藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

気分ですらなく。

内閣府発表の「日本の将来像に関する世論調査」

結果は「「暗いと思う」と答えた人が60%にのぼり、「明るいと思う」は33・2%にとどまった。」という。

誤謬という言葉が最初に思いつく。
一体どんな調査だったのか。

調査の目的
国土の将来像についての国民の意識を調査し,今後の施策の参考とする。

でアンケート項目は

Q1  〔回答票1〕 現在,あなたの住んでいる市(区・町・村)の人口は多いと思いますか,それとも少ないと思いますか。この中ではどうでしょうか。
( 4.5) (ア) 非常に多い
(14.9) (イ) やや多い
(45.3) (ウ) ちょうどよい
(25.1) (エ) やや少ない
( 5.1) (オ) 非常に少ない
( 5.2) わからない

といった感じで進んでいく。
あなたの住んでいる町の人口が増えた方がいいですか?とか
今後時短が進めばあなたの街の観光が盛んになりますがどう思いますか?とか
大都市圏への人口集中はどうですか?とか
話は変わりますが、あなたは現在の生活に満足していますか?とか
生活の利便性と環境保全はどちらが優先されるべきですか?とか
今後の国民の価値観の変化はどうなると思いますか?
今後二十年くらいの国土づくりで何に力を入れるべきだと思いますか?

(31.1) (ア) 災害に対する安全性の確保
(36.2) (イ) 食料や資源の安定供給の確保
(12.4) (ウ) 交通施設や通信施設の総合的な整備
(12.7) (エ) 新しい産業を発展させるための基盤の整備
(26.1) (オ) 身近な生活環境施設の整備
( 5.6) (カ) 文化施設や学術施設の充実
( 8.2) (キ) 歴史や伝統を生かした都市づくり
(38.5) (ク) 自然環境の保護
( 7.4) (ケ) 国際交流を活発にするための施設の整備
( 5.3) (コ) 美しい地域景観の形成
( 0.2) その他
( 3.6) わからない

こんな感じでアンケートは進んでいた。
調査自体は有能な識者が頭をひねって考えたものだと思うが、総体として「何が知りたいのか?」を知らされずに回答した人はさぞや困ったのではないだろうかと推察する。
そもそも「我が国の将来は明るいと思いますか?」と聞かれて「明るいに違いない」という人がどれだけいるのだろう。
今回が初調査とのことだが、意図していることが何かが不明である。

こうした行政の試みが「今後の施策に生かす」材料になるとも思えなかった。
そして何より、今の日本の政治のやり方がこうした「一問一答式」で執り行われているのだ、ということも透けて見える。
グランドデザインというか、「まず地方分権についてお尋ねします」とか「日本の高齢者問題への対処についていくつか提案があります」ということなら答えようもあるが「海外企業が日本に進出することについてどう思いますか?」と聞かれて一体どう答えればいいのか。一つ一つの項目にある意図が分からず、これをもって「将来を悲観する若者が多い」と言われても何かの足しになるとは思えなかった。
大した予算もかかっているだろうこうした試みをするならば、まず国会で「国民の皆さんに聞きたいことがあります」という体で、まずリーダーがその意図と目的を示し、大々的にしかも定期的に在野の意見を拾うようなシステムが必要だと思う。
思いつきで散発的に調査を行い、「国民は元気がない」とばかり報道されては士気も上がらないし、そのうち「またかよ」とそっぽを向かれるだけだろう。
変に「未来は明るいで」という結論を導かれても困るが、もう少し政治の役に立つ対話を試みてはどうだろうか。

内閣府が18日に発表した「人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査」によると、50年後の日本について「暗いと思う」と答えた人が60%にのぼり、「明るいと思う」は33・2%にとどまった。子育て世代に「暗いと思う」の回答が多く、少子高齢化が将来不安につながっているといえそうだ。

 「暗いと思う」のうち、「暗い」との回答は18・5%、「どちらかといえば暗い」は41・6%。「暗いと思う」を年齢別に見ると、最も多いのが30代で65・3%、最低は70代で50・9%だった。

 日本が目指すべき社会像については、「緩やかに成長・発展を持続する」が42・8%と最も多く、「縮小しながら1人当たりの豊かさが保たれる」は25・4%が回答した。

 少子化対策で期待する政策は「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」が56・0%で最も多く、「子育て、教育の経済的負担の軽減」が46・6%と続いた。地域の活性化のために期待する政策は、「福祉、医療の充実」が45・5%、「雇用を生み出す新産業の創出」は42・6%が答えた。

 調査は、全国の成人男女3千人を対象に8月21〜31日に面接方式で実施。回収率は60・9%だった。