藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

スケール感の違い。

結局、アマゾンの狙いはECではなく物流だったということだろうか。
皆がサイバー世界で広告や検索順位を競っていた中で、一人虎視眈々と、いや粛々と「リアル世界」を見ていたのがアマゾンだったようだ。

今ほどの世の中になっても、確かに海外に単品で物を届けるのは安くない。
同様に海外に小学を送金するのも手数料が安くはない。
情報や動画は世界中を駆け巡る時代になったが「リアル商品」はまだ「物流システムの課題」だったと思う。

アマゾンが史上最大規模の倉庫を作る、と発表した時に冷ややかに見ていたIT業界とか物流業界の人たちは、今肝を冷やしているに違いない。

「国際物流」を本当に、世界的にまとめたはずの従来の業者は「単なる配送」の業者でしかなかった。

「生産者と消費者」を直接結びつける国際物流が、ようやく始まったのだということだろう。

それにしても一ベンチャーの所業を傍観していて、実は想像をはるかに超えることが行われていた、という事実は重大なことだと思う。
アマゾンを「赤字続きの変わり者」と評していた市場も、今一度「イノベーション」というものについて考える必要があるのではないだろうか。

型破りって、いつも奇異な目で見られるものだけれど。

日通とアマゾン、貨物集約で安く輸出 中小企業向け

 日本通運、インターネット通販の米アマゾン・ドット・コムが中小企業の米国向け輸出を支援する。日通が複数企業の商品を集約、一括して通関手続きと輸送を実施し、商品はアマゾンの通販ルートで売り込む。流通コストは最大3分の1に抑える。人材や貿易リスクで慎重になりがちな中小企業の輸出を流通面から支える官民の取り組みが始まる。

アマゾンジャパン・ロジスティクス市川FCの倉庫内の様子

 この事業は経済産業省が主導し、日通や日系商社が参画して6月に発足する「海外展開ハイウェイ」の初事業となる見通し。まず米国で食器や文房具などの販売を想定し、衣類や家具、食品など取扱商品や対象企業を随時広げる。

 軌道に乗ればアジアや欧州でも展開する。経産省は他の物流企業や大手百貨店、商社にも新会社設立を呼びかけ、政府系ファンドの支援も検討する。

 米国向けでは、輸出を希望する中小は日通が担うハイウェイの窓口に申し込む。アマゾンが許可すれば、輸送などの諸費用を支払う。商品は日通が持つ国内の倉庫に集約した上で、一括して通関などの手続きを行う。

 商品は米国に到着後、日通やアマゾンの倉庫に保管する。米国に在庫があるため、消費者が通販で注文すれば数日で商品を届けられるという。注文を受けた後に日本から発送すれば1週間以上かかるケースもあり、商品競争力も高まるという。

 中小が単独で輸出する場合、自社で物流コストを負担する必要があるほか、輸出代理店や海外の輸入代理店、小売店などが間に入ることもあり、費用がかさみがちだ。経産省の試算によると、販売価格が100ドルの商品の場合、中小単独で流通企業に売った際に手数料などを差し引いて手元に残るのは20〜25ドルだが、今回の取り組みでは65〜75ドルを見込めるという。

 貿易事務の煩雑な手続きを行う必要もあり、人材やノウハウが不足しがちな中小企業にとって負担は大きい。中小企業の海外輸出が進まない要因となっていた。流通大手の連携で海外市場への参入を容易にする。

 ただ、日通やアマゾンは中小の商品を買い取らないため、売れ残った場合は中小側がリスクを負う。アマゾンの販売期間は1年で、米国の倉庫にある商品が売れ残れば、日通かアマゾンが原則として廃棄する。中小側が期間の延長や、商品を日本に戻したい場合、追加料金を支払う必要がある。参入企業は米国市場のニーズをふまえた商品投入が求められる。