いっそ別のサービスにしようかとも思ったけれど、これまでのご恩もあるのでとりあえず移行してリダイレクトさせていただいています。何か不都合かご意見があればください。(ブログをいつまで書くのかも考えどころですが)
*[ウェブ進化論]それぞれの使命。
トランプさんもそうだが、どうも中国が「国策」で本格的に海外と対峙し出してから妙なことになっている。
向こうさんは「国ぐるみ」だが、こちらは「会社ごと」だ。
政府の意向とかはもちろんあるけれど、こちらの世界は「国が経営する会社群」では全然ない。
だからオランダで納税、とかバージン諸島とかいう話になる。
まあ独裁的ではないわけだ。
大企業がボーダレス化する中で、国と企業の役割が揺れている。経産省がどこかの電機メーカーを救済する、とかいう話とはケタが違う。
そういうインテリジェントな先進国は、猪突猛進の中国や新興国には敵わない。
法治で世界経済をどこまで制御できるのか。今のネットワーク社会はそんな問題を投げかけていると思う。
この手の話は、最近出てきたごく新しい話。
今がゴングで、これからさらに課題が噴出するのに違いない。
でもこういうことが「共生の知恵」を産むのに違いない。
産みの苦しみってこういうことなのだ。
中国はこうして半導体技術を手に入れた
2019年1月31日 17:08 [有料会員限定]全て表示航法技術を手掛ける中国の北京耐威科技(ナブテック)は2015年、加速度センサーやジャイロスコープ(角速度センサー)などの極小センサーを製造するスウェーデンのサイレックス・マイクロシステムズを買収したが、当時はほとんど話題にならなかった。中国は国を上げて半導体などの最先端技術を育成している(紫光集団の研究所で)=ロイター航空機だけでなく、人工衛星や軍事機器にも技術を提供しているナブテックは、サイレックスの買収から間もなく、北京に3億ドル(約330億円)で工場を建設すると発表し、MEMS(微小電気機械システム)に関して「サイレックスの技術を頼る」と明らかにした。MEMSは、電気回路と微細な機械構造を半導体の基板上に集積したもので、携帯電話や医療機器から自動運転車まであらゆる製品に欠かせない部品となりつつある。いくつもの投資持ち株会社を間に挟んだサイレックスの買収には、中国の国有ファンドも関与した。新工場は国営工業団地に設置され、半導体産業を投資対象とする国有ファンドの北京集成電路産業基金から資金を調達したのだ。この事例は、世界有数の半導体生産国に躍り出る鍵となる技術を探し出し、獲得しようとする中国の動きを端的に示している。中国政府は、既に多額の投資を行っているハイテク産業育成策「中国製造2025」で主要部品の輸入依存度の引き下げを目指しており、MEMS技術への注力もこの一環だ。中国の調査会社である龍洲経訊(ガベカル・ドラゴノミクス)のアナリスト、ランス・ノーブル氏は「多くの(国有ファンドの)サブファンドが投資先を求めて複雑に関わっており、民間投資家と称する法人が、実は政府が関係するファンドから部分的に出資を受けていてもおかしくはない」と指摘する。「純粋に金銭的な取引」と懸念否定
サイレックスのトーマス・バウアー上級副社長は、ナブテックによる買収が「純粋に金銭的な」取引だったとし、それによって主要市場の一つでの事業拡大に必要な資金を調達することができたと説明。中国政府が技術獲得を狙ったとの懸念を否定した。「サイレックスは専門のコンサルティング会社を使って適切な調査を実施した上で、自社のMEMSウエハー製造に関するノウハウに輸出規制の対象となる技術は含まれていないと結論付けた」という。サイレックスの主な競合企業としては、スイスのSTマイクロエレクトロニクスや、カナダのテレダイン・ダルサ、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)が挙げられる。中国の公的資金が入った投資家に最近買収されたスウェーデンのMEMS関連企業は、サイレックスだけではない。スウェーデンの半導体メーカー、ノルステルは17年1月、福建省安芯産業投資基金に買収された。