藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ネットの汎用化。

コマツが月次でデータを発表してくれれば、銘柄選別の参考になるのに」。

とまで言われるほどに、建設機械の稼働状況は景気の動向を映すようになった。
もともとは盗難防止などの目的に導入された、と聞いたが、こうしたネットワーク接続機器を、全く違う視点で眺めると思わぬ効果が出た、ということである。
景気の風向きを把握するには、住宅の着工戸数や販売戸数をみたり、中古住宅の取引戸数を把握したりと、不動産だけでもずい分いろいろな指数があるものだが、「今の着工状況」をリアルタイムに把握できれば、なによりもスピード感のある生データが得られるのは道理。

ネットに接続されているもので、まだまだそうした「斜め目線」の活用方法があるにちがいない。
ネットワークは社内通信とか、ある会員ネットワークとか「単一の目的」のために構築されるのが普通だが、コマツの建機のような、全く別の汎用目的に利用される方法は、まだこれからの開発のような気がする。
そうした目的を考えてみるのも面白いものではないだろうか。

コマツの「GPS」に映った世界景気 投資の判断材料にも
2012/2/4 6:00 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  株式市場で東日本大震災の復興関連銘柄や資源関連銘柄への関心が高まっている。建設受注や化石燃料など需要の伸びが見込まれるため、投資家の間に買い安心感があるためだ。そんな中、建機大手コマツが1月31日に開いた決算発表の説明会が市場で話題を呼んでいる。「日本株全体の投資判断の材料になるのでは」との見方が出ている。

■建機の稼働が映す世界景気
1月31日、コマツが市場関係者向けにネット上で開いた2011年4〜12月期の決算説明会。証券会社のアナリストはもちろん、日本株のファンドマネジャーまで内容にじっと聞き入ったという。注目を集めた理由は、建設機械の遠隔管理システム「KOMTRAX」(コムトラックス)にある。コマツ全地球測位システム(GPS)を駆使して世界各地の自社の建機の稼働動向を把握している。決算会見ではこの稼働時間データが公表されるため、世界のどこの国で、どれだけの時間、建機が稼働しているかが分かり、結果的に世界の景気動向を垣間見ることができるというわけだ。

「米国と復興需要の期待できる国内は好調で、来期にかけても需要は強いのではないか」。コマツ最高財務責任者(CFO)の藤塚主夫氏は説明会でこんな見通しを示した。KOMTRAXのデータによると、12月の稼働時間は日本は東日本大震災の被災地を中心に堅調で前年同月比5%増えた。7%減った米国も「住宅向けが引き続き鈍いが、鉱山向けは好調」という。欧州も11%増と、ドイツやフランスを中心に意外な堅調さを見せているという。

■世界の株価と符合

コマツによると、とくに鉱山機械の需要が伸びているという。2011年度の売上高は前年度比3割増で、建設・鉱山機械関連の売上高全体に占める比率は34%まで膨らむ見通し。資源高を背景に海外では石炭や鉄鉱石の開発プロジェクトが相次いでおり、「鉱山機械は景気変動に影響されず当面堅調。商談は2013年分まである」(藤塚氏)という。

一方で「中国の動向が読めない」ことが不安材料だという。KOMTRAXのデータでも中国は11月に19%減、12月も13%減と「反転の兆しは見えない」(執行役員経営管理部長の坂野泰司氏)という。春節旧正月)後の需要予測が難しいことが背景にある。中国での10〜12月期の建機需要(外資メーカー)は47%減と大幅に減った。1〜3月の建機需要について中国は3〜6割減を見ており、3割減であれば公表値(会社の今期業績予想)に届くという。

コマツの需要分析は世界の景気実態をほぼリアルタイムで映すため、世界の株価の動きと符合する部分が大きい。昨年12月と今年1月の直近2カ月間の主要株価指数の推移をみると、日経平均株価は4%高、米は5%高、ドイツは6%高、フランスは5%高と軒並み堅調。日本株の中でも大手商社など資源関連株の堅調さが目立つ。対照的に中国・上海株は2%安と世界の中で軟調さが目立つ。

コマツの“目”に従えば、世界の株式市場で期待できるテーマは鉱山など資源関連、日本株では復興関連、そして懸念は中国株や中国関連株ということになる。

コマツが月次でデータを発表してくれれば、銘柄選別の参考になるのに」。ある国内投信の日本株ファンドマネジャーはこう漏らす。「KOMTRAXのデータはコマツの業績だけでなく、日本株全体の売買材料になる」(同ファンドマネジャー)と見ており、コマツの決算説明会が市場の有力な判断材料に浮上しているのは間違いないようだ。

〔日経QUICKニュース 吉田晃宗〕