藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

成長の要件。


日経のコラムより。
アップルの独走について、論説委員の一言。
ルーセントサンマイクロIBM、そしてマイクロソフトまでが不振にあえぐ。
しかも上位企業の1/3は、他社に買収されている。

一方日本のハイテク製造業は家電からエレクトロニクス、半導体まで敗色濃厚。
日本企業は技術ではまったく引けを取らなかったものが、そのごの戦略の影響で浮沈を繰り返している感がある。
キーワードは、梶原さんがいうように「新陳代謝」なのかもしれない。

元の工夫も、技術も良い。
けれど、日本企業はその後の変化を嫌う。
「変化し続ける」というの、特に成功企業にとっては非常に難しいことだが、日本企業は特に苦手ではないだろうか。
「好んで冒険をしない」お国柄なのだと思う。

非常に安定的だし、波乱の少ない性格だけれど、それが現在のような「世界レベルの市場経済での勝負」に参加するのなら、考え方を改めねばならないだろう。
世界トップレベルの技術力を持つメーカーが、簡単に真似されたり、コスト負けしたりするのはなぜか。
また、それが一過性の物であれば、根本的な力が落ちないように、企業として保持しなければ、会社が買収されたりして分解してしまう。

株主や投資家の意見に振り回され、あらゆる分野で勝負をし過ぎているのが今の日本ではないのだろうか。
ガラパゴスにいたのが、いきなり(再びの)開国にさらされて、今はただ勝てない勝負を挑まれているような感じがする。

コストでは勝負しない領域、逆に技術は譲らない領域について、十分な戦略を個々の企業が考えねばならないのではないだろうか。
株主は決して最良の道を示してくれるわけではないと思うのだ。

独走・アップルからのメッセージ  編集委員 梶原誠
梶原誠(かじわら・まこと) 88年日本経済新聞社入社。ソウル、ニューヨーク、証券部編集委員論説委員、米州総局(ニューヨーク)を経て、11年4月から証券部編集委員。興味分野は「市場に映るものすべて」。

米アップルの時価総額が今週50兆円弱に達した。ハイテク株バブルのさなかである1999年のマイクロソフト株を上回り、史上最高になった。世界全体の時価総額の1%をたった1社で超えるという独走ぶりが放つメッセージは何か。

関連記事
・3月11日日経ヴェリタス10面「日本株ルネサンス、『失われた20年』に輝いた会社は」
・8月12日日経電子版「ニッポンの起業力、これだけある米国との差」
・8月21日日経夕刊1面「アップル時価総額最高、マイクロソフトの記録抜く」
ひとつは、米企業が激しく競争しており、新陳代謝を繰り返している点だ。

モルガン・スタンレーの株式ストラテジスト、アダム・パーカー氏は今年、10年前の米ハイテク株の時価総額ランキングを調べて、この間の変化に驚いた。

ひとつは、アップルが10年前は35位で低迷していたこと。しかも、アップルより上にいた34社のうち、8社が他社に買収されてすでに存在すらしていない。

今週の筆者
月(国際) 藤井彰夫
火(市場) 小平龍四郎
水(企業) 西條都夫
木(経済) 滝田洋一
金(市場) 梶原誠
通信機器大手のルーセント・テクノロジーズ、ネットワーク機器大手のサン・マイクロシステムズ…かつての花形企業が、業績不振で株価が低迷した末、買収された。

「テクノロジーは1年や2年だと人を失望させるかもしれない。しかし、10年単位で見ると期待を大きく超えているものだ」。パーカー氏はかつて、半導体大手インテルの創業メンバーに諭されたことを今も覚えている。アップルはまさに10年単位でイノベーションを起こし、その果実をもぎ取って激烈な競争を勝ち抜いた。

単に淘汰が素晴らしいというのではない。アップルの株高が放つもうひとつのメッセージは、10年前に35位だったという事実が象徴するように、米国には敗者復活の風土がある点だ。創業は36年前の1976年。80年代前半にパソコン「マッキントッシュ」で鳴らしたが、その後は創業者スティーブ・ジョブズ氏の追放に代表される経営の混乱が響いて低迷が続いた。

ジョブズ氏は96年に復帰する。そして今に至る反転攻勢の基点は、2001年のデジタル携帯プレーヤー「iPod」の発売だった。

「大きさは通常のトランプ一式の束とほぼ同じで、重さは185グラム。ヘッドホンなどをつないで聞く。希望小売価格は米国内で1台399ドル、日本では4万7800円」。同年10月24日、iPodの発売を日経新聞シリコンバレー発で報じている。株価はこの日から70倍以上も上昇した。

新陳代謝と敗者復活。経済の底力を示す2つの芽は、日本にも間違いなくある。


「iPhone」を手にする米アップルの故スティーブ・ジョブズCEO=AP

まず新陳代謝日経ヴェリタスが今年3月、バブルが崩壊した90年以降の配当込みの株価上昇率を集計して掲載している。

1位は、アジアでの低コスト生産の先駆者になった家具専門店のニトリホールディングス。2位は物流センターや情報システムへの先行投資で成長したヤマダ電機。3位は果敢な買収でのし上がった日本電産。いずれも、伝統的な日本の大企業とは一線を画す。

そして敗者復活。9月には、2010年に会社更生法の適用を申請した日本航空(JAL)が、東京証券取引所に再び株式を上場する。破綻してわずか2年での再生だ。

米国に比べると課題はもちろん多い。新陳代謝のエンジンでもある創業は、起業家もリスクマネーもその厚みが乏しい。「失われた20年」を経て事業再生のノウハウは蓄積したが、再建と挫折を繰り返したエルピーダメモリを見ると、まだ不安が残る。

リーマン・ショックから来月ではや4年。衝撃は欧州債務危機に飛び火して今も続いている。「低迷のトンネルを抜けたら、これまでとは違う世界が待っている」。歴史的な衝撃だけに、経営者や投資家からはこんな声も聞こえてくる。アップルの株高は、「トンネル後」の国や企業の立ち位置を決めるヒントを秘めている。