞって取り上げる理由は、そりゃ関心が高いからだろう。
というかそういう話題を取り上げられるとまあ成年以上の人は誰だって無関心ではないだろうし。
さらに四十代を超えればそれは関心事というより我がこととして、「俺の場合私の場合は・・・」と考えずにはいられない。
五十になればもう「へぇー」では済まない切迫感もある。
老後は誰にだって訪れる。
それにしても「生存確率」から言うと男83歳、女89歳でまだ「半数は生きている」という。
それゆえ95歳までの老後の計画を、といわれてはもう「すべては老後のためにある」という感じにすらなって来るというものだ。

「65歳時に4000万円あれば、95歳で約300万円が残る計算」て。
しかも老後も3%程度の運用が前提だという。

さらに夫婦なら二人分。

例えば「30歳から投資信託を毎月4万円積み立て、年率3%で運用できれば65歳時点で3000万円弱になる。」というのがどうもこれからの標準なのかもしれないが、つまりは「長生きしているのに働かない時間が長い」ということなのではないだろうか。
これこそ「ワークライフバランス」なのではないか。

体も動くし、たぶん頭はもっと働けるに違いない。
多分「六十代からの頭脳労働とか社会参加」がこれからの産業になるのに違いない。

"人生の前半は貯金して、あとは働かずに長生きしましょう"というのはどうも「初めからこうありたい人生」ではない。
これからの自分たちは「定年以降の自分の活かし方」についてこそ真剣に考えねばならない。
何か今からシコシコと小銭だけを蓄えているのは、あまりに侘しいと思うのであった。

95歳でも困らぬ資産づくり あなたが選ぶ道は

2014/10/15付
日本経済新聞 電子版

 老後の資金はいつまで、いくら用意すればいいのか。頭を悩ませる人は多いだろう。日本人男性の4人に1人が約90歳、女性は約95歳まで生きる。長い老後に備えるには資産運用の継続や公的年金の受給開始年齢変更などが選択肢になりそうだ。長寿の時代の老後設計を考えた。


 2013年の日本人の平均寿命は男性が80歳、女性は86歳だった。しかし平均寿命は0歳児がその後何年生きるかを示す値。厚生労働省の資料をもとに日本人が各年齢まで生きる可能性を示す「生存確率」を試算すると、男性は約83歳、女性は約89歳でおよそ半数が生きている(グラフA)。



 90歳代までは4人に1人が生きる。「夫婦の老後資金を考えるなら、女性の95歳という年齢が目安」とフィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長は話す。マネーセミナーなどでは「老後資金は退職時に少なくとも3000万円が必要」と指摘されることが多いが十分だろうか。



■65歳で4000万円目標

 総務省の家計調査によると、高齢夫婦世帯が年金では賄えずに毎月取り崩す金額は6万円弱。「ただし今後は年金減額が見込まれる一方、年金から引き落とされる介護保険料も上昇する可能性が大きい」(社会保険労務士の井戸美枝氏)。余裕をみて、毎月10万円を取り崩す前提で試算したのがグラフBだ。





 65歳時点で3000万円あっても、毎月10万円取り崩せば90歳で枯渇。まだ妻の約半数が生きているので、備えとしては心もとない。65歳時に4000万円あれば、95歳で約300万円が残る計算だ。

 老後資金は預貯金だけでなく、若い時期から運用を始めておく方が準備しやすい。例えば30歳から投資信託を毎月4万円積み立て、年率3%で運用できれば65歳時点で3000万円弱になる。退職金の平均は大学卒で2000万円強なので、仮に一部を住宅ローンの完済に回しても4000万円を確保できる。

 運用利回り3%を維持するためには株式も一部含めた国際分散投資がカギを握る。1990年から日本株、日本債券、外国株、外国債券に4分の1ずつ投資した場合の13年末までの年率利回りを試算すると円ベースで4.3%。90年以降の日本経済はバブルが崩壊し、リーマン・ショックや長期の円高を経験したが「長期で国際分散投資すれば3%は無理な数字ではない」(格付投資情報センターの川村孝之フェロー)。

 最近は1本で国内外の株や債券に幅広く投資できる投資信託が増えており、初心者でも国際分散投資のハードルは高くない。低コストのインデックス(指数連動)型が基本的な選択肢だ。

 十分に準備できず65歳での貯蓄が3000万円ならどうするか。検討材料になるのが運用の継続や生活費の節約だ。例えば75歳まで現役当時よりリスクをやや抑え、インフレ率を2%程度上回る運用をする。例えば「国内外の株式3割、債券7割程度の資産配分が目安」(川村氏)。一方で不必要な保険の見直しなどで取り崩し額を9万円に抑えれば76歳以降は運用をやめても資金は97歳までもつ。

 仮に65歳時点で2000万円しかなければどうか。月に10万円取り崩せば、81歳で底をつく。運用利回りの目標をさらに高めるとその分リスクもあがるため、家計の見直しが基本になる。

 75歳まで2%運用を続けても95歳まで資金を残すには、例えば毎月の取り崩し額を6万円に大幅に減らすことが必要になる。今後の年金減額などを考えるとかなり苦しい。野尻氏は「生活費が安い地方都市に移り住むことも視野に入れていい」と指摘する。

 老後資金に備えるには公的年金の受給年齢を繰り下げることも見逃せない。受給年齢の変更は65歳を基準に1カ月遅くするごとに一生にわたり0.7%の増額、1カ月早くすれば0.5%の減額になるためだ。例えば70歳に繰り下げれば5年分で一生42%の増額だ。

■総受給額、後で逆転

 繰り下げれば「何歳から受給を始めても、総受給額は開始後12年で65歳から受給した場合を逆転する」(社会保険労務士の小野猛氏)。70歳から受給すると81歳だ(グラフC)。男性は5割強、女性は8割弱が生きている。長く生きる女性にとって繰り下げのメリットは大きい。



 一方、繰り上げると受給開始後17年で65歳受給に逆転される。例えば60歳まで繰り上げれば、総受給額は76歳で65歳受給を下回る。この時点では男性の7割あまり、女性の約85%が生きている。繰り上げは慎重に考えた方がいいだろう。(編集委員 田村正之)


■老後も賃貸暮らしなら 住居費準備は早めに
 「身軽に住居を移転できるメリットから賃貸派を続けてきた。しかし老後も賃貸を続けるとかなりの資金が必要になりそう」と心配するのは都内の出版社に勤務する八潮裕太さん(仮名、51)。グラフBの試算は家計調査に基づくが、調査対象の大半は持ち家。老後も賃貸に住み続け、家賃が例えば月に8万円かかるなら、65歳以降の30年間で住居費は2900万円近くになる。
 社会保険労務士の井戸氏は「賃貸派は早めに老後の住居費の準備に着手しておかないと厳しい」と指摘する。八潮さんは「ローン負担はなかったが、毎年海外旅行にいくなどしたので今の預貯金は十分ではない。退職時までにできるだけ積み増したい」と話している。

[日本経済新聞朝刊2014年10月15日付]