藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

パラダイム・シフト。

まだ世界的に見れば「発展途上」の国はたくさんあると思うが、それでもGDPが減りだしたというのは、地球レベルで見て何かの転換点なのかもしれない。
60億人が人類の限界点なのだろうか。
74兆ドル、と言われてもピンとこないが、それにしても「経済は成長ありき」という論調はそろそろ終わりにしてもいいのではないだろうか。
経済の質とか、地球規模の生態系との関係とか、そうした(それこそ)グローバルレベルな観点の指標で世界のバランスを見ていく必要を強く感じる。
いい加減、「豊かさの指標」は貨幣ではなく感情とか教養へとついにシフトせねばならないのではないだろうか。

その責任は多分先進国にあると思う。
EUアメリカも徐々に「その問題」に近づきつつあるように思う。
いよいよ「次のに価値観の時代」がやってくると思う。

縮む世界経済、「リーマン危機」は別世界か
編集委員 滝田洋一
2016/4/17 5:30
日本経済新聞 電子版
 世界経済が縮んでいる。ドル建ての名目国内総生産(GDP)は世界合計で2年連続で2014年の水準を下回る。リーマン・ショック直後の09年以来の異変。ワシントンの20カ国(G20)財務相中央銀行総裁会議を受け、5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けた焦点になる。

 論より証拠。国際通貨基金IMF)が先週示した実数を挙げよう。世界合計の名目GDPは14年に77.8兆ドルだったが、15年と16年はIMFによれば、73.2兆ドルと74.0兆ドルになる見込み。

 前年実績を下回るのは、リーマン破綻後の09年以来。08年の63.3兆ドルに対し、09年は59.9兆ドルだった。

 当時、GDPの落ち込みに大騒ぎしたが、減少幅は09年が前年比3.3兆ドル。一方、15年は同4.7兆ドル減っている。しかもリーマン後は10年には08年のGDPを上回っていた。それに対し今回は、15年と16年の2年にわたり低迷が続いているのだ。

 17年4月に予定される消費再増税を延期するかどうかの判断に際し、安倍晋三首相は「リーマン・ショックのような事態」を基準に挙げる。「現状はほど遠い」と一笑に付すエコノミストが多い。

 銀行の取り付けや企業の資金繰り不安が起きていない点では、当時とは異なる。とはいえ、名目GDPを物差しにすると、世界経済の現状は楽観を許さない。しかも経済協力開発機構OECD)が懸念するように世界貿易の伸びは急速に鈍化している。首相の示した基準は絵空事と片付けられないのだ。

 むろん、IMFは世界経済の「長期停滞」論にくみしてはいない。17年のGDPは77.8兆ドルの見通しを掲げている。見通しが実現すればよいが、IMFの見通しはこのところ下方修正続き。世界経済が低迷から脱却できるかどうか、保証の限りでない。

 リーマン後に比べてさえ、足元の世界経済がもたついている理由は、ハッキリしている。世界を引っ張っていた、中国など新興国経済が失速しているからだ。中国の名目GDPは11年から13年までは1兆ドル以上も拡大したが、15年の増加額は5000億ドル台、16年の伸びは4000億ドル台にとどまる見込み。ブラジルとロシアは14〜16年と、3年連続でマイナス成長が続く。気を吐いているのはインドくらいのものだ。

 もちろん、新興国のドル建てGDPの低迷は、ドル相場の上昇に伴う為替換算が影響している面もある。それにしても主たる要因は、経済実勢の落ち込みだ。日本やユーロ圏のGDP低迷にも、同じメカニズムが働いている。

 15年後半から世界の株式相場が調整局面に入ったのは、こうした世界経済の縮小を織り込んでいたとみれば合点がいく。足元のグローバルな株価持ち直しは、景気低迷を踏まえた財政・金融政策による下支えを見込んでいるのだろう。

 先週の日本株の反発については、それに加えて円高や業績不安を織り込んだ「悲観プレミアム」の修正という側面が見て取れる。ここ数年間、日経平均株価は円換算のニューヨーク・ダウ平均と相関性が極めて高い。

 ところが年初来、日経平均が下振れする形で、両者の乖離(かいり)が著しく広がっていた。とりわけ2月以降は、円高懸念が悲観プレミアムを増幅していた。足元では、その悲観プレミアムの行き過ぎが是正されつつあるのだろうが、肝心の世界経済については予断を許さない。

 日本に関しては、ルー米財務長官による事実上の円高容認発言で再び円高に火が付くことが懸念されるが、何と言っても熊本を中心とした地震被害の広がりが気になる。企業や家計の心理が冷え込まないよう、政府の迅速な対応が求めらる。固唾(かたず)を飲む展開が続く。