藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

年寄りならないこと。


若さの秘訣は好奇心、とよく聞く。

きっと、自分はできないことを
「いいなぁ」と思うことが大事ですね。

たぶん素直な好奇心だ。

電車の中で見つめあっている高校生のカップルを
「あいつら、なんだ」と呆れるよりも、
うらやましいと思って応援する側でいたい。

わかるぅー。
昨日の続きになるが「人が楽しんでいる様子」が楽しいのが老人の特徴だ。

糸井
欲望がなくても、人が欲望してくれるから、
見てると「いいなぁ」と思うし、楽しい。
きっと、自分はできないことを
「いいなぁ」と思うことが大事ですね。

ぼくにとっては、踊りができることもうらやましいし、
かっこつけてる俳優が登場するシーンもいい。

それを「いい」と思うことが、
自分のジャンプなんです。

電車の中で見つめあっている高校生のカップルを
「あいつら、なんだ」と呆れるよりも、
うらやましいと思って応援する側でいたい。

反して。
よくない老人もいる。
経験や知識が莫大にあるから、若者が愚かに見えて仕方ないのだ。
「素直な好奇心」よりも説教癖が勝って。(冷や汗)
若者に、特に酒場で話すのは自分の思った半分くらいにしておかねばならないな、と強く思う。

伝える仕事。- ほぼ日刊イトイ新聞
ジャパネットたかたの創業者である郄田明さんと、
糸井重里が対談することになりました。

生まれた年も日も近いふたりが、
「ものを売ること」「伝えること」について、
それぞれの考えを語り合います。

自分の売りになることは何か?

イデアを出すにはどうすればいいのか?

失敗を乗り越えるには?

決して「うまいことを言わない」、
ベーシックでぶれないヒントに満ちた全10回です。

※この記事は日経MJ2017年8月7日号のために
収録された対談を、ほぼ日が編集し、掲載するものです。

糸井
ぼくは自意識があんがい薄いんです。

特に年を取ってから、ひどくなりました。

たとえばウニ丼を食べて
「うまいね」と思ったとします。

食べてる瞬間の「うまいね」は確かなんです。

しかし昔は、何を食ってもうまかった。

いまじゃ、飛び上がるほどおいしいなんて思うことは、
どんどんなくなっています。

でも、誰かに食べさせて、
ほんとにおいしそうだなと思ったときは、
若いときの「うまい」よりうまいんです。

郄田
わかるなぁ。

糸井
自分が食うよりも、
人が食ってるほうがうまくなるんですよね。

それを、じゃんじゃんやりたくなってしまう。

それがいまのところ、
ぼくの大きなわがままかもしれません。

「お前が食ってんのが、俺がうれしいんだよ」

という感覚が、いまぼくの仕事に
すごく役立っています。

郄田
人間は、年を重ねていったら、
もう自分じゃなくなるんですよね。

糸井
そうそう。

郄田
人生が自分じゃなくなる。

ほんとです。

ぼくも食べてる人を見て、すごくうれしいです。
買い物して自分がおしゃれするよりも、
人におしゃれしてもらったのを
自分が楽しむことになります。
子どもさんができて、お孫さんができて、
80になったら、次はやっぱり
曾孫を見たいと思うでしょう。

曾孫を見たら、曾孫の結婚式を見たいと思うでしょう。

そうしたら99まで生きなきゃいかんし、
そんなふうに人間は生きていき、
自分のための人生ではなくなっていきます。

家族だけじゃない、いろんなことがそうです。
自分よりも、ほかの人が幸せになっていくほうが、
いい人生なんです。

周りの人の幸せが、楽しくなってしまうんです。

ぼくは、だから人間は
すばらしいんじゃないかと思っています。

糸井
うん、そうですね。

もちろん、ちっちゃい範囲の、
限定の競争のおもしろさはあるし、
それはいつでも遊びのようにやりたいと思っています。

いいものを見たときに
「俺もやってみたいな」とか、
そういう動機もたくさんあります。

しかしそれはあくまで限定のものなので、
生命力がなくなると、さみしいですが、
だんだんそう遊びをしなくなります。
自分というものは何か、ということを問われれば、
限りなく薄くなってきています。
欲望も、かき立てないとありません。

いや‥‥、ぼくら年寄りだけじゃなく、
お客さんも、ほんとうは欲望を
かき立て合ってるのではないでしょうか。

友達同士で、ネット上で、
かき立て合ってるのかもしれないです。

郄田
そうでしょうね。

糸井
欲望がなくても、人が欲望してくれるから、
見てると「いいなぁ」と思うし、楽しい。
きっと、自分はできないことを
「いいなぁ」と思うことが大事ですね。

ぼくにとっては、踊りができることもうらやましいし、
かっこつけてる俳優が登場するシーンもいい。

それを「いい」と思うことが、
自分のジャンプなんです。

電車の中で見つめあっている高校生のカップルを
「あいつら、なんだ」と呆れるよりも、
うらやましいと思って応援する側でいたい。

逃げる俺より、逃げない俺でいたい。

そこはかなり、意識的にやっています。

郄田
でも、結果的にそれは、
わくわくしてらっしゃるんですよ。

糸井さんは、ずっとわくわくしている。

わくわくのしかたと、
ご自分のアクションが違うだけで。

糸井
はい、はい、そうですね。

郄田
若い人が見つめてるのをいいなぁと思うことは、
最高のわくわくを、
実際に自分がそうだったとき以上の何かを、
なぞってるんじゃないかと思います。
ぼくも次から次に
わくわくを感じたいと思っていますし、
どういうかたちでわくわくを伝えるかは、
それぞれの人で違うと思います。
まぁ最近ちょっと、
何を見ても感じることが多くなって、
自分でどうかな、と思うときもありますけどね。

糸井
涙もろくもなったり。

郄田
本読んでも、テレビ見ても、
目に入ってくるすべてに、敏感すぎです。

これは自分でも性分で、治らないと思います。

でも、わくわくしないと、
あと49年は、生きられないですから。

糸井
いや、ほんとにそうですね。

生きるには。

郄田
何を見ても、人に伝えたくなる。

本を読んで「いいなぁ」と思ったら、
100人の人に伝えたくなる。

この気持ちがあるもんだから、だから、やっています。

糸井
天職ですね。

郄田
ちょっと悩むときもあるんですが、
もう、それでいいのかなと思います。

(明日につづきます)

2017-08-24-THU