買収額は公表されていない。安芯産業投資基金が運用するのは、福建省や218億ドル規模の国家集成電路産業投資基金から調達した500億元(約8100億円)だ。安芯産業投資基金を管理するのは、福建省を拠点とする民間企業の三安光電。同社は発光ダイオード(LED)チップなどを製造しており、16年に別の中国投資ファンドがドイツの半導体製造装置メーカー、アイクストロンを買収しようとした案件にも関与した。アイクストロンの買収は結局、実現しなかった。スウェーデン国防研究所のアナリスト、イェルケル・ヘルストレーム氏は「(ノルステルやサイレックスの買収が)スウェーデンの輸出規制制度をかいくぐった可能性がある。結果的にスウェーデンが、図らずも中国軍の近代化を支援することになるかもしれない」と述べた。スウェーデンの政府関係者らはコメントを避けたが、ダンベリ前企業・イノベーション相が同国紙スベンスカ・ダグブラデットに語った内容に言及した。ダンベリ氏は「継続中の業務の運営に責任を持つのは取締役会と経営陣だ」とし、政府に批判の矛先が向けられることをけん制した。ナブテックと北京集成電路産業基金からはコメントを得られなかった。「米上場企業の非公開化に成功」
対米外国投資委員会(CFIUS)は17年、投資会社のキャニオン・ブリッジ・キャピタル・パートナーズが13億ドルで米半導体メーカー、ラティス・セミコンダクターを買収する計画を阻止した。キャニオン・ブリッジが300億ドル規模のベンチャーキャピタルファンドを運営する国有企業の中国国新に支援されていることが理由だった。だが買収が成功した例もある。イメージセンサーの設計を手掛ける米オムニビジョン・テクノロジーズは15年、中国の投資家連合に買収された。この投資家連合には、中国国有の半導体大手、紫光集団の支配株主が設立に加わったプライベートエクイティ(PE)ファンドの北京清芯華創投資管理が名を連ねていた。オムニビジョン・テクノロジーズはコメントの要請に応じていない。欧州では、欧州連合(EU)にCFIUSのような権限を持たせ、国家機密に関わる技術が対象となる外国企業の買収を阻止できるようにすることが提案された。だが2人の外交官の話では、いくつかのEU加盟国の反対で内容が骨抜きになり、「協調に向けた枠組み」にとどまった。中国商務省の元高官である孫永福氏は「法的拘束力を持つ文書にすることが当初は検討されていたが、東欧諸国をはじめとする多くの国が異議を唱えたため、変更された」と解説した。自動運転車やGPSにも部品提供
ナブテックがこれまでに歩んできた道のりを見れば、中国がどのように産業政策で優遇する企業を選び、事業機会や技術資産へのアクセスを通じて育てているかが分かる。ナブテック創業者の楊雲春氏は、01年に米国で博士課程を修了した。それから中国に戻り、海外から優れた人材を呼び寄せるためのプログラム「千人計画」に携わる専門家に選ばれた。07年のナブテック創業後は、公的資金を使って最先端技術を開発するプログラム「863計画」に起用された。ナブテックは11年までに、中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ)が進める自動運転車開発プロジェクト「アポロ計画」や、中国版全地球測位システム(GPS)「北斗」など、名高いプロジェクト向けの部品供給契約を獲得してきた。中国がパキスタンと共同開発する戦闘機JF17(中国名・梟竜)や、中国製ドローン(小型無人機)向けにも航法技術を提供している。その1カ月前、ナブテックは上海証券取引所への上場で4800万ドルを調達していた。ナブテックはGAEの買収を15年末までに終え、つまりはサイレックスも傘下に収めた。北京集成電路産業基金はのちに、MEMSを生産するナブテックの新工場に6億元を投資した。2年も経たないうちに、ナブテックのMEMS事業の年間売上高は3億1930万元へと2.8倍近くに拡大し、同社にとって増収への最大のけん引役となった。By Emily Feng