藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

宇宙のロマン

最新の理論で、質量というものが「素粒子に与えられた」というのは知らなかった。
「粘性の中の動きにくさ」が質量だとすれば、なんとなくその実感が湧く気もするのである。

宇宙は約137億年前、ビッグバンと呼ばれる火の玉状態で誕生した。このとき、すべての素粒子は質量がゼロで、真空中を何の抵抗も受けずに光速で自由に動いていた。
 その10兆分の1秒後、宇宙が冷えて真空の性質ががらりと変わり、陰に潜んでいたヒッグス粒子が真空を埋め尽くすように現れ、素粒子は粘り気のある「ヒッグス粒子の海」にどっぷりと漬かる状態になった。

火の玉状態の宇宙。
まだ真空だったという。
その後十兆分の一!の瞬間に冷えて(なぜそんなに急に冷えたのだろうか)ヒッグス粒子が真空を埋め尽くしたというではないか。

今の宇宙の多様性は、この粒子のもたらした質量による「多様化」の影響であるという。
銀河系や太陽系がどのようにして生まれ、
地球や生命がなぜ生まれたのか。
そしてこれからどうなるのか。
137億年続いた物語は、この先も続くのだろうか。

人類の過ごしてきた数万年とか、自分の生きるせいぜい100年足らずの時など、これまでの宇宙史の一億分の一にもならないが、自分たちも存在している宇宙そのものがそれほどまでに「永いながい世界である」ということに、しばし呆然としてしまう。

またそんな世界に生まれ合わせた、偶然のいたずらにもしみじみと「自然」を感じてしまうのである。
がんばれ人類。

宇宙を埋め尽くす粘性の海 「動きにくさ」で質量獲得 ヒッグス粒子「発見」
2012.7.5 00:26
 巨大な加速器を使った日米欧による実験で、未知の素粒子ヒッグス粒子」の存在がほぼ確実になった。謎の粒子はどのように生まれ、物質に「重さ」をもたらしたのか。物質や宇宙の成り立ちに迫る研究成果に、世界中の物理学者が注目している。
 物質に重さ(質量)があるのは当たり前のように感じるが、実はその理由はよく分かっていない。質量はなぜ生まれたのか−。この根源的な疑問を解決するため、英国の物理学者、ピーター・ヒッグス氏が1964年に存在を予言したのがヒッグス粒子だ。
 物質は小さな原子が集まってできている。原子は電子と原子核で構成され、原子核をさらに細かくするとクォークという極微の粒子になる。電子やクォークのように、これ以上、細かく分けられない最小単位を素粒子と呼ぶ。
 物質をつくる素粒子には固有の質量がある。しかし、ヒッグス理論によると、質量は最初からあったのではなく、ヒッグス粒子によってもたらされた。
 宇宙は約137億年前、ビッグバンと呼ばれる火の玉状態で誕生した。このとき、すべての素粒子は質量がゼロで、真空中を何の抵抗も受けずに光速で自由に動いていた。
 その10兆分の1秒後、宇宙が冷えて真空の性質ががらりと変わり、陰に潜んでいたヒッグス粒子が真空を埋め尽くすように現れ、素粒子は粘り気のある「ヒッグス粒子の海」にどっぷりと漬かる状態になった。
 プールの中を歩くと、水の抵抗を受けて体が重くなるように、素粒子ヒッグス粒子の抵抗を受けて動きにくくなり、重さ(質量)を持つようになったというシナリオだ。光が光速で移動するのは質量がゼロだからであり、「動きにくい」ということは質量があることを意味する。
 ヒッグス粒子を目覚めさせる真空の劇的な変化は、南部陽一郎氏(91)が2008年にノーベル賞を受けた「対称性の自発的破れ」理論がアイデアの基礎になっており、同粒子が見つかれば南部理論の裏付けにもなる。
 ヒッグス粒子が仮に存在しなかった場合、素粒子は光速で飛び続けるので静止できない。銀河や地球、人間も存在できず、今日のような多様な宇宙は生まれなかったことになる。ヒッグス粒子は物質や宇宙の成り立ちに極めて重大な意味を持っているのだ。