珍しく、M&Aのカリスマが叩かれている。
騒動の発端は、4月24日付の朝日新聞朝刊。
08年3月期決算発表の席で、永守氏が「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし、給料も上がる。
たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」
「休みたいならやめればいい」などと話したと報じた。
(zakzakより)
永守さん、といえば日本の仕事人の第一人者、というくらいのモーレツ派。
自分がモーレツなのだ。
起業以来休まぬ、とも聞く。
その人が上記の発言で、連合の会長が反応するわ、労組は騒ぐわ。
根本的に何か心得違いがないか。
労使、でなく。
昔から「労使協定」と聞くとある違和感を感じた。
それは社会人になってからも、そして独立してからもそのままである。
労働者は組合を作り、「資本家」と対峙せねば、条件闘争の余地がない。
ある意味、正しいのだと思う。
特に製造業では。
ただ、何にでもこの「労使」の概念を持ち込むのはいただけぬ。
実は春闘にはじまる労使の交渉は、「透明化の産物」ではないか。
個々の(労働者の)労働条件をすべて個別に考慮し、
一方、会社を取り巻くあらゆる今後の問題をも考慮し、
これからの賃金を決めていくことなど、不可能に近い。
「人」が組織を運営するのだ。
機械ではなく。
春闘、などはそれを「いったんは目に見える形」にするやり方なのだと思う。
では理想の形はどうか。
透明化
ここでも。
自分たちの日々の働きと、会社の業績と、経営陣の戦略の確からしさや納得感と。
そんなものが、相互に反映されれば、あまり意味のない「百円の攻防」みたいなものはなくなるのだろう。
その代りに、それをガラス張りにする精緻な「経営情報システム」が必要になる。
そのシステムを見て、情報を得、納得した人だけがその会社で働く。
経営陣の失策や、
社長の暴走や、
不正なカネの流れや、
従業員の働きぶりや、
昔のお百姓、ではないが、お互いのやっていることが見えてこそ、の一体感だろう。
次世代の経営スタイルは「皆が数字を見て、経営を考える」、そんな風になるのではないか。
ぜひ自分でも実践してみたいと思っている。
<記事全文>
休みたいならやめれば…日本電産社長“暴言”が波紋
日本電産・永守重信社長
日本電産(京都市)の永守重信社長が「休みたいなら会社をやめればいい」との趣旨の発言をしたと報じられ波紋を呼んでいる。コンプライアンス(法令遵守)にうるさいご時世だけに、連合の高木剛会長から「言語道断」と批判され、同社は慌ててホームページ上で発言を否定した。永守氏は猛烈な仕事ぶりで知られるカリスマ社長で業績も絶好調。経営者の鑑か、サラリーマンの敵か、賛否両論が飛び交っている。騒動の発端は、4月24日付の朝日新聞朝刊。08年3月期決算発表の席で、永守氏が「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし、給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」「休みたいならやめればいい」などと話したと報じた。
これに連合の高木会長がかみついた。同26日に都内で開かれたメーデー中央大会で「まさに言語道断。労働基準法という法律が雇用主に何を求めていると思っているのか」と名指しで“糾弾”したのだ。
日本電産は2日後の同28日に公式HPで発言自体を、「そのような事実はなく、誠に遺憾に思っております」と否定したが、永守氏は過去にも著書やメディアで強烈な個性を発揮してきた。
連合・高木剛会長
永守氏は職業訓練大学校を卒業後、音響機器メーカーに就職し、28歳で独立して日本電産を設立。M&Aを繰り返す経営手法で、創業30年余で売上高7000億円超のモーターメーカーに育て上げた。毎朝5時50分に起床し、7時前には出社。夜も10〜11時まで働く。「仕事の邪魔になる」と酒もタバコもゴルフも一切やらない。「経営者は社員の2倍、3倍働かなくてはいけない」が持論。自著『人を動かす人になれ!』では、「創業以来、365日フル出勤、正月もなければ、夏休みもない」と告白する。そんな“効果”からか、同社の08年3月期の営業利益は前期比20%増。今期も2ケタ増益の見込みだ。
だが、経済アナリストの森永卓郎氏は、発言を事実と仮定したうえで、「社員を人間扱いしていない証拠。小泉改革以降、社員は『仲間』でなく『道具』になった。今回は口に出したから問題になっただけで、経営者の多くは同じことを考えていると思う。声をあげると本当にクビになるから、サラリーマンは何もいえない」と批判する。
同社の休暇状況だが、HPでは「年間休日も前年比2日増加させております」と説明。問い合わせると「広報担当者がお休みをいただいています」と意外な返事が。全社的に先月29日から5月6日まで8連休とのことで、GWに関しては世間並み以上のようだ。