藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

人口和尚にモーツァルト。


AIがどのように進化していくのか?という話題の本には正直よく分からない結論のものも多いけれど。
日経のこのシリーズは注目だ。

寺の和尚の講話とか、ヒット曲の主メロや小説づくりにもすでにコンピュータが使われ出している。

まず医療で使うが脳をネットにつなぎ人の脳の記憶や機能をコンピューターに「ダウンロード」する技術を開発する企業が現れた。

人の脳とコンピューターが直接につながる。
これはアナログの人間にとってはある種の"恐怖"だろう。
コンピュータにダウンロードされるのは、自分の「記憶やデータ」だけなのか。それとも「脳の機能」も移ってしまうのか。
「脳の機能が移る」のなら、もう人はAIには勝てないかもしれない。
人間の最大の持ち味が、機械に移行してしまっては是非もない。

人間のように臨機応変に対応するAIに生かせる。
サイバー対策やロボットに応用すれば性能を飛躍的に高められる。
その分、AI技術が軍事に使われる懸念は強い。

遠くない将来には、AIがヒット曲の判別を八割型予想できるとか。
ヒット曲の作曲すらできるとか。
(これって何となく「過去の分析」で可能な感じはするけれど)

AIは未だ言語の理解はできない、と言う「AI道具論」の人も多いけれど、どこかで「人の判断のクセ」のようなものを身につけだしたら、それはもう「人と同じ判断ができる存在」として使われだすだろう。

本当のIT革命は本当にこれから始まるのかもしれない。
(つづく)

未知との遭遇 人類の飛躍か試練か 2045年を探して(1)
 2045年人工知能(AI)が人知を超える「シンギュラリティー特異点)」を迎える。荒唐無稽な話ではない。人の心にまで入り込み始めたAIが社会や国家、経済を揺さぶり、歴史を変える。人類の飛躍か試練か。世界はその日へ向けて走り出した。

 建立1千年を超す中国・北京の名刹龍泉寺でAI僧侶に出会った。

 「うちの女房が怒りっぽくて困る」

 「ただ一緒に生きていくだけさ。離婚はお勧めできないな」

 身長60センチのロボット僧侶「賢二」が境内を動き回ると、参観客から「癒やされる」と声が上がる。高僧たちの膨大な説法データを解析し、人々の悩みや問いかけに答える。人に相談するより気楽といった若者が多く訪れる。

 開発を主導した僧侶、賢帆法師は「賢二が来てから多くの人が寺と仏教に注目してくれる」と言う。中国でまだ信徒が多くない仏教を広めるにはどうすればいいか。悩んでいたときに思いついたのがAIだ。

 心の救いを得る聖なる場にAIが入り込む。この現実に賢帆法師は「宗教とAIは矛盾しない」と言い切る。

人工知能でヒット曲生む

 「全米のヒット曲ランキングでAIが作ったのが今や2〜3%、20年後には80%になるかもしれない」

AIでモーツアルト的な曲を作るカリフォルニア大学のデビッド・コープ名誉教授

 真顔で語るのは、カリフォルニア大サンタクルーズ校のデビッド・コープ名誉教授。自分で開発したAIが1千曲を作曲してくれたおかげで「印税を受け取っている」。

 10月初旬、サンタクルーズに住むコープ氏を訪ねるとAIが作った新曲が流れていた。

 モーツァルトを思わせる軽やかなメロディー。「AIが作曲した」と明かし聴衆に怒鳴られた苦い経験があるが、コープ氏は意に介さない。

 「人は徐々に慣れるはずだ」。気がつけばAIが日常の風景に溶け込んでいる。

 電話であれ飛行機であれ、人間が開発した技術は人の可能性を広げ文明の進歩を育んできた。

作家の朝井リョウ氏はAIとの「共作」を模索する

 直木賞作家の朝井リョウ氏はAIとの「共作」を真剣に考え始めた。小説で書くべきテーマは自分で探し出すが、それに沿ってあらすじや登場人物を決めるのはAI。舞台設定が整ったら、朝井氏は文章の執筆に全力を投入する。

 AIに簡単な小説を書かせる試みは一部にあるが、朝井氏は自分の得意分野をより生かすためにAIと組みたいという。

 「大本の設定が間違っていたのでは」。これまではストーリーを固めても書き進むにつれ不安が募り悩む日々だった。「AIが手伝ってくれたら迷いなく書けるだろう」。朝井氏はAIとともに自分の限界を乗り越える道を探る。

 だがAIが本当に信頼できるパートナーかはまだ分からない。米マサチューセッツ工科大のMITメディアラボの伊藤穣一所長は「AIは相手を差別するといった人間の悪い部分も自身で学び増幅する可能性すらある」と言う。

■兵器転用、核の二の舞も

 10月1日、エルサレムではカーキ色の軍服を着て機関銃を抱えた兵士たちが通行人に目を光らせていた。敵対するアラブ諸国に囲まれるイスラエルは軍事力強化につながるAIの開発を急ぐ。次に照準を定めたのが、脳の働きをデータ化して解明する「ブレーンテック(脳技術)」だ。

 「軍出身者らが10社以上を起業している」。事業化を支援するイスラエルブレーンテクノロジーズのミッキー・チェスラ氏は明かす。まず医療で使うが脳をネットにつなぎ人の脳の記憶や機能をコンピューターに「ダウンロード」する技術を開発する企業が現れた。

 人間のように臨機応変に対応するAIに生かせる。サイバー対策やロボットに応用すれば性能を飛躍的に高められる。その分、AI技術が軍事に使われる懸念は強い。

 「AIは火薬、核兵器に続く第3次戦争革命を引き起こす」

 米民間団体フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュートは2015年7月、AI兵器の開発禁止を求める公開書簡を発表。テスラモーターズイーロン・マスク氏ら2万人の署名を集めた。だが、拡散を止められない核兵器の二の舞いにならない保証はない。追い詰められた国やテロリストがAI兵器に頼れば世界は危機に陥る。

 神にも悪魔にもなるAI。未知なる知性と遭遇した人類の歴史は新たな段階に入ろうとしている。

 シンギュラリティー 人工知能(AI)が人間の知能を超える未来。発明家で米グーグル在籍のレイ・カーツワイル氏が2045年に到来すると予測した。AIが自らAIを作り始めたり人の脳をコンピューター上に再現したりすることが考えられる。