藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

その上の創造性。

「私の業務上の対話の8割は置き換えられる」

あなたの(もちろん私の)仕事は、この問いに反論できるだろうか。

自分はかねがね「人間の仕事はどんどん部下が上司の仕事を食べていく」と思っていた。

これがAIに代替されてもそれほど不思議はない。

だからこそ自分の仕事は「欠け替えのないもの」に昇華していく必要があるのだが、現実は「ルーティン業務」なんかが支配していて停滞気味だと思う。
経営者でもある自分に、AIアドバイザーが現れて「アナタノシゴトハ、ゼンブ代替可能です」となればそれは自分の仕事を反省せざるを得ないだろう。
そうした「自動化の恐怖」ってあるものだと思う。
けれど。

「トップにAIが就く日」。
もう会社の方針すらAIが判断できる日は、「ある局面」では案外早く訪れるのではないだろうか。
戦後の経営者のような「唯一無二の発露」を除けば、あとは割合"合理的な製造と販売の積み重ね"で成功する会社も多いような気もするのだ。

つまり。
逆説的には「機械なんかには逆立ちしたってできない」ようなクリエイティヴなことを、残念ながら自分たちは目指さねばならないらしい。
その「逆立ち」すら真似されるかもしれない恐怖をバネに、発揮することこそ「これからの創造性」ということだろうか。

これからの自分たちには、いくらでも「高いハードル」が待っている。

使うか使われるか 公平な新部長の素顔は 2045年を探して(4)

 米首都ワシントン。大手法律事務所コビントン&バーリングのエドワード・リッピー弁護士は最近、大きな案件ではほぼすべて人工知能(AI)を活用する。ちゃんとAIを使ってください――。資料や証拠が整理されていないと、判事から指導されるからだ。

AI搭載ロボット「ベティ」は部長として企業に送り込まれるために進化中

 米国では弁護士の主要作業の一つ、証拠集めはAIが主役だ。メールなど膨大なデータから学習しながら必要な情報を探す。若手弁護士の仕事だったが今はAIに探したい証拠の特徴を教えるだけ。リッピー氏は「弁護士費用削減で顧客への請求額を2割強減らせた」。

 この事務所では所員教育の柱の一つをAIとした。昇進にはAIを使いこなすことが求められる。AIが代替する弁護士業務もこれから増えていくだろう。AIを操れない人はAIに淘汰される厳しい時代に入った。

■空気読まず評価

 あなたの職場にもいずれAIが「社員」としてやってくる。ロンドン北西のミルトンキーンズ。交通システムのトランスポート・システムズ・カタパルトがAIロボット「ベティ」を部長見習いとして採用した。社内を巡回しカメラで人や備品の配置を学習。残業や備品状況をチェックする。

 6月に導入した際、社員は「これで仕事が楽になる」と声をあげたが、歓迎ムードはいつまで続くかわからない。開発したバーミンガム大学のニック・ハウエス准教授は社員の働き方を見極め「いずれ部下の辞令も出してもらう」と明かす。「AIは空気を読まず公正に人事評価できる」と有能さを強調する。AIを使っていると思っていたら、いつの間にか使われる側にまわっている。

■社長も代替可能

 トップにAIが就くかもしれない。IT(情報技術)ベンチャーオルツ(東京・江東)の米倉千貴社長。自身の対話や表情、癖をまねた3DのAI社長を開発中だ。「私の業務上の対話の8割は置き換えられる」

 きっかけは2年半前。「社員の処遇はどうしましょうか」。日中は部下からの問い合わせへの対応に追われ事業企画に費やせるのは夜中だけ。そこで米倉氏は部下のメールにいくつかのパターンで自動返信する仕組みを開発。「部下は気づかずにメールの指示に従った」。高度な決断が求められる社長業だが多くは代替可能と気づいた。

 AI時代に雇用は減るのか。未来学者のポール・サフォー米スタンフォード大学教授は言う。「機械は人間の仕事を壊したが新しい仕事も生み出した。AIも同じだ」

 19世紀、産業革命に沸く英国では手工業職人が織機を壊す「ラッダイト運動」が広がった。仕事を奪う機械への抵抗だ。だが英国はインドより安く綿織物を作れるようになり綿工業が発展。1839年の1人当たり国内総生産(GDP)は1750年より4割以上増加して雇用も増えた。流れる水は高きに戻せない。いかに使う側であり続けるかを考えた方がいい。