損保ジャパンが地震保険料を全国を948に分けて料率を再設定するという。
さて、ここ50年の震災の起き方を見て、あるいは関東大震災前の過去数百年の記録を振り返る。
保険でカバーすべきものと「そうでないもの」を自分たちはよく峻別せねばならない。
ことは保険には限らない。
ひたすら畑を耕し、自然と共に自給自足する時代ではなくなってしまった。
便利だが「経済」というものがある。
国際的に分業が進むにつれて「自分が守らねばならないもの、とそれ以外」が分かりにくくなった。
大都市圏に住む多くの人は「大地震が来ても、数日あればまた復旧する」と思っている。
もし食料と水が数日以上に途切れれば、多くの都市は「生活できない場所」になるけれど「そこまで」を想定する人はとても少ない。
都会は便利だし、経済的にも恵まれているし、楽しいし、という中で「自分がリスクとすること」を日頃から考えておけば、「いたずらな心配」に絡めとられることない。
「保険と効果」については保険屋さん頼みにせず、自分で「自分の将来のリスク」について考えてみるのがいいのではないだろうか。
「保険でカバーすること」は案外そんなに広くないのではないかと思う。
企業向け地震保険料 地域細かく 損保ジャパン 都道府県別を948区分
損害保険ジャパン日本興亜は来年2月にも企業向け地震保険を大きく見直す。現在は都道府県別に設定している保険料率の区分を地震のリスクに応じて948地域に細分化する。噴火の被害も補償対象とするとともに、多くの地域で保険金の限度額を引き上げる。地域ごとにきめ細かく損害を補償する狙いで、津波被害などを受けやすい沿岸部の保険料率は上がり、内陸部は下がる公算が大きい。来年2月以降に契約の更新を迎えたり、新たに契約したりする企業から適用する。
見直しの最大のポイントは地震リスクを反映した保険料率を地域ごとに細かく設定することだ。今は都道府県ごとに47地域に区分しているが、地震による倒壊や火災、津波といったリスクを正確に織り込めていなかった。郵便番号に対応する948地域に分け、それぞれのリスクを判定した。
防災科学技術研究所などと共同で地震リスクを評価する独自のモデルを開発。津波であれば発生場所から津波がどのくらいの高さや速さで建物に被害をもたらすかを試算できるようになった。
建物の構造による損害の違いも保険料率に加味する。補修費用がかさむ鉄筋コンクリート造の建物を平均20%程度引き上げる一方、鉄骨造や木造の建物は平均15%程度引き下げる。立地地域と構造の両方を反映すると、4割の企業では保険料は上昇し、6割が低下する見込みだという。
例えば、南海トラフ地震で見込まれる被害をより精緻に分析すると、太平洋側の内陸部は保険料が下がり、沿岸部は上昇しやすい傾向があったという。同社の契約先は首都圏が多く、首都圏で大地震が起きると保険金の支払いが大きく膨らむ。こうしたリスクを保険料率に反映した。
見直しのもう一つのポイントは補償内容の拡充だ。噴火に関連した火災や爆発事故で被る損害も補償の対象にする。これまで1970年以前に造られた工場や事業所は地震保険に加入できなかったが、新たに補償対象とする。建物や設備だけでなく生産中の商品や製品も補償する。
保険金の引受限度額も多くの地域で拡大する。関東・中部地方の一部は据え置くが、大阪・兵庫・和歌山は今の1億円から10億円、九州(沖縄を除く)も5億円から20億円、北海道や青森、石川、沖縄など17道県は10億円から20億円へ大幅に引き上げる。
家庭向けの地震保険は、損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構が算出する基準価格に従って保険料や補償を決める仕組み。一方、企業向けは各社共通の基準価格がない。政府が南海トラフ地震が起きた場合の被害想定を引き上げたことを受け、東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険は2014年に保険料を引き上げた。両社は当面、保険料率を動かす予定はないという。