藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

異業種参入。

財界の重鎮になってから政治に乗り出す人はこれまでにも多くいたが、最近はそうした傾向も随分変わってきた。
ワタミの渡辺さんとか、またこの藤巻さんとか、いわゆる守旧派代表としての政治屋ではなく、ビジネスマインド満々の経営改革ならぬ政治改革を志す人たちである。
年齢も若い。
もう超高齢の政治家が当選を重ねて権勢を誇る時代は完全に過ぎ去ったのだと思う。
藤巻氏も指摘しているが現与党に返り咲いた自民党は「柵(しがらみ)党」であり、本当の官僚・行政改革とか、地方分権などはなし得ないと思う。

これはよし悪し、というよりその体質の構成要素というか、成り立ちがそもそも「自由」にはできていないためで、いくら改善を施しても根本の遺伝子を変えるのは難しいだろう。

藤巻氏のいうまず「市場原理の働く政治機構」で、しかしそこから社会福祉、厚生をどう考えるか
という議論に転じないと、今の構造を引きずっていては日本は老化するばかりである。
毎日、ビジネスに接しているといかに日本が「ルールありき、規制ありき、責任者ありき」の発想に基づいているかがよく分かる。

規制やルールは必要なのだが、それを「総員統一ルール」にしてしまうと"がんじがらめ"になって身動きができなくなる、ということを国民が分かっていない。
肝心なところで「国に頼る」という根本的な集団的依存体質が日本人にはあると思う。

一旦、安定的な身分を得た人が、より挑戦的な発想を持つのはなかなか勇気のいることである。

心地いい安全保障、をどの程度まで妥協し、自己責任の規律をどこまで採り入れられるか。

これからの政治家はそんなバランス感覚が、もっとも重要な資質になるのではないかと思う。
ビジネス界からのさらなる政治参加を応援したいと思う。

参院の注目新人)アベノミクスは失政 藤巻健史
【聞き手・明楽麻子】――「伝説のディーラー」から政界進出です。

 「為替や株、国債を買いながら、長期的に各国の経済政策の良い悪いを見てきた。日本はずっと『ダメ』と言ってきたけど、誰も聞いてくれないんだもん。簡単な景気回復の処方箋(せん)があるのに、とフラストレーションがたまった。そんな時に弟(藤巻幸夫参院議員)がみんなの党に入り、『政治家で経済を分かっている人がいない。お兄ちゃんが必要だぞ』と後押ししてくれたのが大きい」

 ――あまり政治家っぽくはないですよね。

 「前に自民党から誘われた時は、家内にものすごく反対されました。政治家に対するイメージが悪かったんですね。友達にも相談したんですけど、『藤巻は政治家になるほど悪人じゃない』とかですね。私も、当初はまったく興味なかったんですけど、政治の外から、こうあるべきという私なりの主張をかなり過激に発表してきたが、まったく政治に反映されなかった。今回は、家内が『フラストレーション感じるくらいなら、過労で死んじゃうかもしれない。賛成はしないけど、反対もしない』と言ってくれた」

 ――みんなの党ではなく、日本維新の会で当選しました。

 「小さい政府、自助努力、公正なる競争といった維新の経済政策の方が自分の考えと似ていた。立候補を決めたときは、みんなの党選挙協力をしていたので弟に応援してもらおうと思ったが、全くできなくなって苦しい思いをした」

 ――橋下徹共同代表の慰安婦発言は選挙戦で影響ありましたか。

 「多少はありました。『藤巻さんに入れたいけれども維新だからね』と言われた。僕はもともと維新だからということで票をもらうつもりはなかった。自分の主張してきた政策に賛同してくれる人しか入ってこないと思っていた。そういう面では、ほかのかたに比べると逆風もあまりないですよ」

 ――弟さんと意見の対立はありませんか。

 「弟はミクロ、僕は完璧にマクロ。弟は企業をどう活性化するか。僕はどうやって円安にするか。僕と弟は10歳違う。異母兄弟でもあり一種の親子の関係で、僕はずっと怒り役だった。経済の分野も政党も違っているから、ちょうど良いくらいじゃないですか」

 ――アベノミクスは失政だと批判していますね。

 「アベノミクスハイパーインフレのかじ取りを選んで、もう飛び降りちゃった。せいぜい即死しないように足を骨折するしかない。その後に強靱(きょうじん)な体を作ることの方が重要だ」

 ――手遅れですか。

 「日本人は楽観的すぎる。歴史的に言えば現状は1945年7月、終戦の1カ月前くらいだ。そんなときに米軍に勝つ方法を提案するのは無理。戦争で軍事国家は終わったけれども民主主義国家として生き返ったように、新しい日本をどうやってつくるかという青写真を描く方が重要だ。日本が破綻(はたん)するわけじゃないからね。資本主義国家日本に再生させたいわけ」

 ――再生への処方箋は。

 「日本は社会主義国家なの。少人数のめちゃくちゃ頭の良い人たちが経済を計画してやっていく社会。大きい政府、規制過多、結果平等是正……。これを資本主義国家にしないと。資本主義はイコール市場主義なわけ。日本では、『市場原理』というと悪者になるけれど、市場がないと成立しない。市場をもっとワークさせて、民衆が政治家をチェックするのと同時に市場にも警戒警報を鳴らす役割を与える。それがないから政治家は怖がらずにバラマキを続け、国債を発行し続け、借金がたまっちゃうわけだ。自民党は『ザ・しがらみ』。自民党の政治では無理だ」

 ――自民党に代わる新しい政治勢力が必要ですか。

 「知りません。今後100年間、どういう日本をつくるかという戦略だから、誰と組むかというのは興味ない。大勢にくっついていきますよ」

     ◇

 ふじまき・たけし 1950年、東京都出身。経済評論家。モルガン銀行時代に「伝説のディーラー」と呼ばれ、東京支店長も務めた。本紙土曜beで弟の藤巻幸夫氏とともにコラムを連載していた。=早坂元興撮影