藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

専門家の構造改革。

日経より。
少し前にいろんな専門家が予想したこと(当時は"AI"ではなく"コンピュータ"という表現だったが)が実現に向けて加速している。
「弁護士など専門家の仕事は「チップ一つで代替できる」」という話は徐々に真剣味を帯びてきているようだ。

とは言っても、一足飛びに専門家の判断が必要なくなる、ということではなく「まずは情報の編集作業はAIが主流になるだろう」というものだ。

これなら納得がいく。
ただのexcelでは、予め設定しない「関係性」を自動的に抽出してはくれないから、まずAIは有能な秘書になるのに違いない。

さらに監査法人(CPA)になると、対象となる会計データの部分に絞れるために、AIが担当できる範囲は相当広いことも予想できる。
そう考えると、自分たちは改めて「自分(人間)でなければ出来ない仕事って何だろう?」ということを改めて正面から考えなければならない。

案外、どれほどのものがあるのか。
ちょっと不安だがワクワクする。

弁護士や会計士、AIが変える働き方 2045年を探して(2)

 弁護士や会計士など、知識と経験で勝負する専門家の仕事をも、人工知能(AI)は変えつつある。膨大な文書から訴訟に関係のある証拠を探すのは、人間よりAIの方が得意だ。AIができることはAIに任せ、人間は人間でないとできない仕事に注力しようという動きが広がっている。

法律事務所ベーカー&ホステトラーの図書室には人の気配がない(ワシントン市

 ワシントン市内にある高層ビルにある大手法律事務所、ベーカー&ホステトラーは、高級ホテルのロビーを思わせる受付の先に、判例集や論文を揃えた自前の図書室を備えている。だが、そこに人の気配はない。「最近、若い弁護士がここにいるのを見たことがない。私が若い頃には通い詰めたものだが」。パートナーのギルバート・ケテルタス弁護士は話す。

 同事務所は3〜4年前、AIを利用したシステムを導入した。訴訟のために、大量のメールや文書などから必要な証拠物を探し出す。かつては若い弁護士が図書室に泊まり込んでやっていた仕事だが、AIが肩代わりした。

 システムを提供したのは、データ解析を手掛けるフロンテオだ。同社の白井喜勝執行役員は、2013年ごろ、米国の判事の「AIに対する考え方が、『使っても良い』から『使った方が良い』に変わった」と指摘する。

大手法律事務所ベーカー&ホステトラーのパートナー、ギルバート・ケテルタス弁護士

 判事が公判の日時を指定しても、それまでに弁護士の証拠整理が間に合わなければ、繰り延べざるを得ない。延期が頻発すれば、ただでさえパンク気味の米国の裁判所にとって大きな負担となる。「それは避けてほしいという意思のあらわれ」(白井執行役員)だという。

 米国では、弁護士は二極化しているといわれる。法廷で高度な弁論を闘わせる弁護士と、下調べに相当する証拠物件の解析作業などを専門とする弁護士だ。収入にも格差があり、「AIの登場でさらに広がるかもしれない」とある弁護士は肩をすくめる。

 弁護士だけではない。昨年末、東芝の不正を防げなかったとして金融庁から行政処分を受けた新日本監査法人は、AIを導入することで、ビジネスの構造を変えつつある。

 これまで会計士が担っていた財務諸表のチェックなど、比較的単純な作業はAIに任せる。会計士は顧客企業の経営者に話を聞いて財務上の課題を指摘するなど、コンサルティング的な業務を主に担う。

 顧客企業の事業の本質を理解できるスキルを身につけるため、東京大学大学院の教授を招いての講演など、新しい研修プログラムを導入し、改革を急いでいる。不祥事は同社への信頼を大きく揺るがしたが、ビジネスの構造を大幅に変えることで生き残りをはかる。

 AIは、多くの人の働き方を急速に変えつつある。人間はより人間らしい、人間でないとできない仕事を求められるようになるだろう。だが「人間でないとできない」と言い切れる仕事が、今後も次第に減っていくことも間違いない。(戸田健太郎