藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

教育の値段。

政府が大学の授業料を出世払いにするという。
若者には教育が重要だ、ということに異論はないけれど、何よりもその「中身」には一言言いたい、と思う。

知識を吸収する学問も大事だが、何よりも人生を構成する基礎になる「家族」とか「職業」とか「政治」とか「国家」とかの根本について考えることが少なすぎる。と思う。

社会に出て「そんなことも知らなかった」ということが、未だに多い。
年をとって人生を進んでいくことが「場面に応じて実にいろんな景色になる」というようなことは、よほど小説などを読み込んでいないと「ただただ驚いてばかり」のうちに終わってしまいそうだ。

教育の無償化はいいが、今一度「教えるべき内容」について広く再定義すべき時期なのではないだろうか。
自分はそんなことを感じてブログなどを書いていますが。

大学授業料、出世払いで 「教育国債」で政府が新構想
政府・与党で大学などの教育費の負担軽減策に充てる「教育国債」の構想が再燃している。大学卒業後、一定の収入を得たら授業料を「出世払い」で返済する制度と組み合わせ、政府は年内に具体案のとりまとめを目指す。安倍晋三首相が掲げる「人づくり革命」の目玉に位置づける。財政が厳しい中で歳出や債務を増やすため、ばらまき批判を呼ぶ可能性がある。

 政府は検討の舞台として、首相が議長を務める「人生100年時代構想会議」を9月に発足させる。今月、内閣官房に事務局機能を担う30人程度の推進室を設置した。首相官邸主導で実現を目指す構えだ。

 首相はこれまで「教育無償化」の実現を掲げてきた。来年度には、返済の必要がない給付型奨学金を創設する予定だ。ただ、同制度で受けとる奨学金は月3万円程度。首相は「全ての人に開かれた教育機会の確保」と唱えており、さらに対象や規模を広げたい意向だ。

 だが現在の予算の枠内では難しい。新たに巨額の財源が必要になるからだ。新設する構想会議は、教育無償化の財源を捻出する役割を担う。

 捻出には、増税や歳出削減などの手段がある。もし日本の財政が健全で経済成長も確実なら、単純に赤字国債を発行する選択肢があるが、いまはそんな状況ではない。

 公債残高は2017年度末で900兆円に迫る勢いだ。高成長への期待も乏しく、不人気政策の増税も簡単ではない。従来はなかった財源を示さなければならない。

 構想会議は2つの新たな財源案を議論する方針だ。一つは幼児教育向けの「こども保険」。もう一つが大学教育向けの「出世払いでの教育国債」だ。いずれも「財政に配慮をしている」と主張するための制度設計だ。

 「こども保険」は自民党小泉進次郎氏らが提言したもの。企業とその従業員が折半で払う厚生年金保険料を引き上げて財源を捻出する。民間に負担を求め、国の財政は傷まない。

 「出世払い」も赤字国債に比べれば国の負担が少ない。政府はオーストラリアの「HECS(高等教育拠出金制度)」を参考に設計する方針だ。同制度では成績優秀者の授業料を優先的に免除する。学生は納税者番号を登録し、卒業後に一部を国に返す。所得が一定水準を超えた年に返済する決まりだ。源泉徴収で給与から引かれる。

 豪州の制度は原資に国債を使っている。国が一時的に肩代わりするが、出世払いで財政への負担を抑える。進学率の向上や大学収入の増加など副次的な経済効果もあると評価されている。日本政府はそこに目をつけた。

 実は今春、日本では国債を使った教育無償化は頓挫していた。自民党文教族は、大学の授業料を単純に国債で肩代わりする制度を「教育国債」と提案したが「将来世代にツケを回す」と批判があり立ち消えになった。

 再燃させたのは首相自身だ。首相は7月23日の講演で教育国債について「いま借金した人がツケを払うことにはならないという議論もある」と述べ、再検討に含みを持たせた。「将来、活躍して収入を得て、税収が上がり、新たな富をつくる」とプラス面も訴えた。

 仕切り直しの切り札にするのが出世払い制度との組み合わせだ。国が全額補填をするわけではない。「一時的な肩代わりだ」と強調すれば反発も和らぐとみている。

 とはいえ財政健全化には逆行する。日本の大学の授業料は年間3兆1000億円。このうちどの程度を無償化の対象にするかは設計次第だが、たとえ出世払いで一部の資金が戻ってくるとしても、兆円単位の国債発行になる可能性もある。

 そもそも日本では短大を含めた大学進学率は約8割と高い。これ以上、巨費を投じて大学教育まで無償化を進める必要があるのか――。「投資に見合う効果は期待できない」との指摘は多い。

 首相はなぜこだわるのか。「背景には憲法改正がある」(自民党幹部)との声がある。首相の悲願は改憲だ。改憲を発議するには、衆参両院でそれぞれ3分の2の議席が必要で日本維新の会の賛同も求められる。その維新は改憲のテーマに教育無償化を求めている。「改憲で維新の協力を得るため首相がこだわっている」との見方は多い。

 教育は国民の関心が高い。財政の健全化は国際公約でもある。無償化は本当に必要なのか、改憲の「手段」ではないのか。今後の議論ではこうした疑問への回答が迫られる。(重田俊介)