藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

だから中立。

iPS細胞が副作用リスクの発見に一役買うという。
なるほど。
よく新しいことをやるときに「メリットは何か」とか「効率が上がる」ということばかり考えるけれど。

何がデメリットか。
最悪はどの程度か。
ということを考えながら、「進める前提」で話をするのはどうだろうか。

考えた結果、やっぱりやめようか、ということもあるだろう。
でも「何がいいわけ?」という空気でネガティヴな空気をひっくり返すのと、
「いいけど大丈夫?」というのでは随分空気が違わないだろうか。

この歳になって「相手にも言いたいことがあったんだろうな」と一瞬考えるだけで、相当考える幅って広がるものだと思う。

またちょっと違う話だが「イノベーションが必要だ」と思って考えると却ってイノベーションは起きにくい。
「そもそもおかしいことって何よ」と考えないと考えそのものが「何を志向しているのか」が見えなくなるのだ。

「否定側」に立つか「肯定側に立つか」という時点ですでにバイアスはかかっている。
中立(ニュートラル)という概念は実に重要なものだと思う。

武田薬品、iPSで薬の副作用再現 創薬効率化に道

 武田薬品工業はiPS細胞を使い、個人差のある薬の副作用を再現する手法を開発した。人が服用すると一部の化合物で表れる心電図の乱れが、iPS細胞からできた心臓の細胞でも観察できた。多くのiPS細胞をそろえれば、不整脈のような副作用のリスクを新薬開発の早い段階で予測できる見通し。有効性を検証し、より安全で効率の良い創薬につなげる。

 新薬の開発では、動物実験で問題がなくても人で副作用が見つかり、開発が中止になるケースがある。そのうちの一つが、死に至る不整脈だ。心臓の薬に限らず、体の様々な症状に効く薬で問題となる。抗菌薬などでも心臓に影響が出る恐れがある。

 研究チームは健康な10人の血液の細胞から作ったiPS細胞を心筋細胞に育てた。

 10人の心筋細胞に拍動のリズムをわずかに変える抗菌薬を投与し、電気信号を測った。10人に投与したときの心電図と比べるとそれぞれがよく似ており、心臓への影響が心筋細胞で再現できた。

 同じ薬でも副作用の頻度や程度には個人差がある。新手法を用いて100〜1000人規模で実験すれば、個人差をいくつかの傾向に分けたり、個人差の中から共通の特徴を見つけたりできると期待される。

 まれな副作用のリスクが、人に投与する前の細胞実験でわかる利点は大きい。今後は他の製薬会社などとも協力し、大規模な試験を検討する。

 頻度の低い副作用を調べるためにどの程度の人数のiPS細胞を用意すればいいのかを突き止め、副作用のない新薬候補物質を絞り込む手法として活用したい考えだ。

 創薬の成功率は2万〜3万分の1といわれ、大型薬の開発費は500億円以上になる。創薬の早い段階で副作用のリスクを突き止めれば、莫大な研究開発費を投じた後に副作用が見つかるといった事態を避けられる。

 製薬会社は従来も細胞や動物の実験で副作用のリスクをできるだけ洗い出す取り組みを進めてきた。だが、実際に人で起こる個人差のある副作用まで調べるのは難しかったという。

 体の様々な細胞に育つiPS細胞は、傷んだ体の機能を取り戻す再生医療の切り札とされる一方、新薬開発の現場でも活用され始めている。