藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

リーダーシップの本質。

自分は国粋主義者でもなく、一般的な日本人の興味の範囲を出る見識もないけれど、「求心」という意味では実に巧妙なイベントである。

朝日の報道を見れば、実に考えつつ効果的に考えられたイベントなのだ、という雰囲気が伝わってくる。
リーダーの去就というのは「集団」という観点からすれば実に重要なものだと改めて思う。
国民個人個人の「僅かな思い」が集積して、何か首相が日本の最終意思として靖国参拝をしている、という風に段々と周囲の空気が醸成されていくような怖さがある。

実際にこれを機に特に日本が再軍備する、とか右傾化する、という人もいるが果たして皆どこまで本気で発言しているのだろうか。(というか首相のコメントを見る限り全然そういう趣旨でもないし)

要はこうしたテーゼで「国防・外交のことを考えなさい」というきっかけになることが重要であり、実際には大した変化は起きないのではないか。

と自分などは思っているが、逆に「何も考えない日本人」もよろしくないわけで、若い人も戦争経験者の先輩方も「いかがなものか」という関心を大いに寄せているのが今の安倍政権なのだろう。
日本が再び戦争に走る、というのはあり得ないと思うけれど、問題提起としては上々の展開なのではないだろうか。

BBCのヘッドラインにトップで取り上げられることも少ない日本が、各国のメディアで取り上げられているのもなかなかのプロパガンダではないかと思うのである。

参拝、制止退け強行 党幹部「もう誰も止められない」
安倍晋三首相が26日、東京・九段北の靖国神社に参拝した。消費増税特定秘密保護法、沖縄の普天間問題などの諸課題にめどがつき、「参拝ショック」が出にくい時期を選んだとみられるが、A級戦犯合祀(ごうし)への批判などから中国や韓国は反発し、米国も「失望している」との声明を出した。自らの「信条」を優先したことで政権の変質を印象づけ、今後、政権を支えてきた「日米同盟重視」や「経済最優先」の路線が揺らぎかねない。「恒久平和への誓い」と題した首相談話もこれまでの言動との食い違いがうかがえる内容だ。

* トピックス:靖国参拝

 「自分の決断として参拝します」。26日午前、公明党山口那津男代表のもとに安倍晋三首相から電話があった。山口氏が「賛同できない」と反対したが、首相は「賛同いただけないとは思います」とにべもなかった。自民党石破茂幹事長にさえ当日通告。党幹部は「もう誰も止められなくなっている」とぼやいた。
 「寝耳に水」だったのは、与党幹部だけではない。米国にも参拝直前まで伝えなかった。
 「中国を刺激しない方がいい」。11月、訪米した首相の盟友・衛藤晟一首相補佐官は、米政府高官から参拝しないよう求められていた。訪米の表向きの目的は、北朝鮮情勢についての意見交換だったが、実は菅義偉官房長官から首相が靖国参拝した場合の反応を探るよう指示されていた。
 国内外の制止を振り切った突然の参拝だったが、伏線はあった。10月、秋季例大祭への参拝を見送った直後、首相は周囲に「参拝するのをやめたわけじゃない」と漏らしていた。
 首相には、年末で政権運営が一区切りつくという思いがあった。消費増税の道筋をつけ、臨時国会を乗り切り、来年度予算案の編成も終える。首相は今月22日、周囲に参拝の意向を伝えた。そこから菅氏ら限られた側近と検討を本格化させた。
 参拝日は、この日しかなかった。首相は25日、沖縄県仲井真弘多(ひろかず)知事と会談し、最後の懸案だった普天間問題が節目を越えた。米国は政権の努力を買っており、「参拝ショック」も和らぐと読んだ。26日は政権発足から1年の節目で、対外的に説明もついた。
 政権を取り巻く環境も首相の背中を押した。日経平均株価は1万6000円台に乗り、下がったとはいえ内閣支持率もまだ50%近くある。反発が予想される中国、韓国とは首脳会談の見通しが立たず、かえって参拝しやすいと踏んだ。首相を支える党内の保守系議員からは「年内に参拝を」との声も届いていた。
 政権に力のあるうちに思いを果たしたい。首相は「今参拝しなければ、政権終盤まで行けなくなる」(側近)と決断。側近の中には最後まで反対論があったが押し切った。参拝にあわせて配る談話には首相自身が手を入れ、海外発信用に英文も用意した。
 参拝後に会った自民党議員が「いいタイミングでしたね」と水を向けると、首相は「1周年だからね」。その表情は、さっぱりしたものだったという。