藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

行政任せにしないこと。

なんでも新しいことが始まる時には喧々諤々、はつきもの。
"新しい派"と"古い派"が真っ向から対立する。
自分は「新しい派」に賛成するが、それも一通りではないだろう。
民泊が年180日以下ならok、などという規制で縛ってうまくいくものではないと思う。

ホストが常時いる、ホームステイのような民泊の制限はなし、とか。

世界中でホームステイやシェアハウスなどが浸透しているのは、それだけのノウハウの蓄積があるからだ。
日本は家屋が狭いし、外人のホームステイなんてほとんどないから、そうしたルール作りに少々混乱しているのだと思う。

医療とか介護とか、どんな業界でも最近、特に思うのだけれど"行政"が規制で全てコントロールしよう、というのは発想が古いし無理がある。
医療や介護、観光や移民といったことに「必要な規制」と「ソフト(規範)作り」を両輪で進めないと、いつまでも"規制規制規制"で埒があかないだろう。

「日本のMINPAKU」はこういうやり方らしいぞ。
観光もグルメも買い物もゴミ捨ても、みんな文化を作ってしまえばいい。
それをやるのは民間の自分たちだろうと思う。
行政任せではせっかくの民泊も死に体になってしまうことを危惧している。

「もう貸すのやめます」 迫真 民泊解禁前夜(1)

 ネット上で「ノリ」のハンドルネームを名乗り民泊を営んでいた女性が5日、訪日客向けの部屋の貸し出しを諦めた。3年前から借りている東京都中野区のワンルームマンションでフーッと息を吐く。「こんなルールでは民泊を続けられない」

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訪日客の民泊利用は増加している(東京都新宿区)

 普段は都内の会社に勤務する50歳。訪日客にマンガやアニメのサブカルチャーの聖地として人気の中野駅前に目を付け、約20平方メートルの家賃10万円ほどの物件を借りた。1泊3千〜6千円という低料金が人気を集め、稼働率は8割超。繁忙期の売り上げは月20万円以上で、光熱費や清掃費を差し引いても4万〜5万円の利益が残った。

 だが、ワンルームマンションは行政の認可を得ていない「ヤミ物件」。2017年6月に住宅宿泊事業法(民泊法)が成立し状況は一変した。施行日の今年6月15日以降は自治体に届け出れば合法的に営めるが、無許可営業は取り締まりが厳しくなる。民泊法には年間180日の営業日数の上限があり、女性は「売り上げが半減しても賃料のコストは変わらず赤字だ」と申請をやめた。

 営業を希望する物件の所有者は今週15日から自治体への登録手続きが可能になる。シェア経済の代表といわれる民泊の解禁にもかかわらず、観光庁内には「東京で半数以上の物件が消える」との衝撃的な見立てがある。

 三井住友トラスト基礎研究所の調べでは、東京の民泊は約2万軒と宿泊施設全体の1割を占める。だが厚生労働省によるとその8割以上はヤミ民泊だ。営業を諦める背景には2つの要因がある。

 第1に厳しい自治体のルール。「苦情やトラブル防止のためルールの条例化をめざす」。昨年10月、新宿区役所の民泊問題検討会で区長の吉住健一(45)が言った。東京でも訪日客に有数の人気エリアで、中国系のヤミ民泊がはびこるためだ。

 「住居専用地域」では営業を金曜日から日曜日に限定。営業日数の上限は156日になり、国の180日より厳しい内容になる。民泊法は生活環境の悪化を防ぐため、自治体に独自の条例を事前に設けることを認めている。東京23区では8割以上の自治体が独自のルールを検討中で、こうした「上乗せ条例」が民泊オーナーの事業意欲の減退につながっている。

 不動産業を営む東京・渋谷の神田美雪(46)は3月、新宿などで営んでいた6カ所の物件をすべて月決め賃貸マンションに切り替える。「訪日客に曜日で宿泊を縛るのはナンセンス。長期滞在を希望する外国人に貸したい」。営業日数の規制を前に、民泊の多くは新法の適用外である普通の賃貸や月決め賃貸マンションに姿を変えつつある。

 もう一つが、ヤミ民泊の騒音やゴミに悩まされてきた住民の反対だ。横浜市のマンションでは3月、管理組合の総会で民泊禁止の方針を打ちだす。自宅の空き部屋を民泊として貸してきた住民の女性(42)は残念がる。

 今まで120組泊めたが、近隣住民とのトラブルは皆無。訪日客との交流も楽しんできたのに管理組合は「問題が起きないとは言い切れない」と全面禁止を決めた。新宿でも住民からの苦情は年間200件を超えた。マンション管理業協会(東京・港)によると民泊禁止の分譲マンション管理組合は8割超に上り、物件の淘汰が加速する。

 観光庁長官の田村明比古(62)は6日、国会の場で「健全な民泊の普及を図る」と宣言した。では誰が新しい担い手になるのか。ポイントは新ルールに合致した物件をどれだけ増やせるかだ。

 「楽天ブランドで質の高さを伝えられる」。楽天の民泊子会社の楽天ライフルステイ(東京・千代田)は仲介だけでなく、民泊の運営代行にも参入する。社長の太田宗克(43)が繰り返すのはブランドイメージを武器にした集客力だ。

 「運営の全てを請け負えば、オーナーにとって民泊事業がやりやすくなる」。参入をためらってきたほかの大企業も解禁で合法物件が増えるのは好機ととらえる。

 全日本空輸は民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーと提携し、住友林業も中古マンションや古民家を改装して民泊市場に参入する。観光庁幹部が話す。「課題は市場を席巻した灰色のヤミ民泊をなくし、民間企業の新しいビジネスモデルで健全な市場を築けるかだ」(敬称略)

 いよいよ15日に始まる民泊物件の登録。揺れ動く市場の実相に迫る。