藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

けじめの付けどころ。


社会に出て生活していると、大小さまざまな事件に遭遇する。
それは落し物をした、とか待ち合わせに遅れた、というような比較的些細なものから、そうとうひどく周囲の人に迷惑をかけてしまうようなものまで、いろいろである。
集団の旅行で、自分のせいで遅れたり、チケットの手配ミスや予約ミスなどがあって冷や汗をかいた経験は、結構多くの人にあるのではないだろうか。


そして、さらに問題なのは、「その後の落とし前」である。
集団旅行のチケットや予約手配をミスった人は、おそらくその後の人生でもずっと「あらゆる予約」を事前確認することを止めないだろう。
一種のトラウマである。
だからその人は非常に「慎重な人」に変わってゆくのである。


同様に「ちょっと軽はずみ」な気持ちで、取引先の「無理を聞く」というのも商売ではよくある話である。
「ちょっと今月だけ売り上げを頂戴」とか、
「返品していいから今月に納品させて」というのは日常よく聞く営業トークである。

組織のマネジメント陣はこういった「営業努力」が決して「一線を超えないよう」管理する必要がある。


この度の年金の7億件の照合作業の件では驚いた。
消えた年金」が最大の問題であるのに、その検証作業にまたしても「談合・不正」が入り込む。
あきれるのは、その「担当者」ではなく「そのような入札システム」をのうのうと温存していた管理者サイドののやり方である。


そもそも自主性の欠けた「紙媒体で、地方バラバラの管理」が引き起こした全国レベルの問題である。
それを戦前戦後を通して「大掃除」をしよう、というのに、またぞろその作業と予算を「既得権益」ととらえて不正がはたらかれたのである。

公共の手掛ける仕事を、いかに「談合なしに公共的に進めるか」ということについての透明化が進まぬと、いつまで経っても政府の事業には「談合」がつきまとう。
つまり「官に溜まった塵の掃除」は「官以外の組織」によらないと困難である。
今回の「照合作業入札談合」は、そんな当たり前の構造を図らずも露呈したと思う。


役者の顔がそのままなのに「以前とは違う芝居をする」というのは難しい。
官僚が悪くいわれるのもこの辺の体質にあるのではないか。


入札や随意契約についての抜本的な透明化は、景気刺激策以上にこれから重要になってくるのではないだろうか。

年金記録7億2千万件、照合に本格着手
 日本年金機構は12日、年金記録問題への対応策の柱であるコンピューター上の記録と過去の紙台帳記録との照合作業に本格着手した。


 紙台帳記録約9億5000万件から重複などを除いた約7億2000万件の照合を、2013年度までに終了することを目指す。

 作業は午前9時から都内でスタート。機構職員や受託業者ら約420人で始め、11月以降は全国29か所、約1万7700人体制となる。作業は、年金回復に結びつく可能性の高い高年齢の受給者から優先的に実施する。記録不一致の場合は、12月中にも本人に通知される予定だ。細川厚生労働相は記者会見で、「問題解決への大きな前進だ」と述べた。

 政府は今年度予算に427億円の経費を計上し、来年度予算では876億円を要求している。今後4年間の経費は3000億円近くに上る可能性があるうえ、作業が非効率だとの指摘もあり、全件照合は事実上不可能だとの見方が強い。

(2010年10月12日11時22分 読売新聞)

年金機構入札情報漏えい、NTT東子会社側要求

年金記録の照合作業の入札を巡る情報漏えい事件で、入札情報の提供は、NTT東日本の子会社「エヌ・ティ・ティ・ソルコ」(東京都港区)の営業担当部長・山本一郎容疑者(43)(競売入札妨害容疑で逮捕)からの要求で始まったことが15日、警視庁幹部への取材でわかった。


同庁は同日午前、杉並区の日本年金機構本部などを捜索し、全容解明を進めている。

同庁幹部によると、山本容疑者は今年初め、旧社会保険庁で同僚だった同機構参事役・高沢信一容疑者(46)(官製談合防止法違反容疑で逮捕)が、機構内で照合作業を担当する部署に所属していることを人づてに知り、電話をかけた。当初は入札の規模や日程の確認を行う程度だったが、次第に要求をエスカレートさせ、高沢容疑者から電子メールで3回にわたり、入札予定価格などの情報提供を受けたほか、今年5月には、入札参加企業の技術評価点を記した一覧表をJR新宿駅近くで受け取っていた。山本容疑者は「(高沢容疑者からの)情報は落札に役立った」と供述しているという。

(2010年10月15日14時39分 読売新聞)