藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

国単位で本当の冷戦が起こるのは30年ぶりだ。

一時休戦となった米中貿易戦争だが、より根深い米中の「新冷戦」はなお世界中を巻き込もうとしている。

リアルでも地対空ミサイルとか戦闘機とかはまだ蔓延っているけれど。
それよりもずっと「ネットの戦い」は規模が大きい。

国を挙げて「自国製品でスパイ行為をする」というのが事実なら「国同士の諜報戦争」も止むなしだろう。

でも今の時代、他国の製品が「どれだけ、どこに使われているか」というのは把握しにくい。
中国製であれ、EUであれ、結局「ナショナルティ」が問題になる時代に再び突入するのだろうか。
中国という国が、一方的に「軍事情報窃取」を今後も続けるのか。

グローバル化は貿易だけの言葉だったが、いよいよ部品単位、製品単位で考える時代に入っている。

「製造メーカと国」という関係は今は国によってまちまちだが、新しい枠組みが必要になるだろう。

ファーウェイ製品、使っているだけでも取引停止 米政府、強める圧力

カナダ司法省は5日、米当局の要請を受けて中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)幹部を逮捕したと発表した。背景にあるのは米国政府・議会が急ぐ中国の通信・監視カメラなどハイテク企業を排除する動きだ。中国が通信機器を経由して米国の軍事技術情報を盗み取っていると見るためだが、対米関係を優先すれば、製造・部品調達の見直しにもつながるだけに企業には困惑も広がる。
■ファーウェイなど5社を標的
米上下両院は2018年8月、中国の通信大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、海能達通信(ハイテラ)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」を超党派の賛成で可決。8月13日にトランプ大統領が署名し成立した。
同法は、19年8月13日以降、米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品(サーバー、パソコン、スマートフォンなど)や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止した。5社以外でも「中国政府が所有・関係している」と米国防総省連邦捜査局(FBI)などがみなす企業(今後発表予定)の通信機器の調達も禁止する。
米国では議会が12年ころから「華為技術とZTEの通信機器が中国のスパイ活動に利用され、米国が開発した軍事技術が流出している」として米企業に2社の製品を使わないよう呼びかけを始めた。17年には国防総省による2社の製品調達を禁止する法律が成立。19年度の米国防権限法は、これを国防総省以外にも拡大する内容だ。
■より厳しい第2段階
さらに第2段階として、20年8月13日以降、5社の製品を社内で利用している世界中の企業を対象に、いかなる取引も米政府機関とはできなくする。米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業であっても、社内で華為などの通信機器をっているだけで米政府機関との取引から締め出される厳しい内容だ。
当然のことながら、企業にとってより影響が大きいのが第2段階目の措置だ。まだ実際の措置が始まるまでには1年以上の猶予期間があるが、既に多くの中国製通信機器が米政府機関や取引関係にある世界の企業で利用されている。企業が取引を続けたい場合には、問題視されている機器の利用を一切やめ、その旨を米政府に報告・誓約しなければならなくなる。
■事実上、中国生産が困難に
米政府機関と取引関係のある企業の中には、中国国内に工場を持ち製品を作っているところもあるが、その多くは、中国製の通信機器を使わざるをえない状況にあるケースが多いという。これらの企業にとっては、19年度米国防権限法が打ち出した措置は「米政府と取引を続けるか、中国での生産活動を続けるか」という事実上の踏み絵を突き付けている。
米政府・議会がここまで厳しい措置に乗り出したのは中国による覇権主義への危機感だ。中国製通信機器を経由した中国による軍事情報窃取が一向にやまず、現状を放置した場合、無人機や宇宙兵器、人工知能(AI)兵器など将来戦の戦局を決定づける兵器分野での優位を中国に奪われかねない。
法律は影響を受けることになる企業側は19年度米国防権限法が成立した当初は真意を測りかねていたが、米国の法律事務所などへの照会を経て「米政府・議会は本気だ」との認識が関係者の間で徐々に浸透しつつある。ある関係者によると、日本の大手企業の一部では、華為技術やZTEの製品が社内にどれくらいあるかや、サプライ・チェーンでの中国離れの余地がどれくらいあるかなどの調査に内々に乗り出したところも出始めたという。
一時休戦となった米中貿易戦争だが、より根深い米中の「新冷戦」はなお世界中を巻き込もうとしている。
編集委員 高坂哲郎)