藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

仮想投資。

もう自分の金銭感覚もだいぶ古い方なのだと思う。
けれど投資の対象が「見えないもの」には手が出ない。

「投資を委託」して、その先でプロの運用者が証券化したり、いろんな国の債券に分散したり。
新興国や元などの通貨に分散してみたり。

グローバルソブリン」と聞いてもいま一つピンとこないのだ。
まだ株とか債券ならいい。

為替とかFXとか。
先物とか。
果たして素人が手を出す運用先だろうか。

リスクをヘッジする必要のある業種の人は、実務上の必要があるのだろう。
一般の人は手を出すべきではないと思う。

一方「投資の小口化」というのは互いに便利だ。
自分が「これなら」と思う対象に小額から投資できる。

応援しようかな、というベンチャー企業は世の中にたくさんあるだろう。
あるいは奨学金や里親よろしく「人そのもの」に投資するのも大事なことではないだろうか。
別にリターンがそれほどなくても、そればっかりが目的ではないと思う。
投資は「相手に対する思い」が一番重要なのではないだろうか。

ネットで小口投資 米国倉庫からエストニアの住居まで
 本連載では第14〜16回で、戸建てや集合住宅などの海外不動産投資について紹介してきた。ただ「専門家でない自分が個別の海外案件を手掛けるのは、リスクが大きい」と足踏みする個人もいるだろう。そんな時に使えるのがクラウドファンディング(CF)。専門の不動産業者らの手を借りながら、海外不動産投資に関われる。今回は最近じわりと広がるこのサービスの動きを紹介しよう。

■利回りは超低金利下では魅力的な水準

 CFとはインターネット経由で投資家から小口の資金を集め、ある程度の額にまとめて投資や融資を行うもの。個人投資家は数万円程度から始められる例が多い。業者に手数料相当分を払う必要はあるが、受け取る利回りは超低金利の中では魅力的な水準だ。
 CFにはいくつかの種類があるが、不動産投資でよく出てくるのは「貸し付け型」といわれる「ソーシャルレンディング」。このタイプは主に個人が出資者となり、仲介業者を介して事業者にお金を貸し出す。海外の高金利の国では、信用度の低い事業者が資金を調達するのに金利が20〜30%以上かかることもあるという。なので日本のソーシャルレンディング業者の10〜15%の金利でも、現地では低金利になるので借り手が見つかる。従って業者が手数料を取っても、日本の投資家にはおおむね5〜10%の利回りが提示できる仕組みだ。利回りは国や物件によっても異なるが、国内最大手のmaneoマーケット(東京・千代田)のサイトを見ると、国内でも4.7%〜7%程度の案件が多く見つかる。
 ただ貸金業法上の規制から、出資者には貸出先の概略は示されるが、具体的な名称が分からない。これが一つの難点で、どんな物件で運用しているのか完全に調べあげてから投資するということは不可能だ。さらに通常、高利回りである分、社歴が若いなど銀行から借り入れできない融資先であることが多く、貸し倒れや返済遅れのリスクは覚悟しなければならない。

ソーシャルレンディング自体は国内の集合住宅などの不動産案件が多く、現段階で海外不動産案件を手がける日本の業者はわずかだ。その中の1社で、maneoマーケットと連携するガイアファンディング(東京・港)は、米カリフォルニア州テキサス州などでの不動産融資案件を小分けにして手掛ける。運用期間は1年前後、募集金額は1件あたり3000万円前後(投資家は3万〜4万円程度から投資できる)、投資家へのリターンは年利10%程度が相場だ。

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■交通の要衝テキサス州は物流倉庫も多数

 米国でもダラス、ヒューストンなどの主要都市を擁するテキサス州の不動産開発は注目を集めている。ガイアのケルビン・チウ最高経営責任者(CEO)は、「住居の人気エリアは常に変動している。どの地域で、どの属性の人の入居需要が旺盛か、判定するのは地元の専門家でないと難しいのではないか」と話す。最近では高齢化を背景に「シニアハウジング」と呼ばれる高齢者向け住居の人気も上がりつつある。現地の情勢に精通した業者と連携していないと、信頼できる開発案件を見つけるのは困難だという。
 米テキサス州は同国南部の交通の要衝。このため、物流倉庫の開発も注目ポイントだという。例えば、米小売り大手のウォルマートアマゾン・ドット・コムなどが大型物流施設を続々と開発中。ガイアのソーシャルレンディングは、こうした大型案件を全10回など小分けにして提供している。出資者には融資先の名称が明かされない代わりに、例えば「2.9ヘクタールの土地にある1万7650平方メートルの倉庫。現在の所有者は6000万円ほどを投資し物件をアップグレード(拡張)。周辺はアマゾン・デリバリーステーションや物流関連施設などが多くあり、国際空港などにつながる高速道路3本に囲まれている。交通の便が良く、倉庫には最適な立地」といった情報提供がなされる。

ガイアは3月27日時点で計約4000人、約60億円の金額を集めた。「長い経験のある開発業者と提携し、現地情報に根ざした案件情報を日本の個人投資家に提供したい」とケルビン・チウ氏は話す。

Skype生んだエストニアへの投資も

 三菱地所などが出資するクラウドリアルティ(東京・千代田)は、CFの中でも「投資型」といわれるタイプで、証券化された不動産への投資仲介を手掛ける。貸し付け型と異なり、出資者も起案者の名称や対象物件を把握できる。
 海外では主に現地子会社を通じ、エストニアの不動産担保ローン案件を手掛ける。同国は旧ソ連から分離独立したバルト3国に属し、近年の実質経済成長率は年率2〜3%前後と日本(1%前後)より高い水準で推移している。近年はIT(情報技術)関連の新興企業が勃興し、首都タリンのほか、日本でいう京都のような学園都市タルトゥがある。今や世界中で活用されている無料通信サービス「Skypeスカイプ)」も、同国で誕生した。
 クラウドリアルティはタルトゥの開発案件の不動産担保ローン証券化も手掛けており、「大学周辺の住宅街は堅調な入居需要が存在している」(鬼頭武嗣代表取締役)という。同社はタリンの不動産関連業者や弁護士らと連携し、現地ならではのマーケット情報を集約しているという。裏付け資産となる不動産には基本的に第1順位の抵当権がついているとし、「最大でも不動産評価額の60〜70%のローン債権にしか投資しない」(鬼頭氏)方針だ。
 現段階で募集したのは2件。募集総額は2500万円程度で、運用期間は約1年。手数料1%分を差し引いた想定利回りは税引き前で年率8%程度だ。海外不動産投資の案件はまだスタートしたばかりといえるが、「今後は他国も含めて徐々に案件を積み上げたい」(鬼頭氏)と話す。
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 海外の不動産投資案件を扱うCFは、現地でのオペレーションを専門業者に委託して資金運用できるのが利点。利回りは高めだが、上述のように返済遅延や回収不能に陥るリスクは残る。さらに為替リスクを投資家が負う場合が多いのでその点にも注意が必要だ。
 とはいえ、海外不動産投資を個人の人脈で全て仕切るのは難しい。その点、CFの力で、現地の情報に精通した人脈を間接的に使うのは一つのやり方といえる。ただしインターネットの世界では、業者は玉石混交。「入金したのに業者が突然、いなくなった」といったトラブルは後を絶たない。預金や株式のような投資家保護の仕組みもない。相手が信頼できる業者かどうかの確認は、CFの世界でも投資家として忘れずにしておきたい。
(マネー報道部 南毅)

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