藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ストリーミング全盛

yomiuri onlineより。
音楽業界がストリーミングにシフトしているというコラム。
そういえば、自分も日中の音楽はネットラジオの「ながら」に完全に移行している。
いつの間にかCDはよほど「これが聞きたい」という場面にしか登場しなくなってしまった。

ストリーミングサービスはここ一年で倍増し、有料サービスの収入も全体の一割ほどになっているというが、反対にCDはなんとここ四年で半減したという。
毎年10%以上落ち続けていて、ここ10年もしないうちに絶滅の恐れがあるという。

まだ二十歳のころCDやさらにDVDが出現し、「どえらい情報量の世界がくる」と噂し合っていたころがセピア色に蘇る。(遠い目)

ことほど左様に「自分の今いる先」は予測しがたいものだけれど、でも先はどうなるのだろうか。
アンビエント・コンピューティング、などと言われているが、もうすぐ「情報の場所、速度、量」の制約がなくなるのは疑いがなさそうである。
映画でも、ネットでも、どんな情報も、どこでも瞬時にアクセスできる世界はすぐそこにありそうである。
なかなか容易に想像しにくいけれど、その先つまり「ストリーミング」の先に何があるのだろうか。
コラムにあるように、ただ情報を蓄積しているのではなく「ユーザー色」を出すような個性的な付加価値サービスの時代が来るのだろうか。
それともCDなどのデジタル媒体からストリーミングへと移行した潮流のように、さらにまたその先へと移行するのかもしれない。

少しでもその先のことを考えてみたいと思う。


(39)まだまだ広がる? 音楽ストリーミング
データを受信しながら同時に再生を行うストリーミング・サービスを使って音楽を楽しむ人が増えている。利用者は音楽を所有せず、楽曲が続く間、耳を傾ける仕組みだ。欧州ではスウェーデン発祥のSpotify(スポティファイ)やフランスのDeezer(ディーザー)がよく知られている。

 広告が入ることで無料で聴けるサービスと、毎月定額を支払って広告なしで聴けるサービス(会費制)がある。音楽業界の市場拡大のけん引役として近年、存在感を大きくしている。


英国のレコード音楽小売販売額
 たとえば筆者が住む英国を見ると、昨年のレコード音楽市場は10億4300万ポンド(約1783億円)を記録し、前年比0.5%の微減となった(英国レコード音楽業界=BPI、公式チャート会社=OCCの調査による、1月1日発表分)。大きく伸びたのが有料ストリーミング・サービスで、アルバムやシングルの売り上げからすればまだ小さいが、前年比33.7%増の1億300万ポンドを達成した。全体の10%を占め、前年の7%から上昇した。

 実際には、ストリーミングから得られた収入はもっと多いはずだ。BPIとOCCの調査には無料ストリーミング・サービスの広告収入が入っていないからだ。

 ストリーミング配信されたトラック数を比較すると、2012年では37億で、これが13年には倍増の74億となっている(無料及び有料ストリーミングを含むが、ユーチューブなどの動画視聴プラットフォームを介したものを除く)。


過去5年間のフォーマット別アルバム販売数
 フォーマット別アルバム販売数(2009〜13年)を見ると、もっとも人気が高いのは未(いま)だにCD(全体の64.4%)で、アイチューンズなどを利用したダウンロードや有料ストリーミングを含むデジタル版は34.7%を占める。

 しかし、CDの凋落(ちょうらく)ぶりは激しい。09年から4年間でほぼ半減し、13年は前年比で12.8%減。デジタル版は正反対で09年との比較では倍増、前年比では6.8%増となっている。このトレンドが続けば、CDはほぼ絶滅しそうだ。もっとも、数が少なくなったら逆に希少価値が出ることもあるだろう。レコード盤が今まさにそういう状態なのだ。

 大西洋の向こうの米国では、アイチューンズストアが03年にサービスを開始して以来初めて、デジタル音楽の年間売上高が前年比で下落している(13年の数字、米ニールセン・サウンドスキャンの調べ、1月発表)。

 デジタル版のシングル・トラックの販売数は12億6000万曲で、前年の13億4000万曲から6%の減少となった。デジタル・アルバム(アルバム売上総数の41%)は前年とほぼ同じの約1億1800万ユニットだった。

 しかし、音楽ストリーミングは伸びている。「2013年音楽リポート」(ニールセン・ビルボード調べ)によると、昨年は1180億以上のストリーム配信が提供され、前年比では32%増となっている。

 音楽ブログサイト「All Digital Music」(16日付)によると、ノルウェーでは音楽ストリーミング・サービスによる昨年の売り上げは前年比60%増(国際レコード産業連盟=IFPI=ノルウェー支部の調査)。音楽市場全体の売り上げシェアは「65.3%に拡大」している。

アーティストの不満感と価格がネック

 ノルウェーや米英の音楽ストリーミングの伸びを見ると、「デジタル音楽はストリーミングの時代に入った」(英BPIの最高経営責任者ジェフ・テイラー氏)という表現にうなずける。

 しかし、IFPIによると、グローバルなレコード音楽市場の中でストリーミングが占める割合は5%。まだまだマイナーなサービスともいえる。

 さらにサービスが広がる際のネックとなるのがアーティストからの苦情や有料サービスの価格だ。

 たとえば世界中に約2400万人の利用者(600万人は有料会員)を持つSpotifyは、音楽の制作者・著作権所有者側に1回の再生ごとに使用料を払っている。アーティスト側から不満が出るのは、使用料金がかなり低く設定されているため、懐に入る金額が「少ない」点だ。

 無料から有料サービスへの以降も一つの障害だ。Spotifyの場合、サービス利用者の4人に1人が有料会員だ。これをもっと増やすにはどうするか。

 Spotifyの元幹部ファイサル・ガラリア氏は価格設定を見直すことを提案する(英フィナンシャル・タイムズ紙、1月17日付)。英国では、CDやダウンロード版で音楽を買う人は、年間で約40ポンドを使うのが一般的だという。しかし、もしSpotifyのプレミアム会員になるとすれば、年間で120ポンドを支払うことになる。「無料か120ポンドかの二者択一になる。これでは、大部分の人が無料を選択するのも無理はない」

 同氏は音楽業界は「現在の半分の会費を提供するべきだ」という。月に5ポンド、あるいは5ユーロにするべきだ、と。

 英国では、実際に、毎月5ポンドでヒット曲を配信するMusicQubedや選択した曲数によって1ポンドから10ポンドの間で金額が変わるサービスを提供するBloom.fmなどが出てきている。

 別のやり方は、ほかのサービスとの抱き合わせだ。たとえば、有料テレビの契約料、インターネット・プロバイダーのサービス料、携帯電話の月額料金に若干上乗せする、あるいはサービスの中に含めてしまうやり方だ。

「音楽DNA」を作る米Beats Music


新たに音楽ストリーミング・サービスを始める米Beats Musicのサイト
 音楽ストリーミング市場に21日、新たな参入者が加わる。米音楽プロデューサー、ジミー・アイオビーンと著名ヒップホップ・アーティストのドクター・ドーレが作る米Beats Musicだ。利用者の好きな音楽、バンド名、ジャンル、年齢、性別などからプロフィルを作る、いわば独自の「音楽のDNA」を作っていくという。

 専用アルゴリズムに加えて、キュレーター、行動を分析する科学者など人の手をかけて、利用者にぴったりする選曲を行う。アプリの最初の利用時に上記の情報を入力すると、「あなた専用」の音楽リストが作られる。モバイル利用を最初から想定してサービスを作っているところも新しい。

 ストリーミング・サービスは、音楽ライブラリーの巨大さよりも、いかに自分に合った音楽を集めてくれるかで競うようになるのかもしれない。

 当初は米国で開始し、その後、英語圏を中心としてサービスを広げるようだ。開始直前のBeats Musicのウェブサイトを見ると、「無料でも使える」とされているが、主眼は月10ドル(約1000円)の有料サービス。米通信会社AT&Tの顧客であった場合には、月15ドルで家族5人まで使えるようになるという。

 Beats Musicの最高経営責任者イアン・ロジャーズはこう言う。「価値があるものに人はお金を払うものだよ」(米ワイアード誌、16日付)

 いかに差別化したサービスを提供できるかで競争が始まっている。