藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

影響の本筋。

フリードマンの著作は、ネットを通じてサービスや流通がフラット化する、というものだった。
その後のリアル世界は、さらに製造業そのものもフラット化してきている。

日産がメルセデスにエンジンを供給するという。
もう部材の調達がフラット化するのではない。
「心臓部の部品そのもの」も相互交流が始まっているのだ。
びっくりだが。
十年以上前から始まった自動車メーカー同士の資本提携が、いよいよ本丸のエンジンや駆動系のシステムにまで及び始めている。

今でも「走るコンピューター」と言われる乗用車だから、フレームやシャーシ、タイヤなどはすでに共用化されているし、それらを制御するコンピューターも「最も性能対コスト比の優れた製品」を開発するメーカーの物に収斂されていくのだろう。

いずれは、各パーツは専門のメーカーが製造し、オリジナリティはデザインや、各パーツの組み合わせによってのみ表現されることになりそうである。
それにしても、ほんの30年前には、乱立する自動車メーカー各社が、自社のオリジナルな製品を生み出すことに躍起になっていた時代とは隔世の感がある。

似ている技術の世界。

今使われているpcのcpuや基盤が、ほぼ数社の独占で製造されているが、自動車業界の推移もそれに似ている。
オリジナリティを出し、一部のユーザーに興味深い製品を出す、というのではなく「最大多数に受け入れられる」ような、しかも安全でエコノミカルな製品しか生き残らない。
20世紀を象徴する産業が、最終的には「効率化(価格)と環境性能」に収斂されていくという最期は、今思えばそんなものかもしれないな、と思う。

21世紀の、本当のテーマはどんなことになるだろうか。
新しい価値観の定義が始まろうとしている。

日産、ベンツ「Cクラス」にエンジン供給 米市場で
「インフィニティ」と共有

日産自動車は8日、資本・業務提携している独ダイムラーガソリンエンジンを供給すると発表した。米国の既存エンジン工場で生産し、ダイムラーが米市場で販売するメルセデス・ベンツ車向けに供給する。日産がダイムラーにエンジン供給するのは初めて。世界経済の先行きが不透明さを増すなか、工場稼働率を平準化したい日産と、投資負担を減らしながら米市場の攻略を加速させたいダイムラーの思惑が一致した。

日産は米デカード工場(テネシー州)で、主に米国で生産する日産車向けエンジンを造っている。年産能力は約95万基。同工場では2014年に直列4気筒ガソリンエンジンの生産を始める。排気量は2500cc級とみられる。同工場の生産能力には余力があり、既存ラインで生産する。

この直列4気筒エンジンはベンツ向けに供給するほか、日産の高級車ブランド「インフィニティ」の複数車種に搭載する計画で、最大稼働時の生産規模は年間で25万基になるという。

ベンツの中型セダン「Cクラス」に供給するほか、日産がインフィニティの新型小型車として開発中の「エセレア」などにも採用する見通し。デカード工場で生産するインフィニティ向けエンジンは一部大型車向けだったが、量販モデル向けも手掛けることになる。

ダイムラーは、ベンツで最量販車となるCクラスの現地生産を、すでに持つ米アラバマ州の工場で14年に始めることを予定するなど、米乗用車市場の攻略に力を入れる構え。ただ北米にはベンツ向けのエンジンの生産拠点がなく、調達が課題になっていた。日産も円高・ドル安が続く中で米での工場稼働率を中長期的に安定させるため、ダイムラーとの提携を生かす。

日産は10年春、連合を組む仏ルノーとともにダイムラーと資本・業務提携した。3社が相互に出資し、事業面でも次世代環境技術の開発や部品・車台の共通化などで連携を進めてきた。エンジンの相互供給は、提携当初に掲げた協業の重要な項目に挙がっていた。

トヨタ自動車が独BMW、スズキが伊フィアットから欧州市場向けの車両に搭載するディーゼルエンジンをそれぞれ調達するなど、自動車メーカーは心臓部であるエンジンの最適調達に動いている。

世界景気の不透明さに加え、新興国市場が急速に立ち上がっていることもあり、各市場向けに1社単独でエンジンや車体の開発・生産を手掛けることが難しくなっている。今後、特定の事業や技術を相互補完し、経営リスクを抑える協業が一段と広がりそうだ。