藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

海から生まれた生き物

daily yomiuri、写真家の越智隆治さんの特集より。

自分はあまりアウトドアに活発な性質ではないが、それにしてもこうした「天国の海」の様子を見るとふと切なくなる。
もう十年以上も昔に体験した沖縄の離島の海底や、さらに十年以上前のタイの海海を思い出す。
人にはエラもないし、泳ぐ姿は海洋生物に比べれば実に拙い。
それでも、数億年昔は脊椎動物の先兵として、ずっと海で生活していたのかもしれないな、と思わせるほどの第六感を抱かせるほど、美しい海というのは不思議な力を持っている。

日本の遥か裏側を往くバハマの海の様子を見ていると、しばしそんな海を漂うような気持ちになった。
生き物のルーツというのは、時に不思議な奥深さを自分たちの内面に見せるものである。

一日中イルカと過ごす幸せ バハマのドルフィンクルーズ Vol1文と写真:越智 隆治

フレンドリーなタイセイヨウマダライルカたちが生息する海
まるで大きなプールのような美しい海水と浅い砂地の海域が広がる、ホワイトサンドリッジ
ドルフィンクルーズボートに乗船したゲストと一緒に。船は、フロリダのウエストパームビーチから出航する
べた凪で、船の船首についたイルカたちを、船上から撮影。海底にイルカたちの影が映る
キンダイバーの泳ぎに合わせて、こんな風に一緒に泳いでくれる
多いときには、50頭近くの群れに遭遇することも。タイセイヨウマダライルカは、成長するにつれて、体の斑点模様が増えてくる。人間のシミと一緒?
 1996年から、毎年通い続けている海がある。それが、バハマ連邦共和国の「ドルフィンサイト」と呼ばれる場所。バハマのことをアメリカ合衆国の一地方と勘違いする人が多いが、同国フロリダ半島の東に点在する、約700個の島々と2400の岩礁からなる独立した諸島国家だ。
 ドルフィンサイトというのは、俗称であって、正式な名称ではない。しかし、この海域には、とてもフレンドリーなタイセイヨウマダライルカたちが、定住していて、私は毎年のようにクルーズ船をチャーターして、この海域に生息するイルカたちに会いに出かけている。
 船が出航するのは、フロリダ半島の東にある、ウエストパームビーチという港町。自分たちのチャーターした船に、10人ほどの日本人ゲストを乗せて出航し、一晩かけて、東進し、バハマのグランドバハマ島の西端にある、ウエストエンドの港に入港する。
 ここで、バハマへの入国手続きを済ませて、今度はドルフィンサイトへと北上を始める。到着するのは、午後4時過ぎ。それでも、この時期は日没が8時くらいなので、イルカを見つければ、4時間近く初日から泳ぐことができる。
 海は水深5mほどの白砂の砂地が広がる。島影はまったく見えないけど、リトルバハマバンクと呼ばれるこの浅い白砂の海域は、グランドバハマ島北側に広範囲に広がっている。特に、イルカたちが姿を見せるエリアは、ホワイトサンドリッジと呼ばれ、その浅い海域の中でも特に美しく、パステルブルーの優しい色をした、まるでプールのような場所。
 べた凪(なぎ)で、海面がツルツルになった時のこの海でイルカたちと遭遇したときには、本当に夢の中にいるような錯覚に陥る。船をゆっくり走らせると、「プシュ!」という、イルカたちの小さなブローの音まではっきりと耳に滑り込んでくる。
 4〜5週間、チャーターしても、この完全なべた凪のコンディションでイルカたちに遭遇できるのは、年に数回程度。だから十数年もこの海に毎年訪れていても、いまだに感動する瞬間でもある。
 これから、数回は、このバハマのドルフィンクルーズのことを綴っていこうと思う。
 INTO THE BLUEでは、毎年6月7月にドルフィンクルーズボートをチャーターして、スペシャルトリップを開催している。2012年6月、7月も計4週チャーター。まだ空席があるので、興味のある方は、INTO THE BLUEのウェブサイトをご覧下さい。