藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

味を感じる力。

海外で日本の「うま味」が話題になっているという。
昨年知り合ったフレンチのシェフは、わざわざ京都の割烹や料亭で「だし」を学んでいると聞いたことを思い出す。

うま味は=「甘い」「酸っぱい」「塩辛い」「苦い」以外に分類できる食べ物の味

となんとオックスフォード辞典に書いてあるというけれど。
けれどちょっと違う。
うま味は「○○と違う味」で定義されるものではなく「うま味」として定義されるのに違いない。
つまり「塩コショウ」にはない「コク」がその正体であり、例えて言えばフレンチのコンソメスープなどは、動物や植物のエキスを抽出したうま味のはずである。
魚やカツオや昆布でひたすら「出汁」だけを追求し、味付けを「後からの作業」にしたのがうま味・出汁文化なのだろう。

人は舌の「味蕾」が味を感じ、大人になってからは発達しない、などといわれているが外国人でも、そして大人でも植物や海藻や鰹などの出汁を研究する人は非常に多いと聞く。
日本の寿司もなかなかの人気だが、世界各国の一級の料理に直接影響を与えるのは「カツオ出汁」
や「昆布だし」なのかもしれない。
手間はかかるが、料理人の仕事はそこから始まるということらしい。
和食は先進国の間では相当なブームだが、ヘルシー(低カロリー)ということだけではなく、その繊細な味にこそ醍醐味があるということをぜひ知ってもらいたい。
ファストフードなど、なかなかこの域にはやってこれないのである。

umami 世界で注目が高まる「うま味」
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が「和食」を世界の無形文化遺産に登録する見通しになりました。

 日本の食文化に対する評価の高さを示すニュースですが、和食に関して数年前から特に注目が集まっているのは、その味の基本とも言える umami (うま味)です。

第5の基本的な味

 この言葉はすでに英語の辞書にも載っています。

 オックスフォード英語辞典は umami を以下のように定義しています。

 a category of taste in food (besides sweet, sour, salt, and bitter)

  「甘い」「酸っぱい」「塩辛い」「苦い」以外に分類できる食べ物の味

 アメリカン・ヘリテージ英英辞典のオンライン版は次のように補足しています。

 It is sometimes considered to be a fifth basic taste along with the tastes sweet, sour, salty, and bitter.

  うま味はしばしば、甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ第5の基本的な味とみなされる。

米国で「ウマミ・バーガー」がチェーン店化

 うま味に対しては海外の有名シェフたちが強い関心を寄せています。それだけでなく、普通の人たちの間でもなじみ深い言葉になりつつあります。庶民的な食べ物の世界でも、うま味をセールスポイントにする店が出てきたからです。

 例えば、アメリカでは Umami Burger (ウマミ・バーガー)というチェーン店が話題を集めています。

 この店の売り物は海藻、きのこ、魚などのうま味成分を使ったハンバーガーです。4年前にロサンゼルスで1号店がオープンし、今では全米で20店舗を展開しています。

 今年7月にはニューヨークのマンハッタンにも進出しました。ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、開店時には3時間も待たなければならないほどのにぎわいでした。この店には、約100年前にうま味物質を発見した池田菊苗博士の写真が飾ってあるそうです。

和食の魅力の象徴に?

 イギリスでもうま味への関心は高まっています。ガーディアン紙の電子版は今年4月、
Umami: why the fifth taste is so important (うま味:第5の味はなぜ重要なのか)という見出しの記事を載せました。

 umami という言葉は、世界に知れ渡っている sushi (すし)などと同様に、和食の魅力を象徴するものとして広く定着していくのかもしれません